鳴門海峡の渦潮うずしお (2002年10月1日開設 ・ 2015年11月11日一部更新)


 2002年秋、鳴門海峡の渦潮を撮影する機会を得ましたので、鳴門海峡の渦潮を紹介してみたいと思います。
 一般に1日に満潮と干潮が2回ずつ起きますが、この満潮と干潮のときに鳴門海峡では渦が巻きます。渦潮の見ごろは、満潮や干潮の前後1時間といわれています。ここに掲載している写真は、2002年9月の大潮の干潮時に撮影したものです。

    

上の写真2枚は、大鳴門橋に設置されている「渦の道」から撮影したもの



    ここをクリックすると、渦の動画を見ることができます。



 64ビットパコンの場合、画像が出てくるのが遅い場合がありますので、しばらくお待ちください。また、画面の大きさは32ビットパソコンと比べて小さくなります。
 動画が作動しない場合は、ご使用されているパソコンにマイクロソフト社のソフトウェアWindows Media Playerをインストールする必要があります。
 マイクロソフト社のホームページhttp://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/download/からご使用の環境に適したWindows Media Playerをダウンロード、インストールしてからご覧ください。Windows用やMacintosh用のWindows Media Playerがそれぞれ無償でダウンロードできます。なお、同社のホームページにリンクしていません。



 次に、なぜ、鳴門海峡に渦ができるかについて考えてみます。
 大鳴門橋に設置されている「渦の道」から鳴門海峡の渦を観察していると、流れの速い潮が遅い潮にぶつかり、速い潮が遅い潮の方に曲がってしばらくすると、渦ができてくることがわかります。はじめは、小さな渦であっても潮とともに流れている間にだんだん大きくなり、やがて消えてしまいます。渦の発生から消えるまでの時間は、約二、三十秒で、長くても1分もたっていません。
 このように、流れの速い潮と遅い潮があってはじめて渦が起きることがわかります。もし、鳴門海峡に流れの速さが同じ潮しか流れていないのであれば、潮は常に同じ方向に流れるので、渦は発生しません。
 写真1・写真2および動画の渦は、鳴門海峡の中心部より鳴門市側に寄ったところで、鳴門海峡の中央を流れる本流から少し離れた、いわば”支流”に当たるところで発生したものです。実際、この支流の方がより多くの渦が発生しています。


 
    

上下4枚の写真は、観潮船から撮影したもの

    

写真5の陸地は徳島県鳴門市    大鳴門橋と鳴門海峡    写真6の陸地は淡路島


 鳴門海峡の支流における渦潮は、右に曲がったり左に曲がったりしながら流れていますが、本流の外側では、ときどき支流の渦より大きな渦が発生するのが見られます。しかし、本流はそのままの勢いで流れているので、その様子は、さながら重いものを「ころ」を使って動かしているようにも思えてきます。流れの遅い潮流の横を渦がころの働きをして、流れの速い潮流をスムーズに動かしているのです。
 

   前述のように、渦は、流れの速い潮が遅い潮にぶつかり、速い潮が遅い潮の方に曲がってできるので、流れの遅い潮が流れの速い潮の右側にあると、右回りの渦ができ、逆に流れの遅い潮が流れの速い潮の左側にあると、左回りの渦ができます。注意深く観察していると、干潮では、右まわりの渦が多く発生し、なかには左まわりの渦もできていました。このことからも鳴門海峡に渦潮が発生する要因は、流れの速い潮流と遅い潮流であることがわかります。

 次に、なぜ、鳴門海峡に流れの速い潮流が発生するかについて考えてみます。
 満潮のとき、すなわち潮流が紀伊水道側から播磨灘側へ流れる場合、鳴門海峡の幅は約1.3qと急に狭くなるので、潮流は鳴門海峡をとおるとき、流れが速くなります。逆に干潮のとき、すなわち潮流が播磨灘側から紀伊水道側へ流れる場合も、狭い鳴門海峡をとおるとき、流れが速くなります。
 ただ、狭い海峡によって潮流が速くなるところは、鳴門海峡だけでなく、関門海峡や来島海峡など数多くの海峡があります。実際、そういう場所でも小さな渦が発生しています。しかし、鳴門海峡で発生するほどの大きな渦にはなっていません。
 もう少し詳しく鳴門海峡の潮の流れを観察してみます。


     


 上の写真のように、鳴門海峡の潮流は、急流の川のように速くなっています。なお、写真8は、写真7よりも右(播磨灘側)に位置しています。



     


 さらに、写真9および写真10を見てもわかるように、海面に落差(段差)ができています。すなわち、播磨灘側(写真の上側)の海面が高く、紀伊水道側(写真の下側)の海面が低くなっているので、急流の川のように潮が流れています。春の大潮の干潮時には、この海面の落差が1メートル以上にもなり、さらに速い潮流となります。このように、海面の落差に潮流が速くなる要因があることがわかります。

 それでは、なぜ、鳴門海峡に海面の落差(段差)ができるかについて考えてみます。
 先ほども記載しましたように、一般に1日に満潮と干潮が2回ずつ起きます。このことをグラフにあらわすと、次の図になります。


 


 縦軸が海面の高さで、横軸が時間です。このグラフでは、24時間に満潮と干潮が2回ずつ起き、1回目の満潮のあと、2回目の満潮も1回目の海面と同じ高さとしていますが、実際は、24時間周期よりやや長く、1回目の満潮(又は干潮)と2回目の満潮(又は干潮)の海面の高さは、同じではありません。
 鳴門海峡において満潮である場合、その後の潮の流れがどのようになっているかについてみてみます。
 満ち潮の潮流は、紀伊水道から北へ進み、鳴門海峡側と大阪湾方面へと二つに分かれます。鳴門海峡では、はじめ満潮で、図1を見てもわかるように、3時間後には潮が止まった状態になり、そのあと、潮流の方向が南に変わり、引き潮となります。さらに3時間後(はじめから6時間後)、紀伊水道側の鳴門海峡では、海面がもっとも低い干潮面となります。


     


 いっぽう、大阪湾方面へいった潮流は、明石海峡を通って、結局、5〜6時間かけて淡路島をほぼ一周して播磨灘側の鳴門海峡に達するといわれています。そのため、鳴門海峡の播磨灘側の海面は、満潮の高さとなります。
 その結果、鳴門海峡の中心部を境として、北の播磨灘側の海面は高く、南の紀伊水道側の海面が低くなるので、鳴門海峡の海面に落差(段差)ができることになります。そのことにより、鳴門海峡では、急流の川のように潮の流れが速くなるわけです。このように鳴門海峡に海面の落差ができる要因として、淡路島の大きさが関係していることがわかります。
 また、鳴門海峡の潮の流れは、干潮の引き潮の間、常に同じところで潮流が速かったり遅かったり、潮が海面下から湧きあがったりしています。この要因は、複雑な海底の地形にあるようです。

 満潮の渦と干潮の渦を見てみると、干潮の渦の方がよりダイナミックに感じます。鳴門海峡の渦をご覧になる機会がありましたら、干潮の渦の方をおすすめします。


 

  目次へもどる   トップページへもどる