NORIO MAEDA'S 質問コーナー
以下の投稿は本人の了解のもとに掲載しました。
貴方にとって参考になれば幸いです。

============================================
> on 08.4.12 18:20

> >> >> 前田憲男先生。こんにちは。
>> ジャズを学んでいるミタケというものです。
>> 質問コーナーに甘えさせていただきメールを書いてます。
>> お時間のあるときに、お答えをくださいましたら
、 >> とても幸いです。
> ===========================================
> いつでもどうぞ。
> ===========================================
>>
>> 例えば少し早いテンポのブルースを演奏する場合、ソリストが、
>> コードをいろいろとチェンジさせたアドリブフレーズをどんどん展開するのに、
>> 打ち合わせなしでそれが起こった場合、
> ====================================================
> こんなプレイヤーと演奏出来ればさぞ楽しいでしょうね。
> ====================================================
>> ベーシストの人が通常のコードにおけるベースラインを
、 >> ノープロブレムで刻んでいたりすることや、
> =======================================================
> ベーシストは常にフロントラインに追随するのがベターです。
> =======================================================
>> またはベーシストがコードチェンジを聞き取れてもライン変更不能のような場合、
>>
> ===============================
> これはしょっちゅう起ることです。
> ===============================
>> 音のぶつかりが生じることがあると思います。
> =========================
> これは避けられませんねぇ
。 > =========================
>> これはその音楽の聞こえがよければ、
>> 良きアウトな感覚としてOKとして考えてよろしいのでしょうか。
> ==============
> 基本的にはOKです。ベーシストがソロの影響を事前に察知して瞬間に変化に
> 対応出来ればベターですが、コード・チェンジそのものが特殊なもので無い限り
> (つまり基本的なコード進行を逸脱する独自なフォーマットによるもの以外は)
> 流れを阻害しなければすべてOKです。具体的には
>
> メロ: |Em7 A7 |Ebm7 Ab7 |Dm7 |
> ベース: |Em7 |A7 |Dm7 |
>
> という瞬間が生じても何ら問題にはなりません。
>
> 理由:メロに現れる進行はEm7----->Dm7に到る基本的な進行を阻害するものでは
> ないからです。
> ==============
>>
>> また、モードジャズにおけるアウトも、
>> トーナルセンターへの解決を軸にしていれば、
>> ソロフレーズやコードを、モード構成音以外を使って、
>> 聞こえが良いように、自由に組み立てて、それが聞こえの良い
>> アウト感覚に演奏することがきればOKと、
>> 解釈してよろしいでしょうか。
> ==============
> 基本的にOKです。
> ==============
>>
>> 突然の質問、済みませんでした。
>> 最近以上のようなことで悩んでおります。
>> 前田憲男先生のお知恵をいただけたら幸いです。
>>
>> どうぞよろしくお願いいたします。
>>
>> ミタケ
> ==============
> AD LIBの本質をつくご質問です。
> メロディー・ラインが瞬間的にコード進行を変えるソロを展開した場合
> リズム・セクションが瞬時に対応するというアクションは即興演奏の
> 醍醐味の一つです。
> 「廻りの音を聴きながら自分の音を出す」
> 即興演奏の「面白み」はここに有ります。
> ==============
On 06,10,08
name=hiro:
> トリプルピアノを見て聴いて、ジャズに興味を持つようになりました。
================
よろしくお願い致します。
================
  > ある本にクラシックは楽譜に書かれた音楽を再現するのであり、
> ジャズはモチーフをもとにアドリブで音楽を生み出していく、と書いてありましたが、
================
その通りです。
================
> 同じモチーフを使って演奏するたびに、その音楽は違ったものになるのでしょうか?
================
その通りです。例えばレコーディングの場合、Take 1,Take 2,Take 3と毎回違う演奏が記録され、
それらの全てを収録してあるCDも出ています。
瞬時にどうして変化するのか不思議に思われるようですが、
「話し言葉」と同じで、一字一句同じ話をする事の方が難しいし不自然であるというのが
ジャズの考え方であり、どう変化するのかを楽しむのがジャズの楽しみ方の大きな部分です。
================
> 即興で作り出したものを楽譜にして何度も演奏するという事はあるのでしょうか?
> 楽譜でしかピアノを弾いた事がないので、どうもよくわかりません。
================
初心者はまず自分の好きなプレイヤーと同じ様に演奏したいと考える時、最初にやる
ことはそっくりそのままコピーしてその通りに演奏することを学びます。これを
「レコードコピー」といいますが、この作業をつづけることで聴音の訓練ができる
のです。また、有名なレコーディングのソロは楽譜として多く出版されています。
これらを活用して、初心者は楽器の練習をします。そして少しづつ、いいなと思う
フレーズを確実に演奏出来るようになり、ジャズの雰囲気も少しづつマスターしていくのです。
全てのミュージシャンはこの過程を経て成長していくのです。そして、かなり自由に演奏できる
様になったとき、コピーから脱却してオリジナリティーのある演奏をする様になります。
ここから初めてジャズメンとして評価されるのです。
================
> もう一つ。 聞いたことのある名前のビル・エヴァンスと
> オスカー・ピーターソンのCDを聴いてみたのですが、ジャズの事は何も知らないなが
> ら、楽しむ事ができました。
================
ジャズのことを少しづつ解ってくると急速に面白さが広がります。同時にクラシック
の楽しみ方も大きく変化します。全ての音楽を面白く楽しめる目が開けてきます。
================
> 他に初心者にも親しみやすい演奏家はいますか?
================
星の数ほど居ますが、大切なことは自分が「いいな」と感じる人のCDを少しづつ買って
ライブラリーを増やす事です。ついでですがビル・エヴァンスの楽譜は可なりの量
が出版されていて国内でも簡単に手に入ります。こまかく分析するには利用価値の
高いものです。「即興演奏法」といった本も数多く出版されていますから、それらに
目を通すことですこしづつジャズ独特の仕組みを理解してください

