おおべしみ
この作は徳若作を写した面です。 おおべしみは自負尊大で、
すべてのものを威圧しようとする強さと、 しかし内面にはもろさを持つ天狗です。
『善界』『鞍馬天狗』『車増』『大会』などに使用する。
こべしみ
この作は洞白作を写した面です。 地獄の鬼神の面で恐ろしい緊迫感がある面です。
『鵜飼』『野守』『鍾馗』『皇帝』などの後ジテに使用する。
べし‐み【 見・圧面】
能面の一。口角に力を入れて両唇を強く結んだ異相面。大 見は天狗に、小 見は人間に力を貸す鬼神などに用いる。そのほか黒 見・鬚 見など数種がある。べしめん。
大べし見
「べしみ」とは歯を見せないで唇を きつくかみ締めて力んだ様子を指しています。したがって、眼は
大きく見開いた形になります。 前に突き出た下顎は大きく、一文字に強く結んだ唇の両端が上に
持ち上がっています。 眼はつりあがった眉にそうような形に金具がはめこまれ、小鼻が
大きく、顔の造作のひとつひとつが大きく力強い印象を与えます。
彩色は淡い紅色で眉と鬚は黒で描かれ、皺や鼻の穴に濃い朱色が
ほどこされ、勢いを感じさせます。 鬼神系というよりは天狗のたぐいの面として使われています。
小べし見
この面も大ベし見を小ぶりにしただ けではありません。
大べし見と違い地獄の鬼神の面として使われています。
顔の表情は引き締まっていて、眼は小さく鋭さがあり、口の両端は
下がっていて、彩色も濃いめの朱色だということが力強さを示して
います。