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根付ギャラリー 疑惑根付 その2





フェイク

本物

本物
一番左は正廣(まさひろ)の唐子と雪達磨のフェイクである。
良くできているが本物(中・右)と比べて中国根付特有の
顔の表情(チャイナ顔という)をしているのですぐに判別できる。
【カタログ等から写した意匠のフェイク】

フェイク

本物
上段及び下段ともに京都スクールの蝦蟇仙人のフェイク。
こちらも中国根付特有の顔の特徴を有している。
どちらも象牙の飴色が無く、練り物を固めたものと推測される。
昔から外国では京都スクールが高値で取り引きされて
きたことから、中国のフェイクの種類が多い。

フェイク





フェイク

本物
友親の布袋と唐子のフェイク。
友親を初めとした幕末明治頃の東京の根付師には同種の
意匠が数多く残されているが、顔の表情が完全に中国風であり、
フェイクと分かる。
現代根付師の駒田柳之氏が述べているが、根付は
人間の顔の表情の彫刻が難しい。
ここがフェイクを見分けるポイントである。
【カタログ等から写した意匠のフェイク】



懐玉齋は猿根付を得意として数多く残しているが、”岡友の鶉、
友忠の牛、正直のふくら雀、懐玉斎の猿、光廣の枇杷”

コピーものが多く出回っていることで有名。
こちらも懐玉齋の本歌を写したもの。陶器のような質感があり
何かを固めたものか、または漂白とつや出し等により象牙を磨いた物であろう。
【意匠のフェイク】
銘には「玉昇」と入っている。
顔が中国タイプである。

【銘の嘘】
現代物の鏡蓋根付の3種。
オークションで数多く出品されているが、本歌とは異なり
いずれも型で押したような意匠。金属自体もキラキラ
しており、四分一(しぶいち)のような味のあるものでもない。
古いもののように称して売られているので注意が必要。
練り物根付。大量生産品。
【材質の嘘】
丹波篠山・豊昌の有名な根付を写したもの。まったくいけない作品。
虎と猿に迫力がないが、本歌を見たことがない人は
意匠的にグッと惹かれるものがあるので注意が必要。
【意匠のフェイク】
中国系の練り物根付。
汚い泥人形のような根付。材質はおそらく練り物。
美的センスのかけらも感じさせない低級品であり、骨董市に行くと
時々この手のものが1万円くらいで「本象牙」として売られている。
近寄らない方が良い。
【材質の嘘】
古い京都の根付師による玉乗り獅子の本歌を写したもの。
見分けるポイントは細部の彫刻と意匠全体のバランス。
【カタログ等から写した意匠のフェイク】
中国系の練り物根付。
足裏の彫刻の仕上げがずさんであり味がない。
【材質の嘘】
これも難しいが、現代物のフェイク。何かのカタログから写したのであろう。
良くできた意匠であるので騙されやすいが、
材質的に疑わしいことと、紐通し穴が膝のところを
貫通しているところがポイント。本歌根付は、痛々しく
膝の部分に穴を絶対に開けておかない。


秀正の有名な意匠を写したもの。
顔の特徴から判断すると、中国あたりで
カタログから写したものであろう。
【意匠のフェイク】


幕末明治の根付師・奇峰堂正一や正香による有名な
相撲の河津掛の置物をカタログから写したもの。
骨董「緑青」 Vol.6の特集:根付(相撲根付・春画根付)の
6ページに元となる本歌が掲載されているの参照されたい。
本歌はオークションでは1千万円以上となるものがあるが
これは安っぽい写しで簡単に分かる。
【意匠のフェイク】


中国系の練り物根付。使用するときに引っかかってしまうので
本歌の根付はこのように突き出した手足は付けない。
実用に配慮しない中国の職人が安易にこさえたものであろう。
【材質の嘘】
中国系の練り物根付。
紐通し穴が2重リングの形で典型的な
偽物根付の性格がある。
京都の吉長系の根付を真似たものであろう。
現代根付師の駒田柳之氏の有名な根付を写したもの。
顔が中国風の特徴を有している。
駒田氏の面前で同じ意匠の本歌根付を掌で触ったことがあるが、
本物は意匠のバランスや仕上げに優れたところがある。
また、本物は日本画の顔料を用いて着色しているが
この偽物は安っぽい色を発している。

拡大写真を用意しているので写真をクリックして頂きたい。
【カタログ等から写した意匠のフェイク】

「吉友」の銘が入った桃の根付。
18世紀に生きた京都スクールの吉友とは銘の形が異なり、
また、仕上げもいまいち。何の感動も湧いてこない駄作。
【銘の嘘】
中国系の練り物根付。
おそらくカタログに掲載されていた懐玉齋の本歌を写したもの。
【カタログ等から写した意匠のフェイク】
これは非常に面白い根付。
意匠や紐通しの穴等の条件で現代物と判断できるが
材質が本物の象牙のように見えることと、
時代を経たひびが入っていることに注意したい。

すなわち、現代の根付であっても、製法次第で古色を
いくらでも出せることが分かる。時代のひびが入って
いるからといって古いものとは限らない。
拡大写真を用意しているので写真をクリックして頂きたい。
【時代の嘘】

丹波篠山・豊昌か大阪・正一の有名な河童と亀を
カタログから写したもの。
材質は練り物。
これも古色をつける技術の存在を如実に物語るもの。
意匠的にはオリンピックの平行棒体操及び卓球の
髑髏であり、時代は完全に現代物。しかし、作品自体には
墨入れによる古色が付いており、良くできている。

拡大写真を用意しているので写真をクリックして頂きたい。

プラスチックの練り物根付。木刻の様に見えるが実は
プラスチックである根付が数多くある。
紐通し穴の内部が平面的であり、手作り感がない。
型押しや電気コテで作られた可能性が高い。
自然な黄楊の色艶がなく、化学調味料のような不自然の色合いは要注意。
【材質の嘘】


岡友のレプリカ
アメリカの某有名美術館で販売されているお土産根付。
合成樹脂製の型もので、重さは象牙と比較するとやや軽い。
驚くことに 紐通し穴まで再現されている。
目玉は象眼ではなく 光沢のある塗料を塗られている。
透かし彫りもうまくできていて、つなぎ目もよくわからない。

美術館が作製したレプリカであり、博物館や美術館では
よくあるお土産だが、フェイク根付を見慣れた我々にとっては
違和感を感じざるを得ない。

(投稿による掲載)
拡大写真を用意しているので写真をクリックして頂きたい。
岡友のレプリカ どれも「PEM」のロゴが入っている。
貝の根付。「楽」銘が入っている。
「正一」銘が入っている。





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