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大黒天が袋を持っていて、鼠が袋の入り口にいる図です。
よく見かける図です。
正面の遠目ではよく分かりませんが、、、
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、、、背後を見ると、典型的な香港根付の紐通しや
香港根付特有の二色着色、香港模様が見て取れます。 |
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底面です。
以前からひび割れは入っていました。
一見したところ、
象牙特有の時代性を証明するもののようにも見えます。 |
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あるとき、大黒天の右足の内側が欠けてしまいました。
白い部分がそれです。
ひび割れに沿った欠けです。
そして、、、 |
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そのひび割れは突然大きくなりました。
象牙のような細いひび割れとは違います。
パックリと大きなものを飲み込むような地割れのようです。
象牙のひび割れではあり得ないことです。 |
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と、触っていたら、突然剥離して、割れてしまいました。
緑色のカビのようなものが見えます。
相当昔からヒビは入っていたのでしょう。
それにしても、ひび割れにしては何か変です。
ボンドのようなものでくっつけたような黄色い跡があります。
それから、何か部品のようなものが見えます。
何でしょうか。 |
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”部品”を取り外してみたら、見事に分離しました。
時計のボタン電池のようなパーツが二個、
きっちりと嵌め込まれていました。 |
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別の角度からです。
写真で分かるとおり、パーツは大黒天の袋の円形の模様です。
香港根付に見られる円形の模様は、なんと別のパーツとして作って、
全体のカラダのパーツに嵌め込んで接着していたのです。
流れ作業方式で作業効率が良く大量に生産できるのでしょうか。
それとも、大きなパーツ同士を接着させる”つなぎ”の
役割がこのボタンにはあったのでしょうか。 |
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組み立て直した底面の図です。
最初の方の図と見比べてください。
袋の円形の模様のパーツが綺麗に抜けていることがよく分かります。
香港の練り物根付の実態は、
なんとパーツの組み立て式だったのです。
このような円形の模様をパターンとして覚えましょう。
同じ模様を持つ根付は、ほぼ100%練り物根付です。 |
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他にも割れ目を見つけたので、剥がしてみました。
こちらも接着の黄色い跡が見えます。
大黒天の体と袋をまるで病院の
三次元CTスキャンで断面を眺めているようです。
面白いのは、紐通しの部分の断面です。
紐通しを加工するのは、機械を使用したとしても
手間がかかるものです。しかし、このパーツ方式ならば
ドリルで二カ所穴を開けて張り合わせれば一丁上がりです。 |
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最後に分解されたパーツを組み合わせてみました。
本象牙ではこのような分かれ方はしません。
練り物を組み合わせて作った証拠と言えます。
レジンなどの材料を圧縮固化させる練り物のため、
圧縮層が剥がれてきたのでしょうか。
それとも、一度剥がれた跡をボンドで補修したのでしょうか。
あまり美しいものではありませんね。
日本の本歌根付を模造した、敬遠すべき工業品です。 |
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