西の大神殿にむけて俺は旅立っていた。
道中、何度かモンスターに出合ったがまったく敵にもならなかった。
まだここらは序盤なので、あんまり強いモンスターはいないだが…弱い！
むちゃくちゃ弱すぎ！
ぜんぜん歯ごたえがない。
俺が手を一振りするとモンスターの十匹、二十匹が消えていく。
そして、その後には、ちゃりんちゃりんと転がる小銭。
けっ、ろくなもん持ってねぇなぁ。
まあ、レアなアイテムでてもアイテムコンプリート状態で始まってる俺は全部持ってるけど……
というか、最終アイテムの魔王が持つ「支配のオーブ」まで入ってるんだもんなぁ
なんのために冒険してるんだろ。
俺はため息をつきながら、小銭を拾う。
なんだよ！小銭も大切な金だぞ！
一円を笑うものは一円に泣くってな。
俺はすでに9999999999ゴールドあるため、一杯のカバンはあきらめてズボンのポケットに詰め込むと、また道を歩き出した。
その時、
ドゴーーーン
すぐ向こうの山のから激しい爆発音と衝撃が襲ってくる。
これは！
今まで晴天だった空の一部に暗雲が垂れこみ、そこから紫色の雷が何本も落ちている。
山向こうから立ち上る煙には赤や黄色の爆炎に混じり、怒声や悲鳴も聞こえてくる。
魔法攻撃だ！しかもあの方向は、西の大神殿があるほうじゃないか！
むむ、なんかイベントが発生しているのか？
しかも、この俺も知らないイベントだ…むう
俺がこの世界に来たことで、話にずれでもできたのかもしれんな！
まあ、今はとりあえず大神殿へ急ごう。
俺は冒険気分を味わうため使わなかった転移魔法を唱える。
「転送！西の大神殿へ」
ぐにゃりと、目の前の光景が歪んだ。
「うおっと」
ぽんと軽い音をたて、俺は地面に降り立つ。
その目前を真っ赤なブレスが吹き荒れ、赤や緑の怪光線が迸っていた。
ドラゴンや魔獣、巨大昆虫なんかの強大で恐ろしげな化け物達が、神殿の柱をなぎたおし、真っ黒な鎧を着た騎士の集団が斧を振り上げている。
そしていたる所に、倒れている僧侶達。
ふむ、これは大乱戦だな
どうやら魔物の軍団が大神殿を襲っている真っ只中らしい。
しかもよく見ればドラゴンは黄金に輝くエメラルドのブレスを吐き、魔獣や巨大昆虫はどれも雷や毒を撒き散らす異世界の邪神の眷属、そして黒鎧の騎士達は闇のパラディンと呼ばれる最高クラスの魔人だ。
こいつらってば、最後のダンジョンにいる最強クラスのモンスターじゃないか。
『グルルルルルルッ』
ドラゴンが牙をむいて襲ってくる。
しかし
「まいったなぁ」
ぼひゅ！
俺が頬を掻くために上げた手に当たっただけで、凶悪なドラゴンの首が弾け飛ぶ。
まぁ俺にとっちゃどれも雑魚だ。
しかしまぁ、こんな序盤に、なんでこんな高レベルモンスターが？
「きゃあぁぁぁぁああ」
その時、神殿の奥から女性の叫び声が聞こえてくる。
むむむ！女！
俺はダッシュで駆け出すと、まわりのうざいモンスターを張り倒しながら神殿の奥に走りこむ。
そこは大きめの扉の前に、山のように積まれた椅子やタンスのバリケードがあった。
そしてその隙間に顔をつっこむ一匹の巨大な暗黒のドラゴン。
バリケードの向こうには、気丈にもメイスやモーニングスターを構える女僧侶達が見える。
ふむ、そーいえばここは美と豊穣を司る大地母神を奉る神殿だった。
そしてその教祖たる聖母を守る女神官戦士団ってのがいたような。
そうするとあの奥に聖母ちゃんがいるわけだ。
くくくく、いよいよご対面だな。
それにあの神官戦士の女たちも、なかなかだ。
聖母のために各地から選ばれただけあって、全員美人ぞろいだ。
黒やら、赤やら、金色の髪に、白や黒のさまざな肌、くくくく、ここにいながら世界中の美女が楽しめるってわけだ。
『オイ、貴様なに者じゃ』