。 on 06.3.12 21:33
> name=いいちこ

> 質問:
> 今から29年前、クラウンレコードに吹き込んだ「SOUL SAMBA」という
> アルバムがあります。
> これは前田さんと当時活躍していた演奏集団、『ティン・パン・アレイ』との競演作 品
> なのですが、それまでにも『ザ・サード』に参加していた水谷公生さんや編曲の仕事で
> スタジオミュージシャンとしてロック系のミュージシャンを起用したりする事はあっても、
> 「SOUL SAMBA」のように形で、つまりリズム隊を全てロック系の人間で固め、しかも
> 前田さんが一緒に演奏するというのは無かったのではないか?(あったらすみません)
> と思います。
========================
あれはクラウン側の企画による作品で、2日間で録音を終えました。
========================
> そのロック系のメンバーと一緒に演奏した時に感じた印象はどんなものでしたか?
> それまでに前田さんが演奏してきたジャズ・プレイヤーとの違いは?
========================
スタイルの違いは有りますが音楽家としての物造りに対する基本姿勢に変わりは有りません。
ただ、私の録音のやりかたは「1発OK」を理想とする早録りが基本姿勢なので
大抵TAKE 1 か TAKE 2 で終りです。

当時のロックミュージシャンの録音方式は、一曲録音に何日も消費する傾向がありま
した。つまり何度も再生しつつ、気に入らない部分を少しづつダビングするという事
の繰り返しをやる訳です。従って最初の音出しから完成品を目指す姿勢からは遠い
やりかたなもので、
私とのセッションでは、あれよあれよと言う間に「OK」が出てしまうので
最初のうちはあっけにとられていた様です。

即興演奏の録音は、最も輝いている瞬間の「鮮やかさ」を記録することにあります。

そして大抵の場合はTAKE 1が最も「鮮やか」な場合が多く、念のためにTAKE 2を
やる場合もありますが、両方駄目ならその日はあといくら演奏しても私の場合
時間の浪費になりますから、すっぱりあきらめます。テープをいじくりまわして
あっちこっちにパッチを当てた音は、一見キズが無くなる様ですが、そのように
見えるだけで「鮮やかさ」からはほど遠い記録になります。

「SOUL SAMBA」の場合も、私がOKをだして帰ってしまったあと、リズムだけ居残って
ダビング等をした様ですが、彼等にとっては私のやり方が奇異に映っていたかも知れません。

しかし、何十年も以前に録音した「SOUL SAMBA」は、手前味噌ながら、粗悪な作品
では無かったと自負しております。特に私のE.PIANOに関しては、当時の私の音楽的
レベルの最も正直な記録になっていると思います。

