国会レポート050322



衆議院法務委員会質問                      2005/03/22
法務委員会で質問に立ちました。
 これまで民間の紛争の代表的テーマといってもいいほど、全国的に問題が多く発生していた、土地の境界確定については、これまでの民事による境界画定訴訟が行われてきました。しかし、土地の境界画定訴訟は基本的に隣人を相手に訴えを起こすものであり、ご近所づきあいの感覚から言えばやはりやりにくいものでもあり、また、一度こじれるとなかなか解決できずに何年も境界が画定せず訴訟が長引いてしまうことも多々あります。

 また、東京の六本木ヒルズの再開発のときのように、都市の大規模な再開発事業を行おうとしても、それまでの地権者の土地を画定するための測量作業だけで4年8ヶ月かかるなど、土地の境界が不明確であるために余計な時間やコストがかかってしまう例もあります。原因はこれまでの登記所に備え付けられていた「公図」が、明治時代の地租改正時に作成された大変アバウトなもので、実際の土地を測量すると公図とは形も面積も変わってしまう例が多いためです。

 境界画定で何らかのトラブルに関わったことの無い方は、このような話は奇妙に聞こえるかもしれません。「うちの土地はちゃんと登記してあるし登記簿謄本にも載っている。実際にそれで税金も払っているから、登記簿には当然正確な地積が書かれているに違いない」そう思われている方が圧倒的多数だと思います。が、信じられないかもしれませんが、実際には違うのが普通なのです。

 この近代国家ではありえないような実態を改善すべく、法務省もようやく重い腰を挙げ、全国の正確な地図(不動産登記法第17条で定められているので、俗に17条地図と言います)を整備しようと、現在作業を進めているところです。しかし、どうも法務省にはその責任感が感じられず、予算も不十分で、いつになったら土地政策の基本中の基本といっていいような地図が完成するのかさえ、明確に答えられない始末です。

 この17条地図の整備に不可欠なのが実際の土地の境界を画定することですが、個人の私的所有権の境界と、土地の地図上の境界(筆界)をあえて区別し、その筆界だけでも国の責任で確定してしまおうというのが、今国会の法務委員会に付託された「不動産登記法等の一部を改正する法律案」です。

 具体的には新たに「筆界特定制度」を創設。地権者の方が自分の土地の筆界を確定したいときに、筆界特定登記官に申請し、弁護士や土地家屋調査士などの専門家からなる筆界調査委員の方々が職権で調査し、約半年以内を目途に筆界を確定するという制度です。私たち民主党も制度創設には賛成でしたので、この法律案には賛成しましたが、本法施行にあたっての特段の配慮を政府に求めるため、付帯決議を付すこととし、私が提出者を代表して提案いたしました。

 議論に臨むに当たり、地元の司法書士、土地家屋調査士の方々をはじめ、多くの方々からアドバイスをいただいたことに心から感謝すると共に、今後も新しい制度が有効に活用されるよう、現場からの声をお寄せいただきますようよろしくお願いいたします。

  →委員会の様子(ナローバンド28.8k〜)
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  →付帯決議案提出の様子(ナローバンド28.8k〜)
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