アイスター1月5日掲載文
2004.01.05   アイレディース宮殿 黒川温泉ホテルの会見内容 (全文)

                           株式会社アイスター
                     代表取締役社長 江 口 忠 雄


あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

本日は早朝から各社の皆様方には多数ご参集くださり、まことにありがとうござ
います。

 昨年は、当黒川温泉ホテルにおきまして、菊池恵楓園のハンセン病元患者の皆
様方の宿泊をお断りした事により、多くの皆様方に多大なるご迷惑をおかけいた
しましたこと、改めてお詫び申し上げます。

 当事件発生以来、弊社はハンセン病に対する正しい知識を養うために全社をあ
げて学習を行い、また私自身も各ハンセン関係の施設や資料館などを訪問させて
いただき、ハンセン病というものの実態を学ばせていただく事ができました。
 また、事件発生当初から、当ホテルでは一日も早くハンセン病回復者の皆様方
に対して、なんの拘りも無くご宿泊いただけるよう従業員教育をはじめ、その他
必要と思われる研修も徹底して進めて参りました。宿泊拒否事件からほぼ一月半
を経まして、おかげさまでその成果も上がり、現在では当ホテル内におきまして
は、認識不足などによる差別意識を払拭できるように成ったと考えております。
 そこで今後は、私共黒川温泉ホテルに関しましては、ハンセン病元患者の方々
に対し、無条件にホテルを全面開放させて頂くことに致しました。ここで無条件
と申しましたのは、今回のケースのように、たとえ宿泊直前に団体で急遽予約が
行われたようなケースであったとしても、部屋の確保が出来る限り、宿泊をお断
りすることは一切ございません、という意味でございます。
 このように申し上げますと、多くの方々からまた『わざわざ開放するというの
はおかしい。元患者というのは、一般の宿泊者と同じなのだから特別扱いをする
な』というご意見を頂戴するであろう事は容易に想像できます。しかしながら、
ハンセン病回復者の方々が現段階において一般社会へスムーズに受け入れられる
かと言えば、それは現実問題として必ずしも容易ではありません。無条件に、暗
黙の了解で受け入れられる状況では無いと、私もこの一月半にわたり、全国の療
養所を訪問させて戴き、多くの回復者の方々のお話をうかがう中で、感じており
ます。そして、今後はより積極的にハンセン病回復者の方々に当ホテルを利用し
ていただけるようにするには、一体どうすれば良いのかという事を試行錯誤して
参りました。

 結果として私共黒川温泉ホテルは、今後ハンセン病元患者の方々をいつでも、
無条件に受け入れ致しますという内容を公表することと致しました。

 今後は、ハンセン病元患者の方々を受け入れるために、その都度特別の準備も
致しませんし、特別の段取りも行いません。一般のお客様同様、いつでも空き部
屋がある限り、ご宿泊いただくように致します。今後の黒川温泉ホテルはそのよ
うなホテルであるということをここに断言いたします。今回、私どもの認識不足
によりこのような事件を引き起こしました。
 しかしながら、残念なことに、やはり一般社会におきましてはまだまだハンセ
ン病というものに対して正しく認識がなされていないと言うこともまた良く分か
りました。今回の事件を踏まえて、一歩進んで私たちが積極的にハンセン病に関
する啓発活動を行っていく事もまた、当事者である私たちの今後の責務であると
実感しております。
 我々は、今後ハンセン病が一般社会へより正しい認識を持って受け入れられる
ように、ハンセン病の啓発活動を行ってまいります。

 今後の啓発活動の第一弾と致しまして、まずは日本中のハンセン施設の方々に
黒川温泉の素晴らしい雰囲気を味わっていただきたいと考えています。さらに、
日本中の多くのハンセン施設の方々に黒川温泉郷にて、お互いの交流を持ってい
ただき、各地のハンセン施設の方々が本音で楽しく語り合い、喜んでいただける
ような場を提供させていただきたいと考えています。
 幸い、弊社グループにはアイスタートラベルという旅行代理店がございますの
で、現在アイスタートラベルを通しまして、各航空会社様、各バス会社様などの
輸送機関様にハンセン病回復者の方々のツアーを格安料金でとりおこなえるよう
価格交渉を既に進めさせていただいております。今後、アイスタートラベルにお
きましても、全力をあげてハンセン病回復者の方々に十分ご満足いただける様な
ツアーを数多く企画してまいりたいと考えています。
 また、当ホテルにおきましても、今後バリアフリー施設や各種備品など改善す
べき点は多々ございますが、まずは回復者の方々にご不便をおかけしないよう、
当ホテル従業員が最大の思いめぐらしをさせていただくことで、出来る限りご不
自由をおかけしないように頑張ってまいる所存でございます。
 また、今回東映系映画館で上映予定の『同窓會』と言う映画を制作される事が
決まり、九州各地でロケが行われると聞き及んでおりますが、弊社黒川温泉ホテ
ルもロケ地の一つとしてご使用いただけるとの事でございます。この映画をきっ
かけと致しまして、ハンセン病に限らず、様々な人権問題に関してより多くの皆
様方が今まで以上により深く『人権』ということに関して再度考えていただける
ような機会ができましたら幸いでございます。

 さらに、今回のハンセン病回復者の方々への宿泊拒否問題をふまえて、もう一
歩踏み込み、私ども黒川温泉ホテルは今後各種ハンディキャップをお持ちの方々
や、恵まれない境遇の方々に、より積極的に門戸を開いてゆくことを考えており
ます。このようなことは、一朝一夕になかなか解決する問題ではございませんが
積極的にこのような問題に少しずつでも取り組んでゆく事によって、一般の方々
にもさらに喜んでいただけるユニバーサルデザイン感覚を取り入れたホテルとし
て今後一から再出発してゆきたいと考えております。
 また、そういったことを進めることで、人と人とが本当の信頼関係で付き合っ
ていけるような素晴らしい人間社会を構築出来るよう、少しでもお役に立てれば
と考えております。

                                  以上


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