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くくく、無駄無駄、俺の特別魔法をお見舞いしてやる、攻撃魔法だ

俺は目の前のシェスタに向かって、手の平から燃えさかる爆炎魔法を打ち出していた。
「燃え上がれええっ」
辺りの空気を焦がし、プラズマ化して突き進む超々高熱の炎の槍だ。
「くっ、大地の----っ」
シェスタは手にした「大地の杖」の魔力を解き放とうするが、遅い、遅すぎる。
炎の槍はあっさりとスカイブルーの瞳の美女が手にした杖をぶち抜いて爆散する。
「……っ」
ダメージを受けた手をかばうようにしてこちらを見るシェスタ。
おおっ、けっこうなダメージなのに無表情のクールな美貌を崩さないとはやるな。
あの冷徹なクールな美貌をむせび泣かせてやりてえ、性的な意味で。
特に俺の股間のモノで。
「というわけで、さくさくいかせてもらうぜ、俺の肉奴隷ちゃん(予定)」
俺は持っていた剣を目の前の地面にざくっと突き立てると、今度は両手をばっと前にだし空気を切って印を組む。
辺りの空間が俺の魔力におされて歪み、俺の指がなぞったそこには光り輝く魔方陣が生みだされていく。
「くくく、シェスタ、お前が何をたくらんでいたか知らんが、そんな小細工はこの様に通じないことをたっぷり教えてやるぜ、見せてやる、真の魔法って奴をよ」
俺はニヤリと笑いながら、頭の中に浮かぶ呪文を躊躇なくつむぎ出し、体の内側から湧き上がる魔力を一気に高めていく。
その度に、空中に巨大な魔方陣が浮かび上がり、幾層も積み重なると、青白く光りながら幾何学模様の芸術を張り巡らせていく。
まるで機械式の時計の歯車のように、幾つもの魔方陣が重なり合い俺の魔力を受けてギリギリと回りだす。
「…なっ…なんて魔法の力…くっ…水よ、我に守りの糧を」
シェスタは目の前に発生した巨大で緻密な立体魔方陣に恐れをなしたのか、守護の魔法を唱え出す。
「くくく、そんなちゃちい魔法の盾でこの最強魔法から逃げられると思っているのか、うはははははは」
俺はもうすっかり悪役の台詞をはきながら、最後の呪文を紡ぎ出す。
「開け、異界の扉よ」
その途端、重なり合いゆっくりと回る魔法陣がガチリと音を立てて停止する。
辺りの空間がネガポジ反転するように、異なる位相に転じていた。
そして、ゆっくりゆっくりと巨大な魔方陣が空間ごと左右に裂けていく。
その引き裂かれた空間の先から……
「なっ…」
水の盾に守られたシェスタがついにクールな無表情をかなぐり捨て、驚愕の瞳でこちらを見つめている。
そこには宇宙の暗闇を具現化した、黒いどこまでも黒い漆黒のドラゴンが時空を引き裂き、その巨大な顎を覗かせていた。
「ああ、紹介するよ、俺の召還した、バハムート君だ」
最高位の魔法と言えば召還魔法で決まりでしょう。
本当は雷電をブチ落とす勇者専用魔法の方がダメージがでかいのだが、やはりここはビジュアルにこだわってみました。
「グルルルルルルッ」
辺りの空間をギシギシきしませながら、異界から呼び出された暴君バハムートが唸り声をあげる。
その声だけで、空気が灼熱し、地面に惹かれた石畳にひびが走り地面が割れる。
「こっ…こんな…かっ勝てるわけ…ない」
シェスタは呆然とした表情で、大迫力で迫りくる巨龍を見つめる。
バハムートは「グルルルッ」と唸りながら、その巨体をゆっくりと魔方陣が引き起こした空間の裂け目から出そうとしている。
まったく悠長な奴だ。
確かに、召還魔法は派手でいいんだけど時間がかかりすぎるのが難点なんだよな。
だいたい一回か二回みたらもうボス戦以外使わないっていうかさ……
おっ、そう言えば、召還される異界の神の中にも、けっこう美形の女性タイプをしたやつもいたような……
確かガルーダだっけ? 半鳥半人の風の鳥神だったはずだ。
ううむ、今度だれもいないところで召還してみよっと。
うまくいけば、半鳥の女神を召還してエロペットにできるかも。
ウヒヒヒ、うむ、いい考えだ、ナイス俺。
「グルルルルルルルル」
などと神をも恐れぬことを俺が考えている間に、ようやくバハムートの空を覆いつくさんばかりの巨体が姿を現す。
やれやれ、やっと召還が完了したようだ。
「たく、出るの遅いよバハムート君、そいじゃちょいとそこのクールなお姉さんに、熱いブレスをプレゼントしてやってくれ」
俺は気軽に次元を渡ってやってきた異界の神龍に命令する。
「グルルルルル」
召還者の命令に絶対服従の召喚獣バハムートは、その巨大な顎をがばっと開く。
そのドラゴンの口の中に、光の粒子がまるで吸い込まれるように集まっていく。
「………」
シェスタはただ真っ青な顔で自らの身に襲いかかる次元を超えた存在を前に、畏怖のあまり硬直しているようだった。
それでも、身を守ろうと身構えるのはさすがと言えばさすがだろう。
そして光を飲み込んだ巨大なバハムートの口から、レーザー光線のような、圧倒的な熱量を誇る力の奔流がほとばしる。
次の瞬間、辺りが閃光に包まれ真っ白になっていた。
まぶしっ、つうか派手過ぎて何が起こっているかようわからん。
やがて一面を覆っていた光の洪水が引いていく。
既に召還されたバハムートは役目を終え、その姿はない。
……召還される時は無駄に時間がかかるのに、帰るのは一瞬なんだよな。
辺りを見渡すと、闘技場の床がまるでクレータのようにめくれあがり、その中心にはばったりと倒れ付す一人の女の姿があった。
ピクピクと指先が動いているので、なんとか生きているのはわかるが…
もう戦うだけの力、いや立ち上がる力も残されていないだろう。
「うむぅ、ちとやり過ぎたかな」

「…しょ…勝者、っ」
遅ればせながら俺の勝ちを伝えるアナウンスが、静まりかえった闘技場に空しく響きわたっていた。


俺は……

うむ、まあ勝ちは勝ちだ悪く思うな、さっそうと立ち去り次の戦いに備える
うむ、気絶したクールな美女ゲット!さっそくお持ち帰りをする


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