国会レポート0311


国土交通委員会にて質問                2003/03/11
公共事業改革に関して政府案と民主党案について質問
 公共事業に関する問題は、政治家による口利きなどの不正や、談合問題、環境破壊、無駄な工事の発注など、日本を再生する上で避けて通れない深刻な問題であります。そこで民主党は今から3年前の平成12年に、国が中心になって公共事業を押し進めてきた現状を改め、国による事業を重要な国道や国有林野などに限定した上で、基本的には殆どの事業を地方主体に行うこととし、地域市民も計画段階から参画出来るようにすることで、無駄な事業や政治家などによる不正を排除することを目的にした法案を何本も国会に提出しました。

 その後、「官製談合防止法」などいくつかは実際に議論もされ政策に反映されているものもありますが、殆どは与党の抵抗で審議すらされない状況が続いていました。よくマスコミなどで「野党側の対案がない。」などと言われることがありますが、民主党では過去の野党とは比べものにならないほど多くの議員立法を国会に提出しています。与党の議員立法も僅かですから、民主党は、政党としては最も多くの法案を提出していることになります。しかし、それは目立ちません。

 その理由の一つは、民主党案が当を得たものであっても、それをそのままでは審議されず、政府が似たような内容の法案を作って提出して来るまで、民主党案はそのままほったらかしにされるからです。 政府による対案は、大体一年後に出てくるものが多いのですが、何年も遅れることもあります。また、民主党案と本質的に同じようなものの場合もありますが、似て非なるものであることもあります。今回、3年前に民主党が提出した「公共事業基本法」の対案として政府が出してきたものは、まさに、似て非なるものでした。

 公共事業の問題点としてよく指摘されるのが、時代の変化などにより必要性が乏しくなった事業であっても、一度始まってしまうとなかなか止められないという問題です。諫早湾干拓事業などはその典型で、当初の目的であった農地確保の必要性が低下したにもかかわらず、あーだこーだと理由を付けて事業を進めてしまったのは、まさに「一度始めたら止められない」という公共事業の問題点がもろに出てしまった例と言えるでしょう。

 政府は、その元凶が公共事業に関する長期計画にあるとして、今回、長期計画のあり方の見直しを主眼とする法案を提出してきました。これは公共事業に関する長期計画15本のうち、道路や空港、治水といった国土交通省に関わる9本の計画を一本化し、それぞれの事業に関わる予算規模を記載しないようにすることにより、予算の硬直化を解消しようとするものです。 

 民主党が3年前に提出した法案では、公共事業に関わる15本すべての長期計画を一本化することとなっています。省庁間の縦割り行政の弊害を無くすために、農林水産省所管などの長期計画も含めて一本化すべきと考えたわけです。一方政府案では、国土交通省内の部局縦割りの計画ではなくなりますが、他省庁との縦割りは残ります。さらに、民主党案にあるような公共事業の大半を財源と共に地方にお任せするという地方分権の発想が全くありませんから、まさに民主党案と政府案は「似て非なる」法案です。

 そして根本的な問題ですが、本当に長期計画が無駄な公共事業を止められない原因であるか否かという問題があります。今回私が委員会で明らかにしましたが、長期計画は予算獲得の言い訳の一つとして使われていたことはあったかも知れませんが、これが無くなっただけでは予算配分の硬直化は解消しないのです。部局ごとの予算要求や、単年度主義、前年踏襲主義などが予算硬直化の本質的原因であり、そこにメスを入れない政府案は、殆ど意味を持ちません。扇大臣はこの指摘に対して意味のある答弁は出来ませんでした。 

 長期計画という「道具」が悪いのではなく、それを扱い政策決定をしていく政府が変わらない限り、無駄な公共事業は減らしようがありません。今回は民主党の案を骨抜きにする形で政府が対案を出してきて、意味のある改革は先送りになりましたが、今後も、あるべき公共事業の姿を明確にすべく、具体的な法案を提出していく予定です。 

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