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第44回 論考「江戸時代の象牙輸入の状況について」
平成19年6月29日




 この論考は、江戸時代から現代までの我が国の象牙の輸入などの状況について、輸入量や価格などに着目して検証することにより、18世紀において製作された象牙製の根付の成立可能性について論証したものです。



 【論考の構成】(JPG形式の画像ファイル)

  本論

   第1章 我が国の象牙輸入量の推移について 1ページ  2ページ  3ページ  4ページ  5ページ

   第2章 象牙の消費形態と一人あたりの消費量につい 6ページ  7ページ  8ページ

   第3章 明治時代の象牙材の価格について 9ページ  10ページ

   第4章 18世紀の根付製作で消費された象牙の総量について 11ページ  12ページ  13ページ

   第5章 結論 14ページ  15ページ


  付録

   Ⅰ 小論考 16ページ  17ページ  18ページ  19ページ  20ページ 21ページ
   Ⅱ 参考図表 21ページ  22ページ
   Ⅲ 参考文献 23ページ
   Ⅳ 謝辞 23ページ


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結論のポイント

江戸時代(18世紀)においては、既に相当量の象牙が輸入されていた。

輸入量の水準は、江戸時代から明治時代に移行しても不変であり、明治時代の末期まで変わらなかった。よって、明治時代になって象牙の輸入量が急増した、という事実はない。

明治時代の象牙価格は、現代の価格と同水準又はそれ以上であり、高価だった。明治時代は、大型の象牙根付を安価で大量に作らしめる程度に“象牙材が安価だった”とは言えない。

また、明治時代以降に象牙の輸入量は急増していないので、「輸入量拡大(供給量増加)」を理由とした価格下落は、説明できない。

江戸時代と現代の象牙の消費形態は異なることから、輸入量が江戸時代と現代とで異なるからといって、江戸時代の象牙根付の生産がただちに否定されることには、つながらない。現代の象牙消費量が異常なのであり、江戸時代の象牙輸入量は、むしろ当時の富裕層に十分に行き渡る量であった。

現存している「18世紀の象牙根付」と称されているものの全体数は、当時の我が国の象牙輸入量に鑑みて、十分に説明が可能な範囲内にある。






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