石田文庫

石田和外文庫前書 

一刀正伝無刀流第五世であり、宝蔵院流槍合せの型伝承者でもあられた恩師石田和外先徳(元最高裁判所長官)の処には、自ら古武道に関する古文書などが、関係者からの献呈などによって集まり、その量は整理箱三箱に達していた。先徳没後ご遺族の依頼を受けてこれを整理し、「石田和外文庫」と命名したものが本目録である。本目録の註記は、各文書を瞥見しての印象に基づく判断の域を出ず、即ち各文書を精査しての結果ではないこと、また上記整理箱には収蔵されていても、必ずしも本目録に収載するに相応しくないとおもわれるものは、収載から除外したことを附言して、本文庫に対する前書とする。
                        一刀正伝無刀流卯月会主宰  山崎 卓 誌

文書番号 文書名 註記
一刀正伝無刀流開祖山岡鐵太郎先生遺存剣法書 文書番号2の完成に応じて後に「乾之巻」と命名されるもの。内容は第一輯に「一刀正伝無刀流兵法春風館伝書」を収め、第二輯に「旧幕府御師範家一刀流本元小野家伝書」を収める。
村上康正先生の事業の集大成を為すもの。
一刀正伝無刀流開祖山岡鐵太郎先生遺存剣法書坤之巻 文書番号1のものを受けて第三輯から第五輯までを収める。第三輯は「一刀流忠也派伝書」、第四輯は「一刀流中西派、其他一刀流諸派、北辰一刀流伝書」、第五輯は「新陰流、直心影流其他諸流伝書」
鐵舟居士の真面目 全生庵発行(昭和43年7月25日第4版)
全生庵記録抜萃 文書番号3の前身をなすもの。編集・発行は全生庵関係者(大正7年3月23日発行)
無刀流開祖山岡鐵舟先生剣道書 文書番号6から推測するに、山岡先生の草稿を、香川先生、小南先生が筆写したものを恐らく住友において活字に印刷し製本したもの。
無刀流開祖山岡鐵舟先生剣道書と朱書されている罫紙の綴 文書番号5の原稿をなすもの。
一刀正伝無刀流剣道書 その扉の部に配された書の染筆者名から推測するに藤里先生が製作された和綴本か?
和綴本「一刀流三祖伝記」他 藤里新吉先生の写本乃至手控本。同先生の見解等も窺える。寺本武治氏発信小倉正恒氏宛の書簡一通が間にはさまっている。
剣道教範 全 のコピー 柳多元治郎著
 明治44年8月
 大正2年9月 第5版 宝文館発行
柳多元治郎先生の著作本(大正2年 第5版)のコピーである。
10 一刀正伝無刀流春風館記録集 文書番号1の前身と目すべきもの。但し収録項目の異同については突合を要す。無刀流組太刀論定会記録の如きは文書番号10にはあるが1には無い。
11 一刀正伝無刀流春風館記録集 文書番号1の前身と目すべきもの
12 無刀流剣道春風館記録 文書番号1の前身と目すべきもの。(乱丁あり)
13 一刀正伝無刀流開祖山岡鐵太郎先生遺存剣法書の目録の案 文書番号1および2を作成するに当って収録物並びにその配列について作成した案
14 山岡鐵太郎先生遺存剣法書目録 春風館文庫 文書番号13の註記に同じ
15 一刀正伝無刀流開祖山岡鐵太郎戦士遺存剣法書 坤之巻の目次 文書番号2の文書の目次の抜刷り 2部
16 「神道無念流兵法伝書 表紙」と朱書してある仮綴本 本文庫に収蔵されていないものに村上康正先生の製本になる「山岡鐵太郎先生直筆剣道書」と題案された秩に入った八冊の書籍がある。本仮綴本は、その八冊のうちの第三冊目の試刷りと思われる。
但し冒頭の10葉は脱落している。
17 「三.詰座刀抜 表紙」と朱書してある仮綴本 文書番号16の註記記載の書籍の第四冊目の試刷り。但し、その第四冊目と突合すると、朱書による頁表示21頁と22頁の間には1葉の脱落がある。
18 「ニ.此古文書云々 表紙」と朱書してある仮綴本 文書番号16の註記記載の書籍の第五冊目の試刷り。
19 巻物 無刀流剣法邪正弁 「高橋道太郎先生が筆写して岡田直雄氏に贈る」旨の記載あり。但し落款の印はない。
20 無刀流の文献を写真に撮ったもの
 ア.余九歳ヨリ…
 イ.剣法三角矩
誰が誰所有の文献を撮ったものかは不明
21 無刀流香川先生の覚え書 香川先生の覚書を筆写したもの。大阪裁判所用の封筒に収められている。昭和12年2月「藤村氏ヨリ拝借うつす」とコメントあるも誰が筆写したかは不明。
22 無刀流組太刀の所作についての手控各種 ア.塚本東雁先生の無刀流の組太刀の仕方(製本用のものとして謄写された製本直前の状態のもの)
イ.アと同文(前半13葉は半紙に筆書き、後半は東京高等裁判所罫紙にペン書き)
ウ.横長の罫紙に昭和30年12月石田和外先徳が筆写された「一刀正伝無刀流組太刀(50本)」と「切落(6本)」と「正五典」と「刃引」の所作と「一刀流兵法12箇條目録」
エ.「裁判所検事局用」の罫紙に書かれた無刀流の組太刀の所作
(山崎はこの時点ではこれは無刀流のそれであって一刀流のそれではないと思料する)
オ.横長の罫紙に鉛筆で「目録」以下を書いたもの
(山崎はこの時点ではこれも無刀流のそれであって一刀流のそれではないと思料する)
カ.ノート1冊(これは無刀流組太刀の所作の他に北辰真武一刀流組太刀の名称及び所作の記載あり)
キ.「裁判所検事局用」の罫紙に書かれた小太刀の所作と目される手控と「相小太刀」と記入がある手控
(山崎はこの時点ではこれも無刀流のそれであって一刀流のそれではないと思料する)
23 遠藤俊夫氏から石田和外先徳に宛てた書簡 香川善治郎先生関係の写真
24 香川先生と小南先生を撮った写真
25 草鹿龍之介先生の無刀流の構えを撮った写真 撮影者は村上康正先生
26 雑誌 武道評論第四巻第四号 石田和外先徳を訪問した記事所収
27 書籍「連合艦隊の栄光と終焉」草鹿龍之介著 行政通信社昭和47年刊 草鹿先生の回想録 本書は1979年(昭和57年)「連合艦隊参謀長の回想」と改題されて再版されている。
28 昭和46年11月25日付大阪新聞 草鹿先生の逝去を大々的に報じている。
29 雑誌 武道(昭和42年7月号) 渡辺礼輔氏の西久保弘道先生紹介記事が載っている。
30 鳥城第10号 通巻70号記念 昭和52年7月
鳥取県立鳥取西高等学校発行
山根幸恵氏の研究になる河田景与に関する論文所収
附属物件として山根氏から石田和外先徳に宛てた書翰一通
31 一刀流兵法秘伝書 「草鹿氏用紙」(これは龍之介先生が自家用箋として特別に作らせた用箋であろう)に筆写されたもの。筆写したのは龍之介先生であろう。挟み込みされていた物件として「一刀正伝無刀流門人証」の用紙1葉。これは全生庵が何部か所蔵するものと同じ物である。
32 一刀流兵法秘書 津軽越中守信政へ小野次郎右衛門忠於が与えた「一刀流兵法本目録秘書」の写し。
33、34,35 笹森順造氏が石田和外先徳に与えられた印可の巻物 石田和外先徳の遺品である。
33は一刀流兵法假字目録
34は一刀流兵法十二ヶ條目録
35は一刀流兵法本目録
日付はいずれも昭和37年1月28日
36 一刀流兵法本目録を写真に撮ったもの 寛保四年甲子年二月二十九日小野次郎右衛門が大久保山城守に与えた印可書の写真。三井喜彦氏が石田和外先徳に贈られたもの(手紙あり)
37 草鹿浅之介氏から石田和外先徳に一刀流三傑の図一幅(小倉正恒氏所蔵のもの)を贈る旨の書翰
38 一刀流関係の文書あるいは組太刀の所作についての手控各種 ア.一刀流兵法十二ヶ條口伝聞書
イ.一刀流兵法假字書目録
ウ.中西子武から山鹿八郎左衛門に宛てた書翰
エ.小野派一刀流切組本数調
オ.「裁判所」用罫紙に書かれた「小野派一刀流切組所作」
これはエの第二章第一節の書き出しから五本目までと第一章第二節の三番目の「メ五本」から以下第三節までと全く同文である。
カ.「裁判所検事局用」罫紙にペンで書かれた「他流勝之太刀」の所作の手控
キ.「裁判所検事局」罫紙に鉛筆で書かれた「五典」「他流勝之太刀」の所作の手控。
ク.「九箇之太刀」と「刃切合」の名称を書いた紙一葉と日記帳用の用紙に書かれたそれらの所作の手控。
ケ.「裁判所」用罫紙一葉に書かれた「刃引の型」の所作の手控と「裁判所検事局用」罫紙に書かれた「拂捨刀」他の所作の手控。
コ.罫紙二葉に書かれた「他流勝之太刀」「相小太刀」「小太刀」の所作の手控。
39 笹森順造氏の葬儀関係資料
40 北辰一刀流兵法箇條目録
41 巻物 直心影流兵法目録次第 この巻物は榊原鍵吉より木村定宛に贈られたもの。日付は明治4未年8月吉日 榊原の印あり。
この巻物は傷みの進行を止めるため平成17年暮川越の表具師フカゼン商店に依頼して表装を新たにした。
42 直心影流兵法目録添状 文書番号41の巻物に添えられたものか?榊原の印あり。
43 巻物様写真版兵法伝記 天保六年に鹿島神伝12代深見休八から折田清七郎に贈られ、更に文久四年に折田清兵衛に贈られた巻物を昭和15年世良亮一が筆写したものの写真版。
44 巻物様写真版直心影流兵法目録次第 天保十三年深見休八が折田清七郎に与え、更に明治二年折田清兵衛に与えらえられた巻物の写真版。
45 巻物様写真版新影流 元禄二年に有地内蔵尉が有地七郎兵衛に与えた巻物の写真版
46 品川東海寺所蔵 柳生新陰流兵法覚書 同寺所蔵の「新陰流兵法心持」と「玉成集五ヶ身位の事」の古文書を写真に撮り、その写真と対照しうるように活字にて印刷したもの。
47 燕飛詳伝 柳生新陰流中興の祖長岡房成の著作物(原文漢文)を柳生厳長氏が読み下し文に改めた印刷物
48 新陰流仕込杖遣様目録口伝書 柳生三厳の著述に柳生厳長氏が略注を加えた印刷物
49 柳生厳長氏が石田和外先徳に呈上した家伝の文書の写 ア.構者之習之事
イ.石舟斎自筆口伝書
50 柳生会関係講述テキスト 附「第89回柳生会お知らせ」の葉書 テキストは39点 但し第一回から通巻して揃っている訳ではない。
51 柳生新陰流兵法表太刀(三流祖の肖像画
あり)
柳生流の所作を連続写真にて解説したもの。
52 剣聖柳生の系譜 柳生流についての歴史、文物等を解説したパンフレット
53 奈良と剣 柳生流についての歴史、文物を簡略に解説したパンフレット
54 柳生石舟斎兵法百歌のうちの三首
