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よろこんで王位を譲り受ける

「おお勇者よ、ありがとう」
王はそういうと俺の頭に王冠をのせる。
ふーん、なんだかこういうのも悪くねぇな。
美しい侍女達が俺の肩に真紅のローブをかけ、大臣達が恭しくもってきた王杖を捧げ持つ。
「さぁ勇者よ、いや新たなる王国の王よ、魔族を打ち倒し世界に平和を」
「くくく、まかしとけ」
俺はぐっと宝石の輝く王杖を天に掲げ大声で叫ぶ
「おお〜」
殿〜」
「新たな王者の誕生じゃ」
大臣や貴族達の声を聞きながら俺は満足げに頷いていた。
そう、今日から俺がこの王国の王なのだ。

そしてあれから数年、俺は持てる限りの知識をつかい魔族の襲撃をことごとく撃退し、魔王を魔界に追い払っていた。
まぁすべてのイベントを知り尽くした俺にとって魔族なんて敵ではなかったし、まったくもってつまらない掃討戦だった。
だが、そんなことよりも俺にとって面白いゲームがまっていたのだ。
王、辺境のアスレイド伯爵領での小麦の生産が前年度の3%増しです」
王、先週の嵐でミスルーの港に大きな被害がありました、漁民が嘆願をだしています」
王、商業自治区への街道整備が成功し大きな利益を生んでいます」
など等の報告が次々と俺の王城に届けられる。
俺はそれらの報告書に目を通し次々と指示をだしたり、間者や町の役人から得られた情報を聞いたりと忙しい。
そうまるで実地でやってるシムシティのファンタジー版のような感じなのだ。
しかも、うまくいけば国民達が死ぬほどよろこぶさまが楽しくしかたない。
まぁもともと魔王に蹂躙され能無しの前王のおかげでボロボロだった王国だ。
これ以上最悪になることなんてないから気楽にできていい感じなのだ。
「さて、もう一仕事するかな」
俺はそばに控える有能な大臣達に笑いかけるとまた政務に取り組むのだった。
こうして俺は後の世に魔王を倒した英雄だけでなく善政をしいた素晴らしき王としても語り継がれることになるのだった。

良い王様 (BAD END 3)

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