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第11回 根付の真贋 〜私の失敗談〜
続編 他のコレクターの体験A
平成15年7月17日

関西方面在住の根付コレクターの方から体験談の投稿を頂きました。

私も似たような経験があり、ドキドキして読みました。全てが全てこのような骨董屋ばかりではないですが、首をひねる思いをさせる骨董屋がいることも事実。

あなたの周りの人に、”骨董屋” のイメージや感想を尋ねてみてください。きっと、非常にネガティブ(マイナス)な反応が返ってくることでしょう。最近でこそテレビ番組の”なんとか鑑定団”のおかげで、アンティークに対する理解は深まりつつありますが、骨董屋に対しては、まだまだ一般にあまり良いイメージは抱かれていません。
これでどれだけの骨董ファンを逃していることかと思うと、残念でなりません。





私が根付に興味を持って間もない頃でした。

根付には偽物も多く、初心者はだまされやすいと聞いていたので、


「露店などではなくきちんと店舗を構えているところで買えば安心だろう。」

と思い、大阪でも有名な骨董街にある店に行きました。

そこの店主は初めての私にも親切にしてくださり、私はいくつかある中から手ごろな値段の根付を一つ選びました。すると店主は

「明治ぐらいのものだけど彫りも良いし、銘も入っているし、お買い得だよ。」

とその根付を勧めてくださいました。その時点では店主をすっかり信用していた私はそのままその根付を買って帰りました。

しかし、しばらくして知り合いにその根付を見せたところ中国物だと判明し

「騙された!」

と思い、その店に言って事情を話すと、店主は人が変わったかのようにソファーにふんぞり返りタバコをふかしつつその根付の代金をポンと机の上に放り出し、

「うちはいいんですよ、ただあんたがしょんべんかけるような人やとは思わんかったよ。」

と、あたかもこちらが悪いような口ぶり。しばらく話しているうちにこちらもついに怒りが頂点に達しその根付を机の上に放り出しお金をもらわずに帰ってきてしまいました。そしてその店には二度と行っていません。

その根付はあまり高いものではなかったのでよかったですが、今では自分に人も見る目がなかったのだと反省しています。今では信用できる別の店を見つけ、そこでは店主の方にも懇意にしてもらっています。

骨董は「物」「人」、両方を見る「目」が必要なのだと痛感した一件でした。



(注) ”しょんべんかける”とは、買った骨董を返品することを言う。



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