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第48回 京都 清宗根付館のご紹介
平成21年1月2日


 昨年、京都の清宗根付館(せいしゅうねつけかん)に行ってきました。一昨年にオープンした主に現代根付を展示する美術館です。京都の壬生にあります。

 もともとは壬生郷士・神先家(かんざきけ)の武家屋敷として文政三年(1820)に建てられた屋敷でしたが、現在の館長が買い取ってリニューアルさせたものです。いまのところ年四回のわずかな期間中のみ開館していますが、既に海外でも知られているようで、私が拝観したときにも外国人カップルが来館していました。

 根付館では1階と2階に綺麗なガラスケースに収められた数百点の根付を拝見することができます。展示の方法は工夫されていて、根付師ごとにその複数の代表作を間近で観察することができます。1階の展示は低い位置にガラスケースが置かれていますが、腰をかがめたり膝をつけても下が畳敷きなのであまり苦になりません。

 現代根付にはそれこそ渾身の力作から短時間でこしらえたような作品までピンからキリまで幅があります。しかし、根付館の作品は、蒐集に関して様々なアドバイスをされている方の助力もあり、第一級の仕上がりの作品をしっかりと収集していることが分かります。

 根付が実際に使われていたであろう江戸時代の武家屋敷の中で現代根付を拝見する、という妙は素晴らしく、このような形での貴重なコレクションの展示は末永く続けて欲しいと思います。

 なお、展示の中には古根付も少し含まれています。多数ではありませんが、良質な作品が散見されます。たくさんの現代根付を見終わってから古根付と現代根付を比較してみることも面白いでしょう。

 現代根付には現代の自由なデザインと高度な技術にその面白みがあります。他方、古根付には古根付特有の風格や味(アジ)が感じられます。両者を一度に比較することができるので、根付というものの歴史の深さを実感することができます。

 場所は有名な壬生寺の正面にあります。たどり着くまでには道に迷うおそれがありますので、タクシーで行くと確実でしょう。

 もし、じっくりと作品を眺める場合、1〜2時間の十分な所要時間を考えた方がよいかもしれません。また、ひとりで行くにはつまらないので、現代根付と古根付をあれこれ語れる素敵な仲間と一緒に行かれることをお薦めします。非常に手入れのゆき届いた屋敷です。ちなみに、お手洗いが必見です(!?)。



清宗根付館(正面)


清宗根付館の入口


清宗根付館の正面玄関


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