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この「見せびらかし」の文化を示す記録がある。江戸期の平戸藩主・松浦静山が1821〜1841年の間に書いた随筆「甲子夜話」(かっしやわ)は、所有していた50個以上の印籠・根付の提げ物について、それぞれの組み合わせを記録をしている。当時の大名が所有していた根付のことを示す貴重な記録なのだが、そのなかで提げ物の使われ方が語られている。つまり、松浦静山は大名なので、他の大名の屋敷におよばれすることがある。その際、屋敷の玄関から書院へ向かう廊下では、後ろから付きそう茶坊主に「今日の提げ物は○×ですな〜。」とお世辞を言われると書いている。また、江戸城に登営(登城)した折りには、提げ物は諸侯から見られ話題にされるので、同じ物ではなく数品を取っ替え引っ替えした、と記している。 |
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