ACT.4
「ホヤについて」


小有天 勇
(小有天 主宰)


「海鞘は不思議、おいしい」
 
みなさん、「ホヤ」を食べたことありますか?
オレンジ色で突起のついた不思議な形をした生き物。
色やその形から「海のパイナップル」とも言われています。
私はホヤが大好きで、スーパーの鮮魚売り場で見かけると買って帰り、自宅でさばいて食べることがあります。
ほとんど台所に立つことない私ですが、ホヤの調理だけはすすんでやります。
かみさんは嫌いみたいですが、娘は私の影響大で大人の味が分かるらしく、ホヤを見かけると「食べたい!」とまで言います。なかなかできたやつです。
 
今回の「語る」は、私と娘の大好きな「ホヤ」についてです。

ホヤの生態ですが、
日本、朝鮮各地の沿岸に生息し、
水深数mから数十mの海底の岩や海藻などに固着してゆらゆらと生活しています。
なんと雌雄同体です。幼生は脊索(せきさく)という体に硬い棒を持っていて、私たち人間を含む脊椎動物の祖先とも考えられているそうです。
 
味だけではなく、ホヤの構造にも興味を持ったのは、大学の講義で「第三の皮膚」という話を聞いてからです。
第一の皮膚は、皮膚そのもの、内と外との境界を言っています。人間は皮膚によって自分と外とをわけて生命を維持しています。
体を単純化すると管のような構造になっています。
ホヤはこのような構造の原形であり、皮膚で包まれた生命体です。
このパイナップルは、私とたいして変わらないのかと思うと愛しく感じてしまいます。
ちなみに、第二の皮膚は衣服、第三の皮膚はウェアラブルのような電子化された皮膚や建物を言うそうです。
なんか、かたい話になってしまったので、
もとにもどします。
 
私と娘の好きなホヤですが、嫌いな人も多いようです。
周囲に「ホヤが好きだ!」と言い切る人をあまり聞いたことがありません。
ホヤは鮮度が命のようで、鮮度が落ちたものを口にした人が「げっ!なんだこりゃ」ということになり、ホヤを敬遠してしまうことの原因になっているようです。
確かにスーパーで売っているものを見ると、ほとんどがしなびていて、これはまずいだろうなと思うことが多々あります。
やはり地元で食べるのが一番で、以前、宮城県の石巻に出かけ夕食を居酒屋ですませたのですが、ホヤが皿山盛りで100円だったのは驚きでした。味も最高でした。
さわやかな磯の香り、さっぱりしているけど、脂ののった魚のような味。
宮城県のホヤに限らず、東北は安くておいしいものが食べられ、その翌年にも東北へに旅行にでかけたものです。
 
普段はスーパーで宮城県産の皮がパンパンに張っているものを目安に買って食しています。
自宅では刺身でしか食べたことがないのですが、いろいろな料理があり、キムチ、お吸い物、塩辛、雑煮、酢の物などがあるそうです。
いつも適当に包丁を入れてさばいていましたが、インターネットでホヤのさばき方が出ていて、間違った方法でやっていたことに気がつきました。
と言う事で、今回は私の間違ったさばき方の写真を掲載しています。
初めは、どうやって包丁を入れれば良いのかわからず、「えいっ」と勢い良く刺したらホヤの中の液体が「ぴゅーー」と噴出し、台所のあちらこちらに飛び散り、かみさんに「台所を汚さないで!」と怒られたものです。
台所を汚さないように試行錯誤した結果が、間違ったさばき方になったのです。
この方法でも中の液体は飛び出しませんが、次回は正しいさばき方にチャレンジする予定でいます。



人によって嗜好が違うのでおいしさを伝えるのは難しいですが、デザインに興味ある方であれば、ホヤの形や構造、生態に興味を持っていただけるのではないかと思います。
絵を描くにもいモ良チーフになると思います。
皆さんも、スーパーでホヤを見かけたら、自宅でさばいてみてください。
創作するうえで良いアイデアが浮かぶかもしれませんよ。



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