ん？俺が美女達から顔をむけると、そこには巨大な邪龍の顔があった。
お、こいつは暗黒の邪龍神グルバルドゥーンじゃないか。
たしか最終ダンジョンで出てくる隠れボス的キャラだ。
ふーむ、隠れイベントで勇者の父親が昔、体に流れる神の血を使って封印したって奴だよなぁ。
まあ、とどのつまり先代勇者でも倒しきれなかった強敵ってやつだ。
確か暗黒ブレスのダメージが凄まじいんだよなぁ。
『ゴオオオオオォオオオオオオ』
ぼーっとしていた俺の体を、邪龍の口から吹き出た漆黒のブレスが包みこむ。
おお、辺りの大理石の床が腐るようにドロドロに溶け、倒れ付していた僧侶（もちろん野郎だ）の体がグズグズに崩れていく。
『グォオオオオオオ』
ブレスが吹き荒れた後、そこに立っているの俺だけだった。
もちろん無傷で。
「わりいんだけどさ、俺全部のステータス異常の攻撃に無効なんだよね」
俺はあっけらかんと、そう言いながらアイテムの入ったカバンを漁りだす。
『なっなっなんじゃとぉおォォ、ワシこそは黒より黒き永遠の闇、地獄の暗黒の中で生をうけ幾千年、数多の命を狩る伝説の魔龍、次元をも切り裂くこの爪！オリハルコンをも溶かす最強のブレス！人間どもはワシを恐れ暗黒の帝王とよび、またあるときは闇を……ぐぎゃぁぁぁぁ』
「ああ、うるさい」
俺はカバンから取り出した初期装備のダガーでサクッと刺していた。
『ぐはぁ…ちょっ…ちょっとまて、ワシは世界最強最悪の暗黒…ぐげぇ』
「はいはい」
もう一刺しすると、邪龍はバタッと死んでしまった。
ふむ、鱗が墨みたいに黒く濡れてて汚そうだからダガー使ったのは正解だったな。
触んなくてよかったぁ
ばっちいもんな。
「あぁ、旅の御方、ありがとうございます」
「なんと勇敢な戦士なのでしょう、助かりましたわ」
「あの邪龍を倒すとは、あんたやるね」
「あぁ大地母神よ感謝します、英雄を遣わしてくださって感謝します」
チェインメイルの上に揃いの白いケープを巻き、フレイルで武装した神官女戦士達が群がってくる。
全員が大地母神に仕え聖母を守る清らかな戦乙女たちだ。
鍛えられた体に不屈の精神の女神官戦士達か……これは面白くなりそうだ。
「どうも、という者だが、聖母に会いたくてきたんだが」
「殿と申されるか、あの邪龍神を滅殺されるとは……誠にありがとうございます」
神官戦士隊の隊長らしき女性が一歩進み出て俺の前で深々と正式な礼をする。
短めに切り揃えられた薄い金色の髪に、長身でスタイルの良いボーイッシュな女戦士だ。
ブレストプレートには大地母神のシンボルが彫られ、金の刺繍がはいった純白のマントを羽織っている。
「いやいや、気にすんなよ、たまたま通りかかっただけさ」
俺は気楽にそう言うと、握手でも求めようと手を差し出した。
「おお、なんとあの伝説の邪龍神を倒されたのにその謙虚な態度……このクレア・シーンまこと感服いたしました。あなたこそ伝説の勇者」
彼女は驚いたことに俺の前で床にひざまずくと、俺の差し出した手の甲にうやうやしく接吻する。
「真の勇者よ、よくぞ来られました」
その白い頬はピンク色に染まり、青い瞳には尊敬と敬愛の念が宿っている。
さらに、後ろに控えた神官戦士団の女の子達も次々と俺の前にひざまずくと、俺の靴の先に接吻をしていく。
どの子も俺に羨望と恋慕の視線を向け、片膝をついて礼を尽くす。
「いや…俺は…まっいっか」
ぬはははは、こんな展開も悪くねぇな。
くくくく、いずれのこの男勝りの乙女達を、ヒイヒイ言わせて……
「勇者様？……いかがなされました？聖母はこちらにおられます」
隊長のクレアが立ち上がると、俺を崩れたバリケードの向こうへ誘う。
「お前達は急ぎ負傷者の手当てと、残党を狩れ」
『はい、隊長』
