これは結構シャレにならない話です。
時期は4月初旬ごろだったはずですが、正確には覚えていません。
この日の夜、部活を終えた梨は音楽を大音量で聴きながら自転車で帰宅途中でした。
で、その帰り道の途中にJRの駅があるのですが、
ちょうどその駅の近くにある交番が見えるあたりで事件は起きました。
なんと、左の路地から車が突っ込んできやがったのです。
しかしなんとか、急ブレーキをかけてなんとか激突は避けられて、一安心。
…が。
安心するには全然早かったです。
急ブレーキをかけた後、「当たらなくて良かったなぁ」と再度自転車をこぎ始めたわけですが、
その際に先ほど飛び出してきた車が梨の進行を妨害しはじめたのです。
「なんだぁ?」と思いながら、そのときは道路の左側に寄って自転車をこいでいたので、
その車をよける為に道路の右側に寄って走行しました。
するとどうでしょう、反対車線に乗り込んできてまで梨の進路妨害をしてくるじゃあないですか。
その数瞬後、車の窓がウイーンと開いたのです。
「あぁ、なんか言われるよ〜」と思っていると、窓からニュッと手が出てきました。
このとき、梨は幻術でもかけられたのかと思いましたね。いやマジで。
あろうことか、なんとその手には刃物が握られていたのです!
あれはナイフなんて生野菜…もとい、生易しいものじゃあありませんでした。
ナイフなんかより全然長かったですよ、うん。
つまり、俗にいうドスってやつですわ。
梨の視界でらんらんと輝くその獲物にビビっているとき、追い討ちのように窓から顔が出てきました。
やばい。確かに「そっち系」の顔だ。
なんだか顔の表情を見る限りでは、大きい声で梨に向かって何かを叫んでいるようでした。
そのときは大音量で音楽を聴いていたため、何を言っているのかさっぱりでしたが
とりあえず平謝り。
平謝りが功をそうしたのか、程なくして怖いおじさん方は車を飛ばして去っていきました。
去り際、そのおじさんたちが梨から見て右側をちらりと伺ってから飛ばしていったのが、
何故かものすごく心に残ったのですが。
このときは「なんだ、あんまり怖くはなかったな。日ごろの練習の成果かぁ?」とか、
「これは珍しい体験をしたぞ」などとウキウキしていましたが、
家に帰って風呂に入っているときに「あること」に気付き、
「実はかなりやばい状況だったんじゃあないか?」と思い直しました。
その「あること」というのは、最初にも書きましたが、その事件現場はすぐ隣に交番があったのです。
去り際ちらりと何かを見ていったのは、交番を見ていったに相違いありません。
つまり。
そこに交番がなかったら。
梨は今ごろ満足にキーボードを叩けていなかったかもしれません。
おお〜〜〜〜!!!(汗)
結構やばかったんじゃ〜〜〜〜ん!!!
と、風呂から出た後もそのことで頭が一杯になり、結局寝るまで頭から離れませんでした。
そりゃそうです。
武術や格闘技をやってる人は比較的「そっち系」に手馴れた人が多いですが、
梨自身は「そっち系」と相見えたのはこれが初めてですから、
気にしないでいられるわけがありません。腰抜けって言わないで…。
その日の夢に出てこないか心配して眠ったあの夜を、梨は忘れない。
という訳で。
今回の教訓:
音楽を聴きながらの自転車走行は気をつけろ!!