============
on 06.3.7 17:53

> name=いいちこ

> Q.1
> :今までの前田さんの豊富な演奏経験の中でこれは
>  やり難かったな、(演奏場所&共演者の都合等々)
>  という想い出があるセッションはありますか?
A.1
演奏場所&共演者に関するものは皆無といっていいでしょう。
一番こまるのはピアノの鳴りが悪いとき。
某大学の講堂で下駄箱に匹敵するピアノで2時間コンサートを
やらされたことがあります。それ以後なるべく事前チェックを
してもらうことにしています。
=====================
> >Q.2.
> :前田さんが演奏上のコミニケーションが取り難い
>  と思うプレイヤーはどんなタイプの方でしょうか?
>  そして前田さんが「ジャズ向きじゃないな、これは」 と感じるのはどんな人?
A.2.
共演者の音に鈍感なプレイヤー。大抵こちらが合わせる様にしますが
合わせきれない場合はどうしても人間ですからシラケ気味になります。

少々補足しますと、ミュージシャンは基本的に
「唯我独尊」的p性格は必須と思われますが、同時に
「協調精神」がなければアンサンブルが成立しません。
この相反するふたつの状態の均衡をうまく保つことが必要です。
視野の狭いミュジシャンは「唯我独尊」が勝って、
気がついたら周りに誰も仲間が居なくなります。
=====================
> >Q.3.
> :想い出に残る共演者、記憶に残るレコーディングは?
>  (共演者は日本人、外国人に係わらず)
A.3
テレビ東京の「ポップスクラブ」で共演の機会に恵まれた人々。
レイ・ブラウンを団長とするオールスターズで、かねてから
あこがれの的であったクラーク・テリー(Trp)の生に接したのは
大切な想い出です。ナイアガラ瀑布と称されたアート・ブレイキー
のドラミングが極めて繊細だったのも意外でした。
=====================
> > Q.4.
> :アレンジャーとして現在まで膨大な数の仕事量を
>  こなしている前田憲男先生。
>  正直、依頼が来た瞬間に「これは嫌だな」と思って
>  断った仕事はありますか?
>  (具体的な名称は当然答えなくて結構です)
A.4.
半分くらいはスケジュールのせいにして断ります。
これを何十年も続けているとそういう仕事は来なくなります。
=====================
> Q.4B.
>  また、これは物凄く手間が掛かったなー、という
>  レコーディングは?
A.4B
東京キューバンボーイズの委嘱作品「祭りの四季」で
3年間かかりました。
これは私の今までの音楽生活の中での最長記録です。
===================== > > > Q.5.
> :スタジオレコーディング技術の飛躍的な進歩に伴う
>  利点は世間で多く語られていますが、逆に不便に、
>  若しくはその向上によって失われた物もあるのでは?
>  と思う部分はありますか?
>  また、レコーディングに関するアレンジャー側、
>  そしてプレイヤー側としてなにか拘りは?
> (これはライブ録音の場合もあればぜひ)
A.5.
スタジオ録音はほとんど分割された小部屋に演奏者が配置され
そしてヘッドホーンからながれるクリック音を頼りに自分の
パートを演奏します。このことで部分的な修正などがやりやすく
なりましたが、全体の中での自分のパートの音量等が
ミキサーまかせにならざるを得ないことでストレスになります。

ライブの場合も会場へのPAとは別に、演奏者のためのモニター
スピーカーが多数並べられる場合が多く、これがないと演奏
できないプレイヤーが増えてきました。スタジオワークと同じ
取り組み方です。これらは確実に音楽家としての能力をすり減らす
方向にはたらきます。
======================

> > オマケ
> :前田さんは当然ご存知でしょう、村上(ポンタ)秀一 さんという
名物スタジオ・ドラマーがいます。

>   > この方が以前インタヴューで、

> > 「前田さんアレンジのレコーディング仕事の途中で
>  怒って帰った」
> 「これで仕事はもう無くなるだろうと思ってたけど、
>  でもまたちゃんと前田さんの仕事が回ってきた」

>   >  といった記述があるのですが 前田さん自身
>  この件についての御記憶はありますか?
A(おまけ)
ありません。仮に私と殴り合いをしたとしても
優秀な才能の持ち主とは生涯一緒に音楽やって
行きたいというのがわたしの基本的な姿勢です。
======================
on 06.1.8 02:40
name="juzz"

