香港

メーコは香港がキライだ。
 でも、正確に言うならば「香港そのもの」がキライなのではなく、
「格安ツアーで行くアジアの国の添乗」がキライなのだ。
 理由はカンタン。「格安」と言われるからには当然料金が安い。
安いからこそワンサカお客さんが参加する。
でも、「薄利多売」で経費はかけられないから添乗員は一人しか付かない。
よって、一人で50人も60人も、多い時には100人以上のお客さんの面倒を見なくてはならない。
それなのに、一人でたった10人のお客さんを連れて行ってる添乗員さんと給料は変わらない。
コレ、絶対に解せない。
 そして、「格安」が故に、街外れのボロいホテルに泊まらされ、怪しげな土産物屋に何軒も立ち寄り、
クソまずい中華料理を食べさせられるハメとなる。  
これだけだって格安ツアーの添乗をキライになる十分な理由だとは思うけど、
それに輪をかけてメーコの頭を悩ますのが、「格安」と分かっていながら参加して、
「思いっきり文句を言うお客さん」なのだぁぁぁぁぁ!!! 
 やれ「ホテルが悪い」だの、やれ「メシがまずい」だのと
あたかも旅行会社の手配内容が悪いように言ってくるお客さんが毎回必ずいるけれど、
そーゆーお客さんに対して、「だったらもっとカネ払え〜!!」って言いたいキモチを抑えて、
「スイマセンねぇ・・・」と謝らなくてはならないことが、メーコは一番キライなのだぁっっっ。 
 ジョーダンじゃないよ。 文句を言いたいのはメーコの方なんだからね〜っっっ!!

・・・と言うワケで、
今回の「格安香港ツアー」の内容を聞かされた瞬間から、メーコの気持ち暗かった。
往路は午前便、復路は午後便を利用しての3泊4日、到着日の夕食と全朝食、
それに翌日昼食1回を含む市内観光がついて「49,800円」のツアーに申し込んだお客さんは総勢116名。
そのうち第一班の61名・バス2台分をメーコ一人が受け持つというのである。 
そして、泊まりは「シティガーデンホテル」なる、香港島の東端にあるC級ホテル。
 もう、これだけで「針のムシロ」は確定されたようなものじゃい。
 あ〜あ、またツライ4日間を過ごすのかなぁ・・・。
 はぁ〜あ。 と、思いっきり「行きたくないモード」に入っていたメーコではあったが、
しかし、実際にフタを開けてみたら現実は違っていたのであ〜る! 
 確かに、「ホテルは今イチねぇ・・・」という声は何人かから聞こえた。
でも、「この値段だったら仕方ないわよねぇ」のフォローつきである。 
それ以外の文句は全く聞こえてこない。
それどころか、2度の食事はどちらも「美味しい、美味しい」とほめられ、
見学箇所に行くたびに「スゴイ!スゴイ!」の連発である。
 その上、「怪しげな土産物屋」ですら文句を言うどころか先をこぞって皆買い物をしまくっているのである。
 ・・・一体どーゆーコトだ?? 
予想とは余りにもかけ離れたお客さんの様子にメーコは驚きを隠せなかったが、その疑問はスグに晴れた。
61名のお客さんのうち、「香港初めて組」が約半数。
そして、その半数のうちのさらに2割強がナント!「海外旅行初めて組」だったのだ! 
う〜む。メーコ、思わず納得。 
香港が初めてで、しかも海外旅行そのものが初めてだったら、
いくらホテルが辺鄙なところにあろうとも、怪しげな土産物屋に何軒も連れ回されても
「これが香港なんだー」って思うだろう。
 車内で1箱900円で販売する「エビチリロール」が裏通りの露店で600円で売られていることだって、
だぁ〜れも気が付かないのだぁ。 
・・・うふふふふ。助かったぜぃ。「格安ツアー」でも、たまにはイイことあるんだねー。

な〜んて、ニンマリしていたメーコだったけれど、
「初めて組」が多いということはそれなりに案内しなくちゃならないことも多かったということに気づかされた。
「生水は飲めません」「チップの習慣があります」といった基本情報に加え、
こと香港では、「お金」に関する注意事項が多いのだ。
 香港では、日本と違って3つの銀行から紙幣が発行されているため、
同じ10ドル札でも柄はそれぞれ異なってい
る。そのことを案内しないでいると、「これはニセ札??」と何人からも聞かれてしまうのだ。 
中でも、「100ドル札」は要注意。
香港ドルの100ドル紙幣は3つの銀行とも赤色の紙幣なのだが、これが台湾の100ドル紙幣とソックリなのである。
 ちなみに、香港ドルの100ドルは日本円に換算すると約1800円。
でも、台湾ドル100ドルは、日本円に換算すると僅か450円分くらいにしかならないのだ。
 これだけでも大損。
 しかも、台湾ドルは日本では日本円に換金できないから、
もらってしまったら意地でも台湾に行かない限り「ただの紙クズ」になってしまうのだ! 
だから、メーコは毎回口をすっぱくしてお客さんに注意する。
 大きな土産物店などではほとんど間違いはないけれど、
露店や小さな商店などでは「日本人観光客」と見るとわざとこの台湾紙幣を混ぜてお釣りでよこす店があるから、
要注意なのだ。 
それでも、大抵のお客さんはそんなメーコの話を「聞いてるフリして聞いてない」から毎回必ずギセイ者が出る。
それでいて、「添乗員さんが教えてくれなかったから・・・」などと、
さもメーコが悪いかのように文句を言ってくるのだぁぁぁぁぁ!!!!!

ところが、「初めて組」の皆様は、メーコの話をちゃ〜んと聞いてくれた。 
カンドーである。
 こんなにスナオなお客さんばかりだったら、たとえ「格安ツアー」だっていくらでも添乗に出るさ。
 メーコは、幸せなキモチのまま4日間の行程を終え、愛すべき61人のお客さんとともに帰国の途へと向かった。
 そして、最後の最後で「事件」は起こったのである。
空港内の銀行で、日本円への再両替をしようとしていたメーコの前に付き返された1枚の紙幣。
 「???」と首をかしげながら目を落とした赤いその紙幣には、しっかりと「中華民国」と書かれていた・・・。
がぁぁぁぁ・・・っっっ!!!   
あれほどまでにお客さんに「気をつけて」と言った台湾の100ドル札ではないか!!! 
 あんびりーばぼー!! 
メーコは、「添乗員」だぞ?? 
 一体いつの間に、誰が混ぜたんだい?? 
 クソったれ香港人め。 ゆ、ゆ、許せ〜んっっっ!!

この瞬間、メーコが「香港そのもの」もキライになったことは言うまでもない。
・・・が、ハタから見れば、「格安ツアーに参加しておきながらホテルや食事内容に文句を言うお客さん」も、
「自分の不注意を認められずに文句だけ言うメーコ」も、大差はないことはもっと「言うまでもない」ことだろう・・・。 
・・・くっそ〜・・・。 

帰りの飛行機の中で、両替できなかった100台湾ドル札を握り締め、
格安ツアーに参加したお客さんにはもう二度と、
「ツアーの内容を確認してから参加して下さいね〜」などエラソーなことは言わないと、
ココロに誓ったメーコであった・・・・。   
マジ、悔しいぜぃ・・・。 
つづく 



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