55 巻物 慈玄太刀真之巻 明和元年甲申年七月の日付あり。新藤角左衛門尉以下の連名の後、梅津が小野半助に与えたもの。この巻物は傷みの進行に備えて平成17年暮川越の表具師フカゼン商店に依頼して表装を新たにした。
56 石見守藤原正直銘の槍穂壱穂の受領書 奈良市長鑓田忠三郎氏他二名から石田和外先徳に宛てたもの。昭和51年12月18日付。
57 槍術印可の巻物(宝蔵院流関係の古文書) 天和三癸亥正月十六日 尚継が上田勝左衛門に与えたもの。本物件は奈良の鑓田忠三郎氏が石田和外先徳に奉ったものである。
この巻物は傷みの進行に備えて平成17年暮川越の表具師フカゼン商店に依頼して表装を新たにした。
58 巻物(宝蔵院流関係の印可書の断簡) 桐箱入り。新聞切り抜き(「素描」という囲み記事)が添えられている。
59 十文字鎌兵法家元諸伝秘録 全 奈良市中央武道場の道場開きの際、鍵田忠三郎氏より石田和外先徳に贈られたもの。家元に伝わる文書をコピーしたもののようである。同じ物が2部ある。
60 小倉信子氏発信の書翰 昭和51年2月20日付 槍術の奈良への伝授についての反響を示す資料
61 宮原邦香氏発信の封書 槍術の奈良への伝授についての反響を示す資料。高田又兵衛の子孫との対面の記事がある。
62 奈良で行った槍の手ほどきを報じる各地の新聞多数と週刊誌。昭和51年1月8日頃。
63 鑓田忠三郎氏発信書翰四通 槍術の奈良への伝授の経緯を示すもの。
64 一高撃剣部において伝承の宝蔵院流槍術槍合せの型の手控各種 ア.矢野一郎氏手控
イ.推定林武次氏のノートによるもの
ウ.吉谷正之氏手控
エ.鎌田正二氏ノートによるもの(A)
オ.   〃             (B)
   (A)(B)は同文である。
カ.綴じが解けているノートに記述してあるもの。
65 穴山徳夫氏作成の宝蔵院流高田派槍合せの型の絵目録と同覚書 ア.絵目録
イ.覚書
66 宝蔵院流目録聞書他を誌したノート一冊
67 十文字目録之事 これは文書番号68と同文のものであるが68の誤字脱字を朱書により訂正しようとした試みが見られるもの。
68 高田又兵衛伝宝蔵院流十文字口伝書(久世大和守広之著述)
69 宝蔵院流十文字鎌槍伝鎌槍兵法百歌首
70 奈良の宝蔵院槍術
71 鎌宝蔵院槍術
72 宝蔵院流長谷川派目録細註
73 巻物 槍術絵解き物 宝延二己巳年二月吉日の日付、並びに晴長の署名、花押あり。
この巻物は傷みの進行に備えて平成17年暮川越の表具氏フカゼン商店に依頼して表装を新たにした。
74 西沢秀正氏発信の書翰二通 旧帝国図書館本中における槍に関する図書名が記載されている。
75 石田和外先徳による鳴らし中央武道場道場開きにおける槍合せの型の解説 附属物として同道場案内
76 石田和外先徳による槍に関する随筆の草稿 附属物として奈良奉行を勤めた川路聖謨による寧府紀事抜萃二点
77 穴山徳夫氏から石田和外夫人への書翰 日本武道大系の関係箇所抜萃と社会保険倶楽部第175号を送るもの
78 一高撃剣部において伝承の一心流薙刀太刀合せの型の手控二種 ア.大野の印影のあるもの
イ.ガリ版刷りのもの
79 薙刀の所作を誌した傷んだノート一冊
80 起倒流柔術所作の手控
81 合気基本
82 大東流柔術秘伝目録
83 泥舟遺稿
84 真剣を手にしての型の写真
85 今井彦三郎先生(と思われる)肖像写真