クレア隊長の号令以下、戦乙女達がフレイルを構え、癒しの魔法を詠唱しながら半壊した神殿に散っていく。
「さあ、勇者殿はこちらへ」
「うむ」
俺は大仰に頷くと、革鎧に包まれた鍛え上げられキュッとしまった形のいいお尻の後をひょこひょこついて行く事にした。
そこは荘厳と言うか…まさに神の領域だった。
バリケードの後ろの大地母神のレリーフが彫られた豪華な扉の先は、神殿の中心部たる聖母の部屋だった。
清浄さを象徴する流水が部屋の中を走る水路をめぐり、ホーリーマジックで作られた聖なる光が輝いている。
ふむ、いい所じゃねえか。
そして、その中心、光のベールに包まれた白いクッションに座っている一人の女性。
類まれな美貌をもつこの女性こそが、この大地母神の大神殿の長たる聖母だろう。
聖なる光に包まれた、その女性は設定では確か年のころは２０代半ばってはずだったが、その美しさは年齢不詳の魅惑を放っていた。
長く腰までウェーブした黄金の髪、クリスタルのように澄んだ瞳をもつ、まさに絶世の女神のような美貌。
ゆったりとした聖衣はほのかに輝き透けて、そのすらしとした体躯に大地母神の豊穣の祝福を受けた豊かな乳房と、優雅な腰の曲線が透けて浮かび上がらせている。
「殿、このお方こそ我らの母、聖母レイナ様にあらせられます」
神官戦士団の若き隊長は、まるで実の母を紹介するように敬愛をこめて紹介する。
聖母レイナ……このゲームでも中心を占める重要人物だ。
主人公（今は俺だが）は事あるごとに聖母の大神殿を訪れ、この不思議な美女から予言を聞き、それをヒントにイベントをクリアーしていくって展開だ。
だが、このゲームを死ぬほどやりまくった俺は全ての予言を覚えていた。
つまり目の前にいる聖なる波動を漂わせる美貌の女神の使徒の使い道は……くくくく、一つだけだな。
俺は薄い衣から透けて見える八頭身のナイスバディと大地母神に祝福されたその美貌を見つめる。
やばい、ち○ぽたってきたぜ。
「聖母様、こちらにおられる方があの伝説の邪龍神グルバルドゥーンを倒されたのです、しかも一撃で！このお方こそ我らの救い主殿、ああぁ、あの勇姿！邪龍の暗黒ブレスをものともせず勇敢に剣を振るわれたあの姿！まさに世界を救う勇者様に相違ありません！」
「わかっておりますわ、クレア、すべて水鏡で見ておりました……様……わたくしには見えます……あなた様こそ、この闇に覆われた世界を救う勇者の血を引くおかた……新たなメシアです」
「おおぉ、やはり殿こそ我らがお待ちしていた勇者様なのですね」
クレア隊長はボロボロと瞳から涙を流している。
神々の代理人を自称する聖女は、ゆっくりと俺の側に歩み寄ってくる。
くくくくく、近くで見るとますますいい女だ。
しかも聖衣が透けて乳首まで見えてるぜ。
「わたくしには見えるのです、しかし…全てを見通すことはできません…微々たる物ですが、わたくしのこの力を勇者様に捧げます」
うーん、乳首の色は薄い桃色か、でも乳輪はけっこうでかいなぁ
「わたくしの予言、必ずや英雄の血をひくあなた様を……」
腰もきゅっと引き締まり、そこからつり上がったヒップへの麗しい曲線が走っている。
くくくく、けっこうスケベな体つきだな。
「そして、いかなる時も、勇者様を助けるのがわたくし達の使命……あら？……どうかなされましたか？」
おお、今チラリと見えた金色の毛は……ちっおしいもう少しで全部見えたのにぃ。
「勇者様？」
うむー、もう少ししゃがめば見えるかも。
「殿？」
あ、バカどけクレア！お前の脚が邪魔で見えん。
そんなに焦らんでも、お前も後でたっぷり犯してやるからな。
「……勇者様？」
「ん？」
俺がその声に正気に戻って顔を上げると、不思議そうな顔で二人の美女が覗き込んでいる。
「いや…うっうほん…なんだ、そのえ〜と、そう、邪悪な気配がして……そう、それで気配を探っていたんだ。うむ」
