祝・いよいよ8月10日ビデオ・DVD発売です! |
公式HP:現在は放送終了しているためアーカイブとなっています。こちら
NHK/Dモードドラマ放送日00’12.5・9・12〜16
NHK総合テレビ放送日01’1.9〜3.13
原作: 梅田 みか
共同製作:NHKエンタープライズ21/共同テレビジョン | |
製作協力:KBS(韓国放送公社) | |
制作統括:小松 隆一(NHKエンタープライズ21) 一井 久司(NHK) |
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プロデューサー:中山 和記(共同テレビジョン) | |
演出:星田 良子(共同テレビジョン) | |
■キャスト■ | |
三枝 歩(窪塚洋介) ヤン・ソアヤ(ユン・ハンソ)※別名:玲花 |
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三枝 努(加藤雅也) | 三枝 陽子(佐藤友美) |
野村美和(国分佐智子) | 李 正美(小田エリカ) |
本田昭典(柏原収史) | 鈴木潤也(伊崎充則) |
橘由紀恵(赤坂七恵) |
放送当時、本当に“せつない”という思いで胸が苦しくなってしまうほど、
歩を、皆さんも見つめていらっしゃったことでしょう。
放送終了後も、広い年代の多くの方々の感動の嵐がおさまらなかったこと・・・
今も忘れることが出来ません。
そんな思いが忘れられず、NHKさんへ何度再放送
そしてビデオ化のお願いをしたことか・・・
そしてついにこの夏、ビデオ化となりました。
どうぞ、あの感激をもう一度味わって見ませんか。
ぜひ、この“魂”に触れるステキな作品を・・・。
第5話〜最終回(10回)までを載せております。
第1話〜第4話までは、おってUPしてゆきますね。
どうぞご了承下さい。
できれば、このステキな作品のビデオ・DVDをご購入くださいね。
レンタルも多分開始されるかと思います。・・・
ゆまより、心をこめて・・・。
※第4話はビデオが手元にないため、ビデオ発売以降になりますごめんなさいですー。
このページのセリフは、すべてオンエアーされたものを耳コピしています。
第 5話 | 「本当の君を知りたい」 |
第 6話 | 「出あいは過去にしたくない」 |
第 7話 | