国会レポート0320


衆議院農林水産委員会出席                2003/03/20
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案
 民間金融機関による融資の他に、政府などが行う「政策金融」というものがあります。例えば、特に競争力の弱い産業で、民間金融機関などからでは十分な資金を集めることが出来ない場合や、政府が普及を図りたいと考えていることに対して普及促進の動機付けが必要な場合などに、公的金融機関から直接融資をしたり、民間の融資に対して公的機関が保証をしたりするものであり、上手に使えばかなり有利なものもあります。

 しかし、どうもそれらの中には行き過ぎたものもあり、結果として民間の金融機関を圧迫しているという指摘も随分あります。民間よりも良い条件で政策金融が行われると、その融資を受けられた人にとっては悪い話しではないのですが、民間金融機関にとっては優良な融資先を取られてしまうわけですから決して良い話しではありませんし、更には、他への融資で利ざやを稼がなければならなくなりますから、社会全体としてはあまり良い話しではありません。

 本日、農林水産委員会で議題となった水産加工業の施設改良に対する融資も、民間の金融機関から融資できるようなものであるならば、政策金融として融資することは民業圧迫になり、問題です。この法律は、昭和52年、外国政府による排他的経済水域設定(所謂200海里問題)に起因する、水産業全体を取り巻く環境の急激な変化に対応するために制定された5年間の臨時措置法で、その後、5年ごとに若干の内容の変更をしながら期間延長をしてきたものです。そして本年3月末日をもって法律の有効期限が切れるので、また5年間延長しようというのが、今回の改正案です。

 そして今回の改正では、期間延長だけではなくこの制度をもっと活用されやすくする改正も含まれています。なぜその様な改正も使用としているのか。実は、この制度、融資枠が70〜80億円もあるのに、実際には半分も活用されていないのが実状なのです。そこで、もっと活用されるように融資対象を拡充しようということになったようです。

 これは、本来の議論からすればおかしな話しです。折角お金を準備しても使われないのならば、そのお金はもっと別な所に使うべきだと考えるのが自然でしょう。お役所の論理は、しばしばこの様な逆さまの論理が使われます。

 ただ、今回の件に限って言えば、この制度が十分活用されないのは、民間から十分な資金が借りられるようになったからではなく、条件の良い政策金融であっても借りても返せるかどうか自信がもてないという程、水産加工業自体が厳しい状況に置かれていることが根本的な原因です。つまり、この制度は今後も続ける必要があり、更に加えて水産加工業自体に対する何らかの支援が急務だということです。従って、この改正案は私たちも賛成しました。

 そして、本来の根本的問題である水産加工業自体に対する支援措置として何が出来るか。ひとつには、安全性をあえて無視して作った廉価品などの輸入を阻止することが出来ます。農産物もそうですが、外国から輸入される食品で、安いけれども安全性が疑わしいというものが多いのは事実です。そしてそれらの輸入が急増したことで、国内の農業や水産業が追い込まれている状況があります。ですから、少なくとも輸入農水産物に対して、安全性を保証させることは政府としても出来るはずですし、これは生産者だけではなく消費者の安全を守るためにも重要なことです。

 ところが、農林水産省はこれをしっかりやっていません。今回も指摘しましたが、豪州などから輸入されるマグロが安全かどうか、なかなか政府は確認しようとしません。昨年、民主党の海野参議院議員が指摘して以降、殆ど何もしてこなかった政府には呆れるばかりです。この輸入農水産物の安全性確保については、今後もしっかりと政府を追及していく予定です。

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