「まぁ、そうだったのですか勇者様」
「おぉ、さすがです殿」
俺を最高の戦士と信じて疑わない女戦士と、大神殿から一歩も外に出たことのない世間知らずの聖母は軽く騙されている。
ふむ、さすが勇者効果もうモテモテだな。
「それで邪悪な気配は何処ですか？殿」
ちゃきっとフレイルを構える律儀なクレア。
「え！…あぁーと…そう、ほらそこら辺から、そこはかとなく邪悪な気配が」
なんて、まぁ適当にその辺を指してお茶を濁す俺。
だが！その時！
「きゃはははは、さすが勇者を名乗るだけはあるのね〜〜」
俺が適当に指した空間が突然歪み、声高に笑う少女の声が響く。
「あれ？マジ？」
「まさか、ここまで魔族が！」
「すさまじい邪気ですわ、勇者様お気をつけて」
クレア隊長はすかさず聖母の前に立ち盾となる。
「きゃはははは、おっは〜っ、聖母に勇者さん、悪いんだけど死んでもらうのね〜」
その声とともにドロンと現れたのは……
真っ黒なボンテージファションのいかにも悪役っといった感じの美少女だった。
お気楽な感じで笑顔を振りまきながら、元気よく手を上げ胸を突き出すお馬鹿でスケベな格好だ。
その体は少女とは思えない妖艶な色気を放ち、ラバーボンテージがまるで絞り上げるように絡み付いている。
小柄な体に、いびつに盛り上がる大きな乳房、すらっとしたお尻の割れ目には細い紐が絡み付いているだけだ。
童顔巨乳の美少女か……ボンテージファッションがいかにも魔族って感じでよろしい。
「きゃは、みんなどうしたのぽか〜んとしちゃって、へんなのね〜」
ライオンヘアーの様に逆立った赤い髪、好奇心に満ちた幼い瞳、ふっくらとした肉厚の唇から、むちゅ、と投げキッスを飛ばしている。
「は〜〜い、みんなヨロシクぅ、あたしフェンリル、これでも魔界の王女さまなのね、フェンちゃんって呼んで欲しいのね〜」
二の腕で巨乳をはさみバストを突き出すグラビアモデルのようポーズを取って愛嬌を振りまいている。
な！フェンリルだと！そういえば魔王の娘の名前もフェンリルだったな。
確かゲームでは中盤からでてくる色物キャラで、主人公と何かと敵対して何度もやられる役どころだ。
最後は魔王に入れ替わっていた真のラスボス古代龍を倒すために、魔界の秘術を教えてくれるってキャラだったはずだが……
それが何でここに！
「きゃはは、そんなわけで、みんなとはもうお別れなのね〜、バイビー」
フェンリルが色気たっぷりのポーズで両腕を挙げると、その手のひらに真っ赤な熱球が生まれる。
「じゃあ、みんな死んで欲しいのね〜」
むちゃなことを可愛いらしく言いながら、ぽいっと無造作に炎系の最上級魔法が投げ飛ばされる。
ゴォオオォオオオオーーー-
周りの空気を一瞬で焼き尽くし、プラズマを放出させながら迫る熱球！
「きゃははははは……あり？」
「ふむ」
パシュゥ
俺は何気にそれを手で握り締めて掴んでいた。
「ちっ、つまらん攻撃だなぁ、返すぜフェンちゃん」
ほれって感じで俺は手の中の熱球を放り投げる。
ゴォオオオオオオオ〜〜〜〜
それはフェンリル嬢の百倍の威力で宙を舞う。
「にゃにゃ…そんなぁぁ…ふぎゃああああああ」
ぼふっと炎に包まれ、踏まれた猫のような声を上げるフェンリル。
「あちちち、いやんぁん、もう、髪がこげちゃたのね、グスン」
へたり込んでベソをかきはじめるフェンリル。
おお、けっこう頑丈、さすが色物キャラ。
「なっなんなのですか奴は？殿」
「あぁ、魔王の娘だよ、まあ幼く見えるが高レベルの魔女だからお前は下がってなクレア」
俺は聖母と女戦士の前に進んで立つ。
「あぁ勇者様」
「殿！」
二人がうるうると潤んだ瞳で俺を見ている。
設定ならこいつら大地母神の信者達は伝説の勇者を待ち続けていたはずだ。
