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BS-@放送 ドラマ「あした吹く風」
放送日 2002年9月6日(金)20:00〜21:54 |
◆ CAST ◆ |
・猪熊鈴子(天海祐希):母 |
・浩の母(秋本奈緒美) |
・猪熊鉄幹(杉本哲太):父 |
・犬伏恵子(高橋ひとみ):女画廊主人 |
・猪熊あかね(田島有魅香) |
・笹本 茂(窪塚洋介) ※友情出演 |
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・笹本春子(江波杏子):茂の母 |
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セリフチェック:フラボ |
《TVオンエア−チェック》 |
あかねナレーション |
1969年7月21日、アポロ11号が月に着陸した。それから3日後、私の5年生の夏休みが始まった。 |
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『街の図書館 貸本 若草文庫』と書かれたその店に入るあかね |
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あかね:こんにちは。
(あかねは、店内の本棚を眺め歩く。高い棚にある本に手を延ばし、取りにくそう
にしていると、背後にすっと茂が現れ代わりに本を取る。)
茂 :はい。
もっと下に置かないとな。よいしょ。
(茂は、高い棚の本と、低い棚の本を入替える。本の配置を眺めながらブツブツ・・。
あかねの方を振り向き・・・)
茂 :あっ、ごめんごめん。つい熱中しちゃった。
(茂は、仕事机の前に腰掛け)借りますか?
(あかね、うなずく。)
茂 :初めてだよね?
(あかね、うなずく。)
茂 :おとうさんか、おかあさんのカードある?
(あかね、首を横に振る。)
茂 :じゃぁ、貸し出しカードを作ろう。(茂は、ノートを開け左手に鉛筆を持つ)
住所と名前を教えてくれる? 名前は?
あかね:猪熊あかね。
茂 :い・の・く・ま... あかねってくさかんむりに西のあかねちゃん?
(あかねは、左利きの茂が鉛筆を持った手を見ている。)
茂 :めずらしい?
(あかね、うなずく。)
茂 :でも左利きって結構不便なんだよ。くさかんむりに西のあかねちゃん?
あかね:ひらがなで。
茂 :住所は?
あかね:桜町南二丁目16番5号。
茂 :近くだね。
はいっ。じゃあ30円になります。1週間たったら返しに来てね。
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数日すぎ、あかねが本を返しに店に行く |
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あかね:こんにちは。
茂は、仕事机にうっぷして眠っている。茂の名前を知りたいと思っていたあかね
は、置いてあった茂宛の封書を手に取る。
その気配で目を覚ましそうになった茂に驚き、あかねはとっさにその封筒を隠し
持ちかえってしまう・・・。
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あかねの部屋 |
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自分の部屋で封筒を眺めるあかね。表には‘笹本 茂様’。差し出し人は‘東京大学’となっている。あかねは、ノートに‘笹本 あかね’‘笹本 茂’と並べて書き、照れくさそうに笑う。 |
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貸本屋へ行く道端 |
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あかねは封筒を返そうと店の戸口に挟んで帰る途中、茂とばったり会い声を掛けられる。
茂 :またおいで。 |
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数日後、閉まっている貸し本屋の前 |
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そこへ茂が帰ってくる。
茂 :ずっと待っててくれたの?ごめんね。お客さん全然来ないからさぁ。
本が好きなんだね。この店開けたかいがあったよ。はい。
ここねぇ、昔親戚のおじさんがやってたんだけどぉ、ずーっと閉めててね。
夏休みの間だけ僕がやってみるかぁーって。
あかね:夏休みだけなの?
茂 :うん。大学生だからね。でも大学が休みの時は開けて見ようかな。
お得意さんもできたし。・・・じゃあ3冊で90円になります。
はい。10円のお返しです。
あかね:あのぉ。
(そこへ雷の音。そして雨音。)
茂 :あれ?降ってきちゃったねぇ。ちょっと待ってて。
(茂、奥に引っ込む。・・・しばらくして出てきた茂の手には2本の棒アイス。)
茂 :はい。
(一つをあかねに手渡す。一緒にアイスクリームを食べながら・・・・)
茂 :通り雨だね。ちょっと見せて。
(そういってあかねの借りた本‘アンの青春’を手に取り読み始める。)
茂 :「刈り入れは終わり、夏は過ぎ去った」とアンは刈り取られた畑を夢見るように
眺めながら呟いた・・・・・・・・(略)・・・。」
(茂は本の一節を、とても静かな声で朗読する。)
茂 :うん。(うなずく)・・・(そしてその本をあかねに返す)はい。
(茂は、あかねに本を返す。) |
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あかねが本を返しに再び貸し本屋へ |
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あかねは、手作りの栞を茂に渡そうと店に行くが、店の前には
「勝手ながら 十五日まで休業します 笹本」の張り紙があり、しょんぼりする。
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その後 |
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自分の部屋のカレンダーの15日に丸を付け待つあかね・・・。
そんなあかねに浩は、猫を拾って近くの公園で飼っているという秘密を教える。サスケと名付けたその猫の世話にあかねも加わり、数日が過ぎたある日。サスケの事が浩の父に知れ、「飼い主が見つからなければ、明日保健所に連れて行く」と言い渡される。困ったあかねと浩は、町内で佐助を買ってくれるうちを探すが全て断られてしまう。そして、サスケを飼ってくれるよう、貸し本屋の茂に頼みに行くことに。
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貸し本屋 |
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あかね:(浩に)飼ってくれるって。
茂 :名前なんていうの?
浩 :サスケ
茂 :(サスケに)よろしくな。
会いたくなったらいつでもおいで。
あかねちゃんのそんな嬉しそうな顔初めて見た。仲いいんだね。
あかね:ちがうよ。仲良くなんかないよ。
浩 :俺だって、おまえなんか・・。 |
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貸し本屋 |
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サスケに会いに店にやって来たあかねと浩。店の戸は締まって開かない。
中からいつになく激しい茂の声が聞こえてくる。※画面上は声だけで映りません。
茂 :冗談じゃないっ!
何が退却攻勢ですか!それじゃあまるで、軍徒連中の日和見主義じゃないです
か!俺達は絶対に諦めないんでしょっ!炎を世界中に飛び火させるんでしょっ!
その為に今必要なのは徹底した武力だって、そう言ったのは杉原さんあなたじゃ
ないですか!
男1 :笹本!
男2 :情勢を見極めた上で最終決定を下す。それまでは待てと言ってるだけだ!
※実際このシーンは、はっきり音が入っていないので良く聞き取れません。
男二人が足早に店から出て行く。
中には、思いつめたような表情で座る茂が・・・
茂は、あかね達に気付き、哀しげな顔で笑いかける。
―――シーン変わって―――
あかねは、茂を想って作った栞を渡す。
茂は、あかねから受け取った袋を開けながら・・・。
茂 :なんだろう。
栞だぁ。これ全部あかねちゃんが作ったの?
へぇー、きれいだね。
あかね:うん。
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その後 |
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場面は変わり・・・
あかねの家では、鉄斎(あかねの父:杉本哲太)と女画廊主人(高橋ひとみ)の浮気がバレ、怒った鈴子(あかねの母:天海祐希))は子供を連れて秋田に帰ると言う。しかし、あかねは茂への思いから「ここにおとうさんと残る!」と、断固として言う。
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貸し本屋 |
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あかね:おとななんて勝手だよ。自分の事ばっかり。子供のことなんかなんにも考えて
ない。
茂 :そうだね。ほんとはさぁ、大人なんていないのかもしれないよ。
みんな子供のまま大きくなって、手さぐりで、不完全なまま生きてる。
あかね:茂さんも?
茂 :そお。俺も。
あかねちゃんはさぁ。100人を救う為に1人を殺してもいいと思う?
・・・ ※あかねにそんな言葉の意味など分からない。
出口なんてほんとにあるのかなぁ。
(茂、サスケを抱き上げて・・・)
茂 :ほんとはさぁ、ほんとおはぁ、だあれもいない宇宙の彼方まで行って、サスケと
あかねちゃんと、こうやって和やかに暮らせたら幸せなんだろうね。
あっ、あと浩くんと。(笑)
あかね:浩なんかいなくていい。絶対いらない。
――――――――――――――――――――
日が変わって再び店にやってきたあかね。
あかね:こんにちは。
(店内には、茂と浩、それにゆきを含む3人の女の子がサスケを囲んで和やか
に遊んでいる。)
茂 :こんにちは。
(あかねは、その光景を見て店を飛び出す。
浩はそれを追いかけるが、‘茂の事は誰にも言わない’という約束を破った事をあ
かねになじられ、絶交される。あかねは、茂を他の女の子に知られたくなかった。)
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その後 |
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あかねの母は、離婚だと騒ぎ実家へ帰ったことを装い、実は隣の浩の家へ間借りしていた。そのころ、あかねと鉄斎(父)は二人暮しを始める・・・。稼ぎもないのである夜、神社の縁日で似顔絵の露天を出す鉄斎とあかね。そこへ、茂がやってくる。手には旅行用のトランクを提げている。・・・
茂 :やぁ。一枚描いて頂けますか?
鉄斎:ああいいですよ。(あかねに)知り合いか?(少し驚く)
茂 :友達なんです。
鉄斎:へぇー。あかねも顔広いんだな。
茂 :あかねちゃん。僕ね、田舎に戻る事になったんだ。もう東京へも戻らないかもし
れない。
サスケ連れていってもいいかな?
(あかねは、うなずく。
茂は、胸のポケットから紙を取り出し、あかねに差し出し・・・)
茂 :これ、僕の田舎の住所だから。近くまでくるような事があったら、サスケにでも会
ってあげて。
(茂は、以前店に来ていた二人の男が近くに立っているのを見つけ、彼らに促され
るように慌てて立ちあがる。似顔絵はまだ描き上がっていなかった。)
茂 :(鉄斎に)すいません。行きます。すいません。
鉄斎:途中なんだけど。
茂 :じゃあね。
(立ちあがって無言で見送るあかね。)
鉄斎:なんだよぉ。もうちょっとだったのに。
(描いた茂の似顔絵を眺めながら) なあんか恐い目してんなぁ。
あかね:私届けてくる。
(似顔絵を持って追いかけるが、茂達は車で走り去る。)
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その後 |
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翌朝のテレビニュースが流れるあかねの家・・・。
TVニュース:「昨夜遅く、派出所の警官二名が、鉄パイプ状の凶器をもった三人の男達
によって襲撃された事件で、犯人の一人に頭部を強打され重傷を負った巡
査小杉辰夫さんの意識は、一夜明けた現在も快復の見込みがなく・・・」
※ドラマ中、これが茂がやった事件なのかどうかということははっきり言われていません。
また、あかねたちも鉄斎たちも気が付いてはいません。 |
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そして・・・ |
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浩は、元気の無いあかねを見て、「山梨へ茂を追いかけて行こう」と誘う。
疲れたとわがままを言うあかねを励まし、いつも気付くことがなかった頼もしい浩。家出同然に山梨に向かった二人は、やっとのおもいで茂の家に辿り着くのだが・・・。
そこには刑事と警官が茂を尋ねて来ていて、何かただならぬ雰囲気だった。
茂の母:ごめんね。茂はいないんだよ。
あかね:どこに行ったら会えますか?
茂の母:そうね、遠い所に行ったらしいから・・・。もう帰って来ないかもしれないよ。
(あかねと浩は、茂の母からスイカをご馳走になり、サスケとの再会も果たす。)
茂の母:茂、東京でどうだった?
あかね:とても優しい人でした。
茂の母:・・・食べてよ。
(そう言い残して引っ込んだ茂の母の嗚咽が、奥の部屋から聞こえてくる・・・。)
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その後 |
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夜になって家に帰り着いた二人。その二人の頭上には、母の雷が・・・。
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明くる日・・・
河川敷で自転車の練習をするあかねと、それに付き合う浩。
あかね:ねぇ、浩。
浩 :うん?
あかね:大人になったら、宇宙飛行士になって、私に月のかけら持ってきて。
そしたら私、浩のお嫁さんになってあげる。
浩 :ほんとに?
あかね:うん。
浩 :ほんとに、ほんとか?
あかね:うん!
青い空に、大きな‘真昼の月’が、ポッカリ浮かんでいた・・・・。
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<セリフオンエアーチェックを終えて>
こうやって、ひとつひとつの台詞を追っていくと・・・。
(私が勝手に思い込んでいる)洋介氏の今の気持ちと、印象が重なりあう部分があって、シミジ
ミとしてしまいます。やっぱり、彼はいいですよ。あっしもサスケになりてぇーーっ!(文:フラボ)
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