ドイツ その2

苦手なドイツに、何人もの「ドイツ通」のお客さんが参加していることが判明して
すっかり貝になってしまったメーコではあるけれど
実は、それ以外にも「貝」になる原因があったのだ。
ヨーロッパの添乗では、基本的に観光箇所もしくは視察の場所以外「ガイドさん」というものが来ない。
 よって、移動をしている間は添乗員がガイドの役目も果たさなくてはならないのだ。
長いところになると、移動の時間は3時間を越える。
 その間ずっと黙っているワケにもいかないし、
決まって車窓から見える建物や景色を「あれ何?」
「これ何?」と聞いてくるお客さんがいるから、
メーコたち添乗員はそれぞれ独自の「バス旅ノート」なるアンチョコを作ってバス社内での案内をしているのだ。
 それでも、毎回同じ道を通るとは限らないから、基本的なことはそのノートに頼り、
後はバスの運転手に助けてもらいながら何とかごまかす。
 が、それも「英語を話せる」ドライバーが来た時のみ。
 スペインやイタリア、ドイツなんかだと母国語しか話せないドライバーがしょっちゅう来るから、
待ち合わせの時間を決めるだけでも一苦労なのだ。
 しかも、地元のドライバーが来てくれれば言葉が通じなくても何とかなるけれど、
「出稼ぎ」で地方から来ているドライバーなどに当たってしまったらもう、ジ・エンド。
 言葉は分からない、道も知らない、で、生きた心地がしないのだぁ! 
 故に、ヨーロッパの添乗の前には最悪の事態を想定してできる限りの下調べを進める。 「
移動の際にはどのルートを取るか」、「宿泊するホテルの周辺には何があるのか」等々、
様々な資料を基に万全の準備を進めるのである。

ところが、だ。 
「メーコ復活!編」でも書いたように、あの忌まわしきアメリカ同時多発テロから半年以上が過ぎ、
人々の記憶から事件の恐怖が薄れるとともに、メーコたち旅行業界の仕事は一気にバクハツ!してしまい、
テロ以降の数ヶ月が「今までにない」氷河期であったのと同じように、
5月に入ってからの忙しさもこれまた「今までに経験したことのない」ものとなってしまい、
5月の5日から今回の出発までの間にメーコが自分の布団で寝たのはわずかの3回。
自己最高記録の、1ヶ月半に4本の添乗をこなし、その間ずっと家に帰れなかった1997年の夏に次ぐ忙しさである。
 今回も、出発の前々日に関西から戻り、そのままビジネスホテルで1泊して翌日説明会に出席し、
夜の8時過ぎに自宅に戻って荷物を詰め替え、
深夜の1時に成田のホテルに到着して寝るか寝ないかのうちに翌朝7時にスタンバイをしなくてはならなかったメーコ。
 どこをどうやっても「下調べ」をする時間なんてありゃしない。
 とりあえず、前にドイツに行った時の資料だけはカバンに詰めて出発したけれど、
30過ぎたオバさんのメーコが、10代の時みたいに「平均睡眠時間3時間」でもつハズがない。
詰めた資料に触れることもなく、フランクフルトまでの11時間、大爆睡しちゃったね。

で、到着しちゃったフランクフルト。 現地時間は午後3時。
 泊まりはその「上げ膳据え膳」の場所にあるホテルらしいんだけど、メーコは知らない。
 しかも、今回は旅行代金を抑えるために夕食が全部フリーだったから、
毎回の夕食の場所を案内しなくてはならないのだぁ。
 いや〜ん、もう。
 とりあえず、到着した日は日本人のアシスタントが着いてくれてたから会うなり確認。
 挨拶も済まないうちに「ホテルの近くにレストランある??」って詰め掛けたメーコに、彼女はちょっとムッとしてたみたい。 
でも、こちとら死活問題だもんねー。 
ホテルに到着してチェックインを済ませ、ムッとしながらも教えてくれたレストランをお客さんに案内してメーコの業務終了。
 と、思いきや、いきなり団長さんの依頼によりメーコもレストランへ同行させられるハメとなった。
 先は見えている。 どーせまた、「添乗員さん、おススメの品を適当に注文して下さいよ」とか何とか言われるのだ。 
「えっっっ??」と難色を示しながらも文句は言えないから、その「ドイツ通」の3人を除いた残り15人全員を連れてレストランへ。
 まー、国際会議場にもなっているホテルの近くのレストランだし、英語は何とか通じるだろうから仕方ないっか。
ビールとソーセージでも食べさせて、さっさと部屋に帰ってアンチョコ作らなきゃ。

そう思ったメーコの目論みは、見事に打ち砕かれた。 
レストランの従業員、だぁ〜れも英語を話せない。 こんなことがあっていいのか?? 
意識が遠くなるのを感じながら、メーコはとりあえず知ってる単語が書いてあるメニューだけ注文した。
まずは飲み物。 ビールとリンゴ酒とジュースは分かる。 何とかクリアー。
 そして料理。 サラダとウインナーとニシン、それと仔牛のカツレツだけは知ってたから、それを3皿ずつ注文。
 出てきた料理はまずまずで、お客さんも喜んでるみたい。
 あ〜、良かった。 さっっ、早くホテルに帰らなきゃ。 
・・・って思ってたのに、「メーコさんも一緒に」とか何とか言われちゃって帰れなくなっちゃった。
 お客さんが飲みきれなかったリンゴ酒をしこたま飲み、へべれけになって部屋に戻ってきたメーコが
翌日のアンチョコを作れるワケがないよねー。
 お酒の勢いも手伝って、「ま、いっか〜」って言いながら爆睡しちゃった。
 ・・・でも、これが敗因だったんだよねー。

翌朝、迎えにきた運転手は、思いっきり「英語の話せない」人だった。
 そして、リンゴ酒の飲み過ぎで二日酔い状態のメーコは、もう何を聞かれても「貝」になる以外手立てがなかったのである・・・。 
 ゲロゲロ。

・・・やっぱり、ドイツは苦手だ・・・。
つづく



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