> こんばんは。以前、音感について質問させていただきました。
> juzzです。

> > 1.テレビやCDで聴いた曲を楽譜の力を借りず
>   ピアノで弾けるようになりたい。
> 2.楽器の助けなしで譜面を書く能力を養いたい。

> > 私は、歌などを聴いてメロディーを口ずさむことができます。
> しかし、聴いたメロディーを即座に鍵盤に置き換えることや、
> 譜面に書き取ることが出来ないのです。
>
>
> いい訓練の方法はないでしょうか?
> これが出来れば相当楽しいだろうな、と思うのですが…
>
=====================
まず自分がどれだけ音楽に向いているかを自己診断します。

第一段階
「歌などを聴いてメロディーを口ずさむことができます。」
つまりCDかなんかと一緒に唄うことができると解釈します。
この能力に関しては私と同等と御考えください。
普通はこれだけで充分音楽を楽しめるし、ほとんどの人は
それで一生を終えます。

第2段階
たとえば
「昨日おぼえたメロディーを今日音源なしでカンペキにうたえる。」
とするならば
この能力に関しても私と同等と御考えください。
普通はこれだけで充分音楽を楽しめるし、ほとんどの人は
それで一生を終えます。

第3段階
1:昨日おぼえたメロディーを今日音源なしで唄ってみる
 すべて唄えたら記憶力に関しては私と同等と御考えください。

2:昨日の音源を再生する。
  普通はここで音程がずれる筈です。

  もし、音程がずれなかったら「絶対音感の持ち主」の可能性あり。
  つまり私に無い能力をお持ちの可能性があります。

  1:が出来て音程がずれるならば「相対音感」は私と同等と御考えください。

  絶対音感と相対音感に関するさまざまな意見が飛び交っている
  のが現状です。私のHPでも
  「私は絶対音感はありません。ただし相対音感のみで半世紀の
   音楽活動を経験しました。」と公言しています。
  つまりプロとしての活動に於いてもいささかの弊害もなく仕事をつづけて
  おります。

ここまでをご理解いただいたとして以下をお読みください。
---------------

あなたの希望を再録しますと

> 1.テレビやCDで聴いた曲を楽譜の力を借りず
>   ピアノで弾けるようになりたい。

> 2.楽器の助けなしで譜面を書く能力を養いたい。
---------------
1.と2.は似ているようで全く違う能力なのです。
これは「記譜法」に於いて現在まであいまいにされていた部分が
音楽界全体にある種の弊害をもたらしています。
これをやりだすと話が長くなりますからヤメマスが

1.ピアノ(または同等の鍵盤楽器)と考えますと

 最初の問題は「鍵盤楽器を知る」事に尽きます。

 楽器が自宅に無いならば
 市販の安物でいいですからキーボードを手に入れてください。
 ピアニカでも何とかなりますがキーボードがベター。

 メロディーを演奏するためには
 「音階」と「キーボード」の対応を把握する必要があります。
 そのためには「バイエル教本」というピアノ用の教則本を
 無条件で買って下さい。ピアノ教室に行く必要はありません。

   そして可成り大雑把でいいですから全体をマスターします。

 この段階で「五線譜と鍵盤の関係」(絶対音関係)が把握できます。
 (これがあとあと弊害になる場合が出て来ますがいまは黙殺)

 正常に作業を進めれば
 全てのキーに於ける、
 長音階、短音階、主和音、下属和音、属和音
 等が感覚的に理解できる様になる・・・はずです。
 同時に、耳に聴こえる音程とキーボードの位置が結びついてきます。

 その段階ですべてのメロディーを即座に演奏することは可能になります。

 コード進行をもコピーして即座に・・となるとハードルは高いぞ!!
---

2.楽器の助けなしで譜面を書く能力を養いたい。

これは「楽典」を学ぶことに尽きます。
  楽器店で「楽典」と称するもっとも安い本を買ってください。
  記譜に関する約束事の基礎をこれで憶えます。
  これは例えば
  英語---->日本語
  音程---->楽譜   と対応出来るように
  メロディーその他を可視状態にする翻訳作業なのです。

これは1.をやっている間に自然に身についてきますが
 具体的な手順を再現してみますと
 A:なにかメロディーを思い付いた。
 B:唄ってみる。
 C:弾いてみる。------キーが解る。
 D:そのキーで楽譜にする。

「楽器の助けなし」が条件であるがC:の作業はそれほど意味をもたない。
 通常のメロディーは大抵相対音階にしたがっているので
 1:の作業が順調に進んでいればおおよそのキーは確定できる。

大抵の人は自分に固有の得意なキーが存在して(単数または複数)
そのキーでの作曲が圧倒的に多くなる。
これは全く問題ない現象で、そのことを自分自身が把握していればよい。

