滞在3日目
ダーリンが立てた「若い悪魔向け」の行程に従い、今日は、キーウエストの手前、「ビッグ・パイン・キー」にある「ルー・キー・ナショナル・マリン・サンクチュアリー」でシュノーケリングをしてからキーウエストに向かう予定である。
朝の9時に出航する船を予約したのだが、マイアミからビッグ・パイン・キーまではどんなに頑張っても2時間半はかかるため、遅くても6時にホテルを出ないと間に合わない。 今さら言うまでもないが、メーコは早起きが大キライ。 はるばるフロリダまで来てくれたター助たちのために、「せっかく来てもらったんだから楽しんでもらわないと」というダーリンの気持ちはとぉ〜っても嬉しかったんだけど、仕事でもないのに朝の5時に起こされた瞬間は、ダーリンの顔が「早起き散歩魔」のパパそっくりに見えてしまった・・・。 
「このパパとママからダーリンが生まれたなんて信じられない」と、ずっと思っていたメーコであったが、この瞬間、「やっぱり親子だ」と確信してしまった。 
・・・早起きよりも何よりも、このことがメーコをブルーにさせたことは言うまでもない・・・。
 
途中、1時間半ほど走った「マラソン」の街にてキューバ料理の朝食を購入。 
メーコのお気に入りの、「コラーダ」なる、ダブルエスプレッソよりもさらに濃ぃ〜いキューバン・コーヒーを飲んで、メーコのご機嫌もいささか回復。 
8時半過ぎに「ビッグ・パイン・キー」のダイブショップに到着し、手続きを済ませていざ出航! 
ここから「ルー・キー・ナショナル・マリンサンクチュアリー」までは約40分ほどの道のり。(←船の場合も、「道のり」って言うのかね?
・・・ま、あんまし気にはしてないんだけど) 最初のダイビングスポットに到着し、船長さんから説明を受けるやいなや、
ダーリン、海に突入!  
「ほら!メーコさんも早くおいで!」と、波の合間から声をかけられ、
「え?? あの、ダーリン、“準備体操”とかしないで飛び込んだら、心臓麻痺とかになっちゃうのでは・・・」と、
「パーマのかかった毛に覆われている心臓」を持っていると人から言われているくせに、人並みに自分の心臓を気遣ったメーコは一瞬ビビってしまったが、同乗していた外人たちも次々と海の中に消えていったので覚悟を決めて飛び込むことにした。 海に落ちるまでの間、メーコの口からは「こーゆーことしてるから、外人の寿命は日本人より短いんだぞー!」、という叫びが発せられたが、でもこれは、まんざら間違いでもないと思う・・・。

それはともかく、「ルー・キー・ナショナル・マリン・サンクチュアリー」の海中は、噂に違わず素晴らしかった。 
「海の暴れん坊」バラクーダを始め、サメ、ロブスター、ナポレオンフィッシュなど次から次へと顔を出す。 
ター助たちにもいいスポットを教えてあげようと思い、水の上に顔を上げて振り返ったが二人の姿は見えない。 
「ま、いっか。 あっちはあっちで楽しんでるだろうから」、と思い、メーコはダーリンと二人で1時間ほどのシュノーケリングを満喫していた。 が、次のスポットへ向かうために船に戻ったメーコとダーリンが目にしたものは、「船酔い+シュノーケリング酔い」でグッタリと寝そべるター助の姿であった・・・。 
次のスポットに到着しても海には入らず、「国立の海洋公園にゲボ吐いちゃったら悪いですからぁ〜」、と呟いて寝そべったままのター助は、せっかく注文した昼食のホットドッグも口にできず、死亡していた。 
・・・情けない。 
「コイツは本当にメーコの弟なんかいな??」と、ダーリンも疑惑の眼差しを向けている。 
その横で、メーコはター助のホットドッグをパクつきながら、子供の頃、水が怖くてプールに入れなかったター助の水泳帽をかっぱらい、その帽子をかぶりながら「悔しかったらここまで来てみ〜!」と、自慢げに泳いでいたことを思い出し、「悔しかったらホットドッグ食べてみる〜?」と尋ねてみたが、ター助は死にそうな声で、「別に悔しくありません〜」と答えていた。 
・・・本当に、よっぽどキモチ悪かったのだろう。 
情けなかったが、チョッピリ気の毒になったのでそのままにしといてあげた・・・。 
でも、帰りの船の中で、「心臓の毛だけでなく、三半規管も移植してやらねば」と、メーコが新たな決意を固めていたことは言うまでもない・・・。

夕方、キーウエストのモーテルにチェックインしたメーコたちは、前回同様、「サンセットビーチ」をター助たちに一回り案内し、ダーリンの知り合いが勤めている日本料理やで夕食を取るべくレストランへと向かった。 
このレストランの名物は「寿司ロール」。 クリームチーズや蟹のフライなど、日本では絶対に考えられない具を使った巻き寿司が売り物なのである。 
次から次へと出てくる「珍なる寿司」に、「アメリカでしか食べられない巻き寿司が食べたい」とのター助夫婦の希望は見事に叶えられた様子。 
でもきっと、「星一徹」みたいな寿司職人さんがこれを見たら、やっぱり卓袱台をひっくり返すんだろうなぁ・・・。 
そして、メーコは柱の陰で泣く・・・。 
う〜ん、ねっけつだぁ〜! 
・・・などと、道中の疲れも手伝ってか、6本目のビールで酔いが回り始め、ワケの分からんことを口走り始めたメーコを、お酒を一滴も飲めないサーちゃんは冷ややかに見つめていた・・・。 
が、しかし、酔ってはいてもそこは添乗員、そんなサーちゃんの様子をすかさず察知し、「じゃ、お腹も膨れたし、そろそろ帰ろうか」と、勘定を頼もうとした。 
がっっ! その瞬間、お客さんも大分引けて手が空きだしたダーリンの知り合いが顔を出し、「こっちで一緒に飲みましょうよ」と、声を掛けてきたではないか。 
メーコ、非常にビミョーな立場に立たされる。 
ダーリンの顔を立てるならば、やはり一緒に飲まなくてはならないだろうし、「義理の姉」として点数を稼ぐのなら、お酒の飲めないサーちゃんを気遣って帰るべきだろう。
う〜む、困った。 
・・・と、3秒ほど悩んでみたメーコであったが、言うまでもなく5秒後には、酒瓶を抱えてお酌しまくっていた・・・。

その後、どれほど飲んだのかメーコは覚えていない。
おぼろ気に、寿司バーの残りの鮭をぶん取って、勝手に「おにぎり」を作り始めたメーコを、冷ややかに見つめていたサーちゃんの視線だけは覚えているような気がする・・・。 
そして、「明日の出発は9時ね〜!」と、近所迷惑も考えずに、真夜中大声で叫んでいたような気もした。 が、本当にどうやってホテルに帰ったのか、その後どうやってベッドに入ったのかすらメーコは覚えていなかった。

翌朝、まんまと寝坊をし、シャワーも浴びる時間もないまま酒臭い体で表れたメーコに注がれたター助とサーちゃんの視線が、思い切って飛び込んだ「ルー・キー・ナショナル・マリン・サンクチュアリー」の水よりもずっと冷たかったことは言うまでもない。
オーランドまでの帰り道、ター助に心臓の毛や三半規管をを移植することよりも何よりも、「姉の威厳を失墜するまで酒を飲んではいけない」ことを固く誓ったメーコと共に、2泊3日のマイアミ・キーウエスト旅行は幕を閉じたのである・・・。 おえっっっ。             つづく 




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