朝日新聞
ユニバーサルデザイン記事紹介
「ユニバーサルデザイン」
日中韓が規格統一へ委員会設置


 日本、中国、韓国の3カ国が合同で、高齢者や障害者にもわかりやすく使いやすい「ユニバーサルデザイン」の商品、サービスのための統一規格づくりに乗り出す。1年後をめどに、個々の商品の性質表示や案内標識などで3カ国共通の指針をまとめ、最終的には世界標準として普及させることを目指す。

 先進国を中心に高齢化が進むなかで、高齢者らにも使いやすいデザインや機能がついた商品への要望が高まっている。このため、日本の経済産業省など3カ国の製品規格担当者らが10月末に北京で開いた会合で「高齢化老人・障害者標準共同制定委員会」を設置することで合意した。事務局は、日本工業規格(JIS)のとりまとめ役である日本規格協会に置かれ、各国から専門家3人ずつを委員に選任。来春に東京で第1回の委員会を開き、半年かけて統一規格をまとめる予定だ。

 国際的には、環境や工業製品の規格をまとめている国際標準化機構(ISO)が01年、高齢者らに配慮した規格をつくるよう各国に促す指針を示している。しかし、製品ごとの細かい規格は、まとまっていないのが実情だ。3カ国は、各国で一部メーカーなどが独自に実施している事例などを集積して規格にすることで、世界をリードする狙いだ。

 日本は、シャンプーボトル識別のギザギザや使用説明文の文字の大きさなど生活用品の容器・包装規格の検討を求める方針。北京五輪を控える中国からは、トイレやエレベーターの位置を示す公共サインの統一が提案される見通しだ。

 統一規格がまとまった後は、製品やパンフレットなどに採用するよう、3カ国のメーカーなどに働きかける。さらに、ISOなどの国際機関で採用を働きかけることも視野に入れている。

<ユニバーサルデザイン> 特別な改造などをせずに、高齢者や障害者を含むすべての人が最大限の機能を利用できるよう配慮された製品や環境のデザインのこと。90年ごろ、障害者でもあった米国の建築家ロナルド・メイス氏らが提唱して世界に広まった。

 高齢者らに配慮したデザインという考え方は70年代から言われるようになった「バリアフリー」にもみられるが、製品やサービスを利用できる潜在顧客数を最大限まで増やそうという考えに拡大されたのが特徴。

 ユニバーサルデザイン普及に取り組む公益法人「共用品推進機構」の調べでは、家電製品や住宅設備など日本での市場規模は00年度で2兆2549億円と、95年度の4.6倍に成長している。ただ、高齢者にとっての使いやすさの基準は各企業の裁量に任されてきたのが実情だ。

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