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あっというまに俺は最後のボス、魔王の前にたっていた。

え?展開はやいって?
そんなこと言われてもなぁ。
俺にとって魔王の腹心の魔界貴族や、骨の王や、超獣剣士やら、死霊騎士団やら、ライバルの暗黒騎士やら、何よりあの魔王の娘とその配下の淫魔サキュバスたちもある意味敵ではなかった。
というか、最高レベル、最強装備の俺が何気に歩きまわるだけで,全員サクサクとやられていく。
後には持ちきれないゴールドやレアな魔法の武具がゴロゴロ転がるのみだ。
ふむ、ここまでくると正直つまらん。
『よくぞ、ここまできた勇者よ』
なんていってる間にやっとラスボス登場だ。
『光と闇は1000年の間無益に争っていた、だがそれもこの魔王の手によって終わりを迎えるのだ!闇の支配のもとにな』
良く響く低い声とともに巨大な玉座にすわった魔王が現れる。
まあ、いかにも魔王って感じの角とか、青い肌とか目の下に隈があったりするのだ。
これは第一段階の姿で、実際は、光と闇の戦いのどさくさに紛れて本物の魔王を幽閉して入れ替わってる古代龍の王なんだよね。
本性をあらわして第二段階、んでさらに魔界の秘法「支配のオーブ」を使う最終形態の三段変化をして襲ってくる筋書きだ。
まあ、そんなストーリーどうでもいいか。
どうせ俺が勝つんだからな。
『我こそは長らく闇の中に閉じ込められ・・・』
ああぁうぜえまだしゃべってるよ。
本当ならここまで、悪戦苦闘、最短でも何日もモニターにしがみついて、こつこつレベルを上げた勇者がラスボスを感動と緊張の中迎えるシーンなのだが…
裏技ですんなりここまで来た俺にはぜんぜんありがた味がない。
ああぁスキップボタンはどこだ?
『…そして、我は思ったのだ、今こそ光の軍勢を倒し…』
もう、がまんできん。
俺はカバンの中から真実の鏡を取り出すと、しゃべりつづける魔王にほいっと向ける。
『……そして我は暗黒の力で…むっ貴様その鏡は!』
たちまち魔王の姿はくずれ、小山のような醜いドラゴンが現れる。
『ぐはははは、よくぞ我が正体をみやぶった…だが1万年生きたエンシェントドラゴンの力見せてや…ぐはぁぁ』
俺は手近くにあって小石を無造作に投げつけた。
『ぐは…ぐえ……くううう、よくもやったな…だが闇の秘法「支配のオーブ」の力みせて…ぎゃあぁぁあ』
うるさいので、ひょいっともう一個投げてやる。
軽く投げたつもりだが、小石は弾丸のように古代龍を貫くと、炸裂弾のように肉が弾け飛ぶ。
「ほれ、ほれ、ほれ」
俺が調子にのって石を数個投げると真のラスボス古代龍の王は玉座の上でばったり倒れてしまった。
『うううう…やるな勇者…まさかこの我が・・・』
あれ?なんかもう虫の息だ。
たしか三段変形するはずだが…もうしてたのか?


まあいや、俺は……

もちろん息の根をとめる。
ふむ、なんか納得いかないもう一度最初からだ。

(C)MooLich 2001