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結論のポイント |
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江戸時代(18世紀)においては、既に相当量の象牙が輸入されていた。
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輸入量の水準は、江戸時代から明治時代に移行しても不変であり、明治時代の末期まで変わらなかった。よって、明治時代になって象牙の輸入量が急増した、という事実はない。
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明治時代の象牙価格は、現代の価格と同水準又はそれ以上であり、高価だった。明治時代は、大型の象牙根付を安価で大量に作らしめる程度に“象牙材が安価だった”とは言えない。
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また、明治時代以降に象牙の輸入量は急増していないので、「輸入量拡大(供給量増加)」を理由とした価格下落は、説明できない。
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江戸時代と現代の象牙の消費形態は異なることから、輸入量が江戸時代と現代とで異なるからといって、江戸時代の象牙根付の生産がただちに否定されることには、つながらない。現代の象牙消費量が異常なのであり、江戸時代の象牙輸入量は、むしろ当時の富裕層に十分に行き渡る量であった。
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現存している「18世紀の象牙根付」と称されているものの全体数は、当時の我が国の象牙輸入量に鑑みて、十分に説明が可能な範囲内にある。 |