本割込鍛造ブレード第2弾です。一作目と同様子のブレードは佐賀の刃物鍛冶師金田さんに特注でロックつきフォールディングナイフ用として打ってもらいました。一作目よりブレードがふっくらした感じに仕上がりました。というかブレードのマスターを預けておいたんですが、最初だったので金田さんも最終の形に鋼を割り込むのが難しかったんだろうと思います。ちなみにこの鋼は先代が明治の終わり頃、ヨーロッパから船で運ばれた鋼だそうで、それももうそろそろ底をつき始めているそうです。 というのも今から数十年前に大水が出て川が氾濫し、その鋼が工場ごと流され、あとで川や田圃に行って拾い集めたのが今使っているものだとか・・・・。無くなる前にいっぱい作ってもらっとこ〜。

本割込鍛造ブレードをフォールディングナイフに使うにはいくつかの条件をクリヤーしないと完成しません。ここでいう鍛造とは鋼を両側から挟んで叩いたいわゆる利器材ではありません。
まず、問題はブレードの厚みです。叩きあっがったブレードは文字通りデコボコ。これをフラットに直してセンターを出します。3、2mmほどあったブレードは最終的には2、5mmまでしぼられます。それに合わせてロックバー、スプリング(ここはATS-34)を削ります。この厚みを合わせるのが一苦労。 手作業だから機械みたいに正確にはいかないんです。 あと本組みの時、ステンレス鋼と同じようにブレードピンをカシめると最初はちょうどいいアクションなのにしばらくするとだんだん締まっていくのか、ブレードが動かなくなってきます。最初の頃は何度もピンを抜いてやり直しました。その原因の1つにライナーとブレードタングのこすれ合う部分が両方とも柔らかいため摩擦というか抵抗が大きくなり、スムースに回転しないということです。そのため今回はライナー、ボルスター、ブレードピンをステンに換え、作ってみましたがやはりステンレス鋼に比べたらかなり重いですね。スプリングを柔らかくしたら当然とじ込まなくなるのでその分強めにしています。そのかわりロックリリースが固いですね。でも作りにくいから作らないでは進歩がありません。敢えてこれからも作っていくつもりです。


田さんのこだわりは独特な製法によりブレードの先端にいくほど鋼がしっかり割り込んであるところです。 普通に叩き延ばしていけば先端の幅と同じ割合で鋼も少なくなっていき、研ぎ減りしていけばすぐ鋼がなくなり使えなくなります。 これならかなり長く使えますよねー。