五月の雨

 

静かな夜に雨が降っています 寂しさ誘う五月の雨

煙草の煙が漂っています 白茶けた僕の部屋

こんな夜の雨の日には 古いギター取り出して

通り過ぎた人の面影を 指でたどっています

 

僕の側には安らかな顔で 君が横たわっていた

かすかな寝息とかすかな雨音だけしか 僕には聞こえなかった

車の外は土砂降りの雨 止みそうもない五月の雨

闇の中に漂っていました 男と女の風景

 

覚めたハートの裏側で 僕のつれない歌たちが

密やかに流れていました 静かな夜の日に

喧騒の街を離れて 遥かな旅に君はついた

訪れたことのない 優しさの街にたどり着こうと

 

一人でいることの不自然さを 僕は歌ってきました

それでも確かにあのとき僕には 何かが見え始めていたんだ

誰にも言えない秘密の一つ二つ 人は心の奥深く

秘めて黙っているものさって 思う今日この頃

 

作りかけの僕の歌だから あなたの心には届かないでしょう

今かすかに覚えているのは あなたの優しさだけ

車の流れが とても懐かしい

フロントガラスの向こうに見えた 君は涙の顔


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