メーコ、復活!
弟のター助の結婚式から早半年が過ぎた。
テロの余波ですっかり仕事もなくなり、「どうせネタもないからなぁ・・・」と、ちんたらちんたらしていたら、いつの間にか「なお小箱」のトップページから「メーコの旅かばん」が消去されてしまっていた。
ナント言うことだ!!
文句を言おうと思って作成者のねーさんに掛け合ったら、
「だっていつまで経っても11月のままで進まないじゃない」と言われてしまい、正にその通り!だったので大人しく引き下がった。
メーコは、自分の損得に関わることについては非常〜に往生際が悪いが、そーでないことに関してはビックリするほど諦めが良いのだ。
この間だって、カナダから帰ってくる時に、
「君の座席はビジネスクラスにしてあげるよ」って言われたのに行ってみたらエコノミークラスで、
「ハナシが違うじゃんかよ、オイ!!」ってカウンターで怒鳴りまくってマネージャーまで呼び出して、ついには
「アナタのことは本社に訴えますよ!!」とまで脅してまんまとビジネスクラスにしてもらって帰ってきたけど、
あれがお客さんの席だったら「残念でしたね〜、ホント」とか何とか言って絶対に交渉なんてしないもんね。
あ、でも、その時はお客さんはいなかったからね、念のため。
さすがのメーコも、お客さん連れてる時に自分だけビジネスクラスに座ったことは3回くらいしかないよ。
(それだけあれば十分だ、って同僚に言われたけどさ)
そんなこんなで、テロ以降の数ヶ月を「座敷ブタ」としてグータラ過ごしていたメーコではあるけれど、実はその数ヶ月の間に、「インド人もビックリ!!」の出来事が起きていたのであ〜る。
そう。 「第二の人生」への扉が、チラッと見えてきたのだ。 ・・・うしししし。 このチャンスを逃してはならない!と思い、メーコは丸々一ヶ月の休みを取って彼の住むフロリダへと飛んだ。
でも、いくらヒマになったとは言え全く仕事が無かったわけでもないので、一応会社には「旧来の友人に会いに行きますので」と、もっともらしい言い訳をして出て行った。
「夢にまで見た扶養家族生活!」「ダーリンと過ごすバラ色の毎日!!」
ブラジャーのサイズが1サイズ大きくなるくらい期待に胸を膨らませて現地へ飛び、
「日本に帰ったらスグ辞職願いを出さなくちゃ」と心に決めて帰国したメーコではあったが、帰ってきた瞬間にブラジャーのサイズは元に戻ってしまった。
喜ぶべくか憂うべくか、人々の記憶からあのテロの惨状は徐々に消え去ってしまったらしく、桜のつぼみが膨らみ始める頃からメーコの仕事は俄かに忙しくなってしまっていたのである。
それだけではない。 「友人に会いに行きますから」と言った言い訳がまんまと課長にバレており、出発前まではちゃ〜んと「人間のカタチ」をしていたハズの課長が、「辞職願いなんて聞く耳ないゾウ」君に変身してしまっていたのだ!
メーコ、ゾウに踏み潰され即死。
もがきながら、「部下の幸せを願うのが上司ってモンじゃないの??」とわめいたが、
「オマエの幸せは会社には関係ないゾウ」とあっさり言われてしまった。
メーコ以上に、課長は自分の損得にならないことには関心がないらしい・・・。 くっそ〜。
・・・っつーワケで、添乗員メーコ、復活。
でも、決して「第二の人生」を諦めたワケじゃないよ〜ん。
だって、これは「ビジネスクラスの席」どころの問題じゃないもん。
メーコの人生がかかっているからねー。
「メーコの旅かばん」だって、「フロリダ通信」に変わるんだい。
ミッキーマウスとスペースシャトルに囲まれて、メーコはバラ色の毎日を過ごすのさっっっ。
見てろよ、課長〜。 メーコはゾウになんて負けないもんね〜。
・・・って息巻いてたんだけど、8月までのスケジュール見て気絶しちゃった。
香港、大阪、ドイツ・オランダ、中国、オーストラリア・・・。
フロリダと「バラ色の人生」はとってもとっても遠いらしい・・・。 くっすん。
泣きながらメーコは、香港行きの荷造りにとりかかるのであった・・・。 つづく。