その勇者が現れ、しかも自分のために身を呈して守ってくれるのだ感涙モノだろう。
くくくくく、俺の大事な女達になる予定だからな、傷一つ付けさせん。
俺はもちろんヨコシマ１００パーの心でニヤリと笑う。
「クスン、クスン、もういいのね、頼りになる下僕ちゃんを呼ぶのね〜」
グシュグシュと涙を拭きながら、童顔爆乳ワガママ王女が立ち上がる。
「出てくるのね〜あたしの可愛い奴隷達〜っ」
フェンリルは自分の目の前の何もない空間を軽く叩く。
「おいでぇ、淫魔、リムス！サバス！」
その途端、ボワンと煙が上がり、半裸の美女が二人姿をあらわす。
『よばれて飛び出てジャジャジャジャーーン』
ベタベタな台詞を吐いて二人の美女が腕を腰にあて挑発的に巨乳を突き出し、腰をくねらせていた。
一人は金、もう片方は銀の腰まである長い髪の美女だ。
腰の張りと豊満な胸は王女よりも数段増し、何故か半裸で黒紐のボンテージ衣装の上から、フリフリしたカチューシャと、これまたフリルのついた小さな前掛けエプロンを付けている。
むう、スケベな体の淫魔メイドさんか、やるなフェンちゃん。
「ふふふふ、リムスと申します」
「サバスだ、よろしくな」
妖艶なサキュバスの美女がお互い体をくねらせながら挨拶する。
色気たっぷりのメイド淫魔達の背中からは真っ黒なコウモリの翼が生え、くいっと突き出されたお尻のエプロンの結び目の下からは真っ黒な尻尾がピンクピクン跳ねている。
「きゃははは、二人とも魔界では名の知れた、つよぉ〜い淫魔ちゃんなのね〜」
「ふふふ、姫お褒めに預かり光栄ですわ」
「それでは姫のために、こいつらブッ殺して差し上げます」
その声と同時に二人の姿がヒュッと消える。
ほう、高速移動だな。
シュンっと黒い影が通り過ぎると、俺の服の袖がピッと切れて落ちる。
くくく、結構速いなぁ
「どうかしら、勇者さん」
「あたし達の爪はなんでも切り裂く、勿論お前の肉もな」
メイド淫魔たちは超ミニのフリルエプロンから真っ白な生足を剥き出しにして、手の爪をきらめかせる。
「きゃはははは、あたしの下僕ちゃん達は最強なのねぇ、二人ともお家に帰ったらたっぷり可愛がってあげるのね〜」
「あぁん、楽しみだわ、姫のおっぱい大きくてわたし大好き」
「あたしもスキ、姫の喘ぎ声…くすくす」
淫乱サキュバス達は自分の主人との肉の交わりを思い出し、自慢の尻尾をくねくね動かす。
やれやれスケベな奴らだ。
「くくくくく、それは無事お家に帰ってからだぜ、売女ども」
某漫画の主人公よろしく、俺は手にもっていた黒いゴムの塊を二つ床に投げ捨てる。
一度やってみたかったんだぁ。
「あ！それは」
「あたし達の下着！」
二匹の淫魔は慌ててエプロンの上から股間を抑える。
まあ、素早さMAXの俺に勝てるわけがないわな。
「ううう、強さの桁が違うのね、これはマズイのね」
ワガママ姫もようやく現実が見えてきたようだ。
だが、もう遅い。
俺は無造作に手を上げると、雷撃の魔法を詠唱しだす。
こいつに当たれば、しばら電撃にやられて動けないはずだ。
くくくく、このエッチなメイド淫魔のリムスとサバスを調教してやるのも悪くないかもな。
「ほら、しっかり避けろよ」
俺は手のひらを突き出すと、バリバリと電撃が縦横無尽に走り部屋を駆け回る。
避けろといったが、範囲魔法だから避けようがないだろう。
だが、
「逃げるのね〜っ、空間転移ぃ」
ボンテージのフェンリル姫がそう叫ぶと、魔族の姫とお供のサキュバス達の周りの空間が歪み出す。
ちっ、お得意のとっととトンズラか！
俺は……
もちろん追うぜ！ワガママ姫と淫乱メイド淫魔はたっぷり犯してやらないとな！
まてまて、こんなに早く撤退するか？これは罠だ、深追いせず聖母のもとに残るぞ！