あっちへフラフラここらで一休み、道草ばかりのこれまででしたが、幸いにして免れ、耳順に至りました。

 知らず、生まれ死ぬる人いづかたより来たりて、いづかたへか去る。また知らず、仮の宿り、誰がためにか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。
「方丈記」冒頭でこう述べた鴨長明は、六そぢの露消えがたに及び、日野山の奥に末葉の宿りを結びます。
第一部表紙