ごく大雑把に所見を記しました。ご参考になれば幸いです。
=====================
on 05.01.21

name="なんちゃん"
Q: 去年公開の映画「スウィングガールズ」を御覧になりましたか?
=====================
観ていませんが、大反響であったことは存じております。
=====================
Q:私は彼女達の演奏を観て、サントラを聴いて、音楽の基本を
> 教えてもらったような気分でした。彼女達はホント楽しそうに
> 演奏していましたね。

=====================
音楽には2通りの楽しみ方があります。

聴く----------------(受信側)
演奏する------------(発信側)

特に「演奏する」楽しみを広く一般にアピールした点で
この映画の影響力を大きく評価します。
====================
on 05.01.01
Q:大阪のR.M.です。
子供二人がピアノ教室に通っています。
 子供達には、音楽の楽しさを知って欲しいのですが
どうも勉強と同じで「やらされている」という感じに
なっています。どうすればいいでしょうか
====================
A:ここの判断は大変むずかしいのですが

私の場合NHKの公開番組で視聴者からの同様の質問
「ピアノのレッスンをやりたがらないのを直すには・・」
だったと思いますが、わたしは即座に
「ほっときなさい」と答えました。

「読み書きソロバンは生存のための必須項目であるので
なだめすかしてでも憶えさせる必要が有る。
しかし、音楽は好きな子だけがやればいい。
情操教育(=親の希望)が子供の負担になる場合もある。」と。

要は、現状で音楽が、「楽しみ」なのか「苦痛」なのかが問題です。
音楽は好きだけどピアノのレッスンはしんどいという場合もあります。
    先生との相性の問題もあります。
    ほかにやりたいことが山積している場合もあります。

その場合は、
レッスンをきっぱりあきらめて
CDを聴いたりコンサートに行ったりすればいい。

ピアノ教室の目的は大抵の場合「演奏能力」に重点を置きます。
これはタイプライター教習所とほぼ同じ作業で
音楽の面白さを感じることとは対極にある作業です。
先生の批判をしている訳ではありません。誤解しないで下さい。
すべての「習い事」は多小ともそういった要素が不可欠です。

大人になってから「ピアノやっときゃよかった」と思う
大人もたしかに居ます。
そういう人はそれからピアノに挑戦すればいい
本当の楽しみはそこから始まるのです。
それでいいんじゃないですか。

==============
on 03.7.28 22:58
name="juzz"
> こんばんは。
> 音感についていくつか質問があります。

> > Q1、絶対音感と相対音感はどちらか一方しか
> 身に付かないのでしょうか?
> また前田さんは絶対音感保持者ですか?
==========
私は絶対音感保持者ではありません。
ただし相対音感に関してはほぼ半世紀の経験を積んでいます。
調性を持った音楽を扱う場合は相対音感が便利です。
無調(十二音技法等)では絶対音感が有利です。

