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第11回 根付の真贋 〜私の失敗談〜
続編 他のコレクターの体験B
平成15年7月28日


別の根付コレクターの方から体験談を頂きました。

信頼の置ける古美術商とのお付き合いの大切さが実感できました。蒐集初期には、その道の先輩、先達、目利きをパートナーに見つけることが重要なことだと思います。幸いにして私も未だその恩恵にあずかっています。書物やカタログも良きパートナーです。





あまり劇的なこともなくどうかと思いますが、今日までの根付との関わりを少し書かせて頂きます。

 高校生の頃、何かの雑誌で世の中に「根付」というものがあることを知りました。その大きく見える物の実際の小ささと意匠のおもしろさに惹かれたことを覚えています。しかし、知識も資力もあるわけが無く、心に「根付」というものの存在をおいたまま月日が流れました。

 2年半ほど前、東京の某神社で開催されていた骨董市を覗く機会があり、そこで「根付」に20数年ぶりに再会しました。今思えばただ鳥の形をしているだけで、なにがしかの彫りがあるわけでも無く、紐通し穴も有るというだけで何の実用性も無いひどい物でした。

 しかし、その時はやっと出会えたことに舞い上がり、「今時こんな時代のある本物はまずないよ」「根付を知っているだけでたいしたもんだ、そんな人にこの根付も貰って欲しがってるよ」とのお店のお兄さんの言葉を素直に聞き入れ、今思えば法外な大金を払って購入し、幸せな気分に浸っていました。

 これを機に、「根付」に関する知識と収集に火がつきました。お付き合いの有る骨董店も無く、地方に居住していることもあり、インターネット大手オークションがその主な収集場所となりました。

 ここで最初に入手したのが、「獅子根付」でした(大変真面目な作品で今でも気に入っています)。この時落札した作品と自分が骨董市で入手した物とが具体的に何がどう違うとかは解らないながらも同じ「根付」にしては、あまりにも何かが明らかに違いすぎ、不安になりました。

 そこで、私は「獅子根付」を落札したオークションの出品者の方に連絡を取ってみました。幸いにもご許可をいただき、骨董市で入手した鳥のような根付の画像をメールで送って、見て頂きました。
 その結果、ゴミも同然のひどい物であるとのご指摘をいただきました。ショックでした。

 しかし、その方は批評されるだけではなく、その後しばらくの間、真贋の見分け方のポイント等を何回も教えて下さいました。また、ご自分で所有されている作品の画像と解説・購入時の値段等もメールで送って下さいました。まさに先生のごとく面倒をみて頂きました。

 そして、さらにその後一年以上もオークションで私が興味を持った作品についてのアドバイスや相談にものっていただきました。

 現在は、信頼できる地元の骨董屋さんも出来、少しずつ勉強と収集を続けております。

 このように、私は最小限の失敗で済み、また、すばらしい先生にも出会え「根付」収集の初期段階から大変ついていたように思います。




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