無 題
寂しさの部屋で一人悲しんで 遠い世界に導かれる
君は愛しの人生の花束を 見ることもなく消えた
通りはいつもにぎやかなのに 君の部屋はもの寂しく
読み耽った君の日記さえ 今は色褪せてしまったんだね
もう 誰も君を… 知らないまま通り過ぎてゆく
季節になじむこの僕は 今あなたの歌を作っています
寄せる思い出に涙を呑んで 僕は旅にでかけた
君は知らない僕の気持ちを 記すこともなく去った
人はいつも笑いながら 見えない愛に溺れてゆく
歌い続けた僕の歌は 空しい叫びだったのか
もう 誰も君を… 知らないまま通り過ぎていった
過去を忘れた足音が 今消えて面影となった
あざける僕が歌を歌っている 己を見つめようと
君は横切る僕の目の前を 振り返ることもなく去った
友達はいつも元気で歩いているよ でも君はいない
一緒に歌ったあの歌は 最期の叫びだったんだね
もう 誰も君を… 忍ぶ人はいない
通り過ぎてゆく思い出を捨てて 今僕は歌を歌う
※ 白血病のために17歳で亡くなった友人に
思いを寄せて作った詩です。
彼女の死をきっかけにして宮里新一は詩作
を始めました。