絶対音感保持者の意見を聞くと、両者を同居させるのはつらいようです。
>
> Q2,複雑な和音や速いフレーズをコピーするには、
> 絶対音感の方が早いですか?また相対音感でもかなり訓練すればすぐ聞き分けが出来る
> ようになるのでしょうか?
==========
音楽の種類にもよりますが「コピー」という作業のみを考えれば絶対音感の方が有利
でしょう。ただし私は相対音感でコピーします。アレンジャーという仕事の性質上
「コピー」の段階でいきなり移調して譜面を書く場合等、相対音感が便利です。
==========
>
> Q3、楽器を使わずに五線だけで曲をかけるのは絶対音感があるからですか?
>
==========
私は譜面を書くときは楽器を使いません。その方が速く書けるからです。
頭のなかで音を出す訓練が長い間に自然に身についているので、
絶対、相対とは別の能力です。
==========
> Q4、相対音感だと知らない曲のkeyは判断できませんか?
==========
新曲のCDを始めて聴いた時のような場合のことでしょうか。
不自由を感じない程度にKEYは解ります。そのメカニズムを
簡単に説明しますと、私の場合'A'音には非常に敏感なので
それとの相対的な音程でKEYを判断している様です。
ほとんど無意識のうちの作業です。
==========
>
> Q5,前田さんの過去に書かれた「前田憲男の作曲術入門」と
> 言う本では、「絶対音感は大人でも訓練次第で何とかなる」と
> 書かれてありましたが、訓練次第で大人でも身に付く場合が
> あるのでしょうか?
> ニューヨーク・フィルの首席奏者(tp)であるィリアム・ヴァッキャーノと言う人は
> 大人になってから絶対音感をつけたそうです。
> ただしインターネットで見た情報ですので、
> 真偽のほどは分かりませんが…
==========
生まれつきの絶対音感というものはありません。
普通われわれが音楽の世界で言う「絶対音感」とは
1オクターブを12分割した音列を基礎とする種類の音楽に於いて
その環境のなかでそれらの曲なり音階なりをくりかえし聴くことで
聴覚神経にC,C#,D,D#,E,・・・という風に印が刻まれた状態と考えてください。
これが人によって、自然に体得する場合と、修練によって体得する場合とが
あります。本質的に訓練で得られる能力ですから、子供のほうが有利とも
いえますが、大人になってから運転免許を取るのと同じで、生まれつきの
聴覚障害でないかぎり、だれでもつけることができます。
私があえてそれをしない理由は、相対音感の便利さだけで充分間に合って
いるからです。
==========
>
> 絶対音感保持者の中には、音が気になって物事に集中できない人もいるそうですね。
> 私には全くドレミには聞こえないのですが…
>
==========
なぜ音が気になるのでしょうか。
自然音の物理的な振動数はアナログで連続しています。
聴覚神経にC,C#,D,D#,E,・・・という風に印が刻まれた状態でそれらを聴くと
ほとんどの音は音程をはずれていることになります。
絶対音感の持ち主はこの認識のズレを頭の中で修正しようとします。
自然音と聴覚神経との戦いで、これはつらいだろうと想像出来ます。

これは絶対音感の持ち主だと称する人達の話から類推したことです。

on 03.6.05 21:25
name=さぷり

ピアノや指揮を 独学で習得されたと伺いましたが、
独学で良かったところを聞かせてください。

これは鋭い質問です。
独学で「良かったところ」など考えたことも有りませんが
この際じっくり考えて慎重に解答いたします。

その前に「独学」の定義をします。

独学とは「特定の指導者から授業を受けたことがない」
ことを意味します。
勉強の過程ではあらゆる参考書を読みますが
これは先人の業績を参考にするということで
独学と言えます。

すべての事柄が試行錯誤の連続であり無駄も多い。
が、その無駄が単なる無駄でないことがあとでわかる。
つまりある結論に達した時、なぜそうなのかが実感できる。

たとえばピアノの運指法を考えても
ハ長調で、1-2-3-1-2-3-4が標準ですが
曲というものは運指法とは全く無関係につくられますので
どう演奏するのが一番能率的かは演奏者の判断で決まります。

数限り無く無駄な運指を試した結果得られたテクニックは
もっとも現在の自分の能力に合った適切なものになります。
そしてそれが最良の運指法であることが納得できるのは
数限り無く無駄な運指を行ったことが役にたっています。

独学によって得られた技術や知識は常に「等身大」で
無駄のないものになります。

もう一点、音楽そのものについて。

全ての音楽は自分自身の好きなように聴いたり演奏したり
出来た事。誰かに教えを受ける時、一番危険なことは
「その人の感性を押し付けられる」ことがしばしばある
ということで、多くの学生が、ただのコピー人間になって
しまうのはそのためとも言えます。

独学の場合はその危険性は皆無と言って良いでしょう。
これが、独学で「良かったところ」の結論です。

独学で悪かった点は、数限り無くありそうですが
私は考えないことにしています。
とにかく今の生き方に満足していますから。



on 03.1.01 23:47
name=安藤  努

> こんばんは、神戸の安藤という者です。
> 先月の25日にスウィングシティでのライブを見させていただき
> ました。
Q1:質問ですが、ライブではリクエスト中心ですが、
> いろいろな曲のコード進行、メロディーは頭の中で完全に整理
> されているのでしょうか?
>
A1:その通りです。頭の中に印刷譜がある状態とお考え下さい。
>
Q2:うろ覚えであったりすることもあるのですか?
>
A2:勿論無限に近い曲をすべて憶えるのは不可能ですし、知らない曲も
沢山ありますが、うろ憶えの曲は演奏しないので、困ることは
ありません。
>
Q3:移動ド、固定ドとありますが、どんなときにどんな使い分けを
> されているのでしょうか?
>
A3:私の場合すべて「移動ド」です。
私が現在出会う音楽の99%は調性音楽ですから、移動ドのほうが便利です。
ただしコードネームは絶対音高に対応してつくられていますから
度数表記に頭の中で読み替えるのです。例えば

key of Ebで | Am7b5 D7 | Gm7b5 C7 | Fm7 Bb7 | EbEdim |とあれば
度数表記で |IV#7b5 VII7|IIIm7b5 VI7|IIm7 V7| I I#dim| と理解します。

