上田令吉著「根附の研究」は、日本国内はもちろんのこと、世界の根付コレクターの間で最も有名な根付研究の本である。大阪市の電気局及び大阪市立美術館の嘱託として働いた上田令吉氏の労作である。この本の前身となる「趣味乃根付」が上田氏により昭和9年に発刊されている。戦後に本書の復刻版が2回刊行されており、また、英語版がレイモンド・ブッシェル氏により「The
Netsuke Handbook of Ueda Reikichi」というタイトルで出版されており、海外のコレクターの必携書となっている。
目次の構成は、1.日本彫刻史上より観たる根付、2.根付の名稱及種類、3.根付の起源と其の発達、4.根付の用途、5.根付と煙草入、6.根付の材料(木材、象牙及角、金属及陶器、漆器其の他)、7.根付の意匠、8.根付師、9.根付の地方的観察(上方もの、江戸もの、中京もの、其の他の地方もの)、10.根付の鑑賞法、11.根付流行の衰退、12.根付の海外輸出、13.根付の時代別観察、14.根付の文献及蒐集家、15.追憶(高村光雲先生訪問、大阪府工芸協会の追彰、山田法實墓碑掃苔)、16.根付師人名録となっている。全233ページで、巻末には有名な100ページ・約1300人の根付師人名録が付いている。
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