9・11回想録〜今だから言えるテロ裏話編〜



「こんなコトがあって本当にいいのだろうか??」と、
メーコはテロが起こって日本に帰れなくなったその日の朝、何度も何度も呟いた。 
そして、その6日後、誰もいなくなった搭乗口でメーコは同じセリフを再び何度も何度も呟いていた。
いくら、「メーコのことはどうでもいいから、とにかくお客さんたちを日本に帰してくれ〜!!」と
頼んだからって、本当にメーコだけ残すことはないだろが。 
そんなの「建前」に決まってるだろー。 
だから、メーコはアメリカ人が嫌いなんだよ。 
「日本はアメリカの唯一の同胞国」とかか何とか言うんだったら、
「本音と建前」くらい勉強しろ、っちゅーモンだ。 
そんなコトだからアメリカは世界中から嫌われるんだぞー! ・・・と、一人残され、
文句タラタラのメーコではあったが、ロスアンジェルスに足止めを喰らっている間の一週間に
メーコが何をしていたかを知る人がいれば、「そんなコトしてて本当にいいのかよ??」と、
口を揃えて言ったことは間違いないであろう・・・。

そう。 今だから言う。 
テロが起こったその日、ラスベガスからロスアンジェルスまで移動するバスを手配し、
「レストランもお店も全部閉まってるぞ」とのロスアンジェルス支店のマネージャーからの報告により、
当面の食料を水を補給するためにメーコはロス郊外の開いているスーパーに立ち寄った。 [
そしてそこで、クレジットカードを持っていなかったために僅かばかりの現金を持ち寄って
買い物をしていたお客さんたちをよそ目に、
誰よりも先にビールとワインを買い込んでカードで支払いを済ませ、その上会社の名札をチラつかせ、
残り物の巻き寿司までパクってきたのは、誰でもないこのメーコであった。 
しかも、山ほど買い込んだ荷物の中身がお客さんにバレ、
「皆さんで食べようかと思ったんでたぁ〜くさん買っちゃったんですよね〜」などと白々しいウソをつきながら、
モチロン全てを自分一人で平らげたのもこのメーコである・・・。

そして翌日、「せっかくロスにも来られたんだし、気晴らしに市内観光でもしましょう!」などと恩着せがましく言いながら、
観光箇所を見学する時間よりも自分の好きなブティックが入っているショッピングモールで
費やす時間をたぁ〜くさん取ったのもこのメーコだったし、そのまた次の日、
「支店に情報を仕入れに行ってきま〜す」などと言って、いかにも仕事で出かけるかのような素振りを見せながら、
同じくロスアンジェルスで足止めを喰らっていた同僚のY加のホテルに遊びに行き、
昼間っからワインやビールをしこたま飲んだくれていたのもこのメーコだった・・・。 
しかも、カネがないことを理由に全てY加に奢らせたという、
「とんでもない」の上に「超」が3万回くらいついてもおかしくないオマケつきで、である。

そしてさらに、
メーコのグループにいる「超VIP」のA村の村長が9月14日発の飛行機で帰れることが決まった前日、
9月13日の夜、メーコはロスアンジェルスの支店長を誘って飲みに行き、
どうやってホテルに帰ったのかも覚えていないほど前後不覚に酔っ払い、
翌朝村長の乗る飛行機の出発時間をまんまと間違えて予定よりも3時間も早く村長を叩き起こし、
「え?? メーちゃんは“10時にホテルを出ます”って言ったじゃんよー」と、
慌てふためく村長に無理矢理支度をさせて空港に向かい、
そのタクシーの中で自分の間違いに気づいて再びホテルまで舞い戻り、
「いや〜、村長。荷造りし直す時間ができて良かったですねー」などと、
明らかにムッっとしていた村長に向かって笑顔で話したのも、
「座敷わらし」でも「おんぶおばけ」でもないこのメーコだったし、
その日の午後、「村長が乗った飛行機に70席もの残席がある」ことを知らされてショックを受け、
近年まれに見る後悔をしながらも、「済んじゃったことを悔やんでも始まらないからさ、
景気づけに飲みにでも行くか??」と、誘ってくれた支店のスタッフの言葉に二つ返事で肯き、
これまた「お金なくって大変なんだよね・・・」攻撃を全面に出してまんまと奢らせたのもこのメーコであった・・・。

そう。 今だから言おう。
メーコは、ロスアンジェルスに足止めされていた6日間のうち、最初の夜を除く残りの5連夜、
毎晩他人のカネで飲みまくっておりました。
4泊6日のツアーが9泊・10泊と延び、着る物が間に合わないため毎日一生懸命部屋で
洗濯をしていたお客さんたちに、「本当に困っちゃいますよね〜」と自分も困っているフリをしながら、
メーコはちゃっかり、新しいスーツを2着と、Tシャツとブラウスを2枚ずつ買ってました。
そしてさらに、お客さん全員が帰国しメーコ一人が残された後、ボーゼンとしていたのもつかの間、
ホテルに帰る途中でセール中のデパートを見つけ、閉店間際まで遊んでいたのもこのメーコでした・・・。

いつになったら帰れることになるのか分からないメーコとお客さんの身を、
連絡もままならない状態の中必死に案じて日本で待っていてくれたS課長、M課長、本当〜にゴメンちゃい。
「メーコさんだけが頼りだから」と言って、メーコに全幅の信頼を置いて足止め期間を耐えてくれたお客様、
誠に申し訳ごじゃりません。 
でも、メーコは本当に頑張ってたんです。 
だから、少しくらいは息抜きしてもいいかな、って思ったんです。 
・・・例えそれが、全然「少し」じゃないにしても。

・・・などと言いながら、メーコは当初の帰国予定日から遅れること丸一週間、9月18日の夕方に日本に帰国した。
そして翌日、会社に行ったメーコを出迎えてくれたのは、
「支店長と飲みに行って翌朝寝坊したんだって??」「何か、毎日楽しく過ごしてたらしいじゃないの?」と、
高らかに笑う支店長とS課長であった・・・。

「本当に、こんなコトがあっていいのか??」
メーコは、ここでも再び、何度も何度も呟いた・・・。

誰だよ、チクったやつ・・・。

世の中には、時として誰にも想像できないことが起こるのであ〜る・・・。 まる。




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