そうすることによって、あらゆるKEYでの演奏が可能になります。例えば
Key of Eb で書かれた譜面を「半音上げてくれ」と頼まれたら、
固定ドで憶えるミュジシャンは大変な努力をして読み替える必要がありますが
移動ドだと瞬時に度数表記に読み替えますからあらゆるKEYに対応出来るのです。
これは歌の伴奏には絶対必要なテクニックです。勿論アレンジの際にも絶大な
威力を発揮します。

絶対音感の持ち主(これは想像以上に実在します)は、移動ドになじめません。
私に言わせれば余計な能力が逆に障害になっています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
絶対音感の持ち主で、ご意見がありましたら是非とも投稿お待ちしています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

on 02.12.09 16:41
name=りこ
coment=こんにちは、ピアノの上達法を教えていただきたいのですが、、、
以前8年間クラシックをやってバッハのフランス組曲あたりまでやった後レッスンは辞めてしまいま したが今また真剣に再開して練習しつつ、レッスン先を探しています。
トリプルピアノ を聴いてその魅力にすっかり取り付かれてくるみ割り人形のピアノのソロの楽譜を買っ てきてCDのアレンジに似せて練習してるところですが、自分でいうのもなんですが指は 結構動くほう?だと思うのですがやっぱり目指しているものがあまりにもレベルが私に は高すぎるのもあるのだと思うのですが、、、思うように弾けません。
やっぱりジャズはクラッシックとは性質の違うものなんでしょうか。曲調のつけ方やこ ういう教室に通うといいとか、こういう練習をしたらいいなどあったら是非教えて下さ い!

トリプルピアノの応援団1名増加有難うございます。

さて、回答ですが・・・その前に

トリプルピアノのどこに魅力を感じられたのか。
御自分の今までに経験されたピアノの世界とどの辺がどう違うのか。
従来通りのクラシックピアノのレッスンを続ける意欲は。

ジャズピアノ教室もピンからキリまで存在しますが
実は、相当覚悟してかからないと非常に危険だと思います。
過去を捨ててジャズに切り替えたいという欲望がないかぎり
下手をすると、どっちつかずの(どちらもうまくない)凡ピアノ弾きに
なってしまいます。

ただプロでなく趣味でピアノを続けたいという方々ならば
これほどシビアに考える必要もありませんが、
二兎を追って二兎とも仕留めるには相当のセンスと適性が必要です。

ピアノのレッスンでよく「解釈」という言葉がつかわれますが
ジャズ的「解釈」を教わってジャズが演奏出来るという訳には・・

最も困難な問題はジャズ独特のリズム感を身につけることです。
私は過去50年ジャズ畑で暮らしていますが目標ははるかかなたです。
言葉で説明できない、楽譜にも書けない独特のタイミングは
膨大な量のジャズ演奏に接することで少しづつ身体にしみついて
くるものです。

したがって、まずジャズが好きになることが先決です。

ジャズは大雑把にデキシー、スウィング、モダン、フュージョン等に
ジャンル分けされていますが、基本的にはプレイヤーの数だけの
ジャズが有ると考えるべきです。

従って、どのCDを推薦しますということが不可能です。
自分の好みのサウンドを自分で探すしかありません。

インターネットでは全世界の音楽放送が只で聴けるので
当方ADSLの定額つなぎっぱなしですから、ひまをみては利用しています。
ジャズの放送は意外にもドイツの局がやっています。
途中にドイツ語のCMがひんぱんに入りますが、けっこう聴けるプログラム
で充実しています。
アメリカ局は"Smooth Jazz"全盛で、これは私の趣味ではないので
聴きません。

あと、金と時間に余裕があれば、CD shopのサイトをわたりあるいて
ジャズを探すことです。

ライブ・スポットに足を運ばれるのは、教室に通う以上の効果があります。
なるべくピアニストの手が見える位置に陣どって一晩すごせば、
ジャズピアノの好きなところと嫌いなところが一度に体験出来ます。

ほとんど答えになっていないですが、現状でお話できるのはこの程度の
ことで失礼いたします。

on 02.12.02 13:44
name=piano-barオータム
coment=音楽的内容かどうかは別として_本当ですか?
1.ベニヤ板に書いた鍵盤で指孔が空く程練習した時期が有る
 (4畳半の部屋かどうかは聞いてませんが)
2.仕事(主に編曲楽譜書き)の時(パン?とか)喰いまくりながらやる_
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めずらしいご質問なのでお答えいたします。
> name=piano-barオータム
Piano-Bar「オータム」の経営者と読めますが、どこにあるのでしょうか?

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Q1:ベニヤ板に書いた鍵盤で指孔が空く程練習した時期が有る
>  (4畳半の部屋かどうかは聞いてませんが)
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A1:材質:ベニヤは誤りで、建材の杉板です。
状態:2,3年使用しましたが指孔は開きませんでした。茶色に変色しただけ。
家にpianoが無かったので、これに頼るしか方法が有りませんでした。
余談ですが東京に移住する時に、鍵盤のウエイト調節可能なヤツを
メーカーに発注しました。昭和30年当時で7万円でした。
上京当初は4畳半(\4.500)の部屋でした。

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Q2:仕事(主に編曲楽譜書き)の時(パン?とか)喰いまくりながらやる_
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A2:何も喰いません。ただ、水またはお茶のペットボトル(大)1本半を常飲。
たばこ(hi-liteのみ)は欠かせません。禁煙の意志まったくなし。

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on 02.6.14 03:23
name=うな丼

Q:大編成オーケストラにドラム・エレキベース使用時,(国営放送スタイル?)オケのコントラバスにはどんなことをやらせてらっしゃいますか?。ベースとの「音のアタリ」が生じることは無いのかな?,そういう部分は「書き譜」になっているのか?.とかいろいろ想像してしまいます。(もしや,このコーナー,マジな質問コーナーと,とらえてはいけなかったでしょうか?)
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A:マジな質問コーナーと,とらえるのが正解です。
今回の御質問きわめて有意義で、おそらく大部分のアレンジャーが遭遇し、また現在も疑問をもちながら仕事をしている問題のひとつです。良いご質問だと思います。
エレキベースに限らずJAZZのリズムセクションの場合も同様の問題が起こります。
これは、「ベース」という同族楽器ととらえることから脱却すれば一気に解決します。
つまりコントラバスとエレキベースは全く異種の楽器でその

性能も役割も全然違うのだ

と認識するのです。
コントラバスはストリングセクションの最低音を担当し、
リズムをきざむ仕事はエレキベースにまかせることで両者はバッティングしなくなります。
「書き譜」でユニゾンで動かす場合は、あくまで「そのような音色が欲しい」場合 に限定するのです。
ただ漫然と両者ユニゾンで「ブンチャブンチャ」を指定するのは コントラバス奏者の怒りを買うだけです。

on 02.6.07 11:27
name=玉田裕一
Q1:指揮は誰かに習ったんですか?

A1:独学です。

Q2:オーケストラのスコアを書くときに、始めの4小節ができると後はすらすら書けるというのは、どういうことでしょうか?

A2:会話と同じで、最初の一言で相手をひきつけることが肝心。それさえ出来れば あとはどうにでもなる。

Q3:膨大な数のアレンジをなさってきたと思いますが、コンサートやレコーディングのあとで書き直したいなーと思うことはありましたか?

A3:自己採点は常にやりますが、書き直すことは考えません。反省点は次の作品への 教訓とします。

Q4:仕事で、知らない曲のアレンジを頼まれることもありますか?

  A4:知らない曲の方が圧倒的に多いです。

Q5.自分以外のアレンジャーによる楽譜はピアノにしても、指揮にしても演奏しにくいっ てことはありませんか?

A5:作品のレベルによります。他人が見ることを念頭におかずに書きなぐった譜面は 「読む」段階でイヤ気がさします。それで損をしているアレンジャーは何人も 居ます。(誰とは申しませんが)

Q6:ジャズのアレンジで、アドリブが多いと音符を書く作業はかなり楽になりますか?
アドリブの部分は全くミュージシャン任せなんですか?

A6:アドリブをどう生かすかによってアレンジャーの価値が決まります。
コードネーム並べるだけで楽だとカンチガイしている人が多すぎる。
ミュージシャンまかせかどうかは仕事の内容にもよりますが
その人の身になって考えれば、まかされた方がやりやすいでしょう。
私の場合はほぼ100%おまかせ。またそういう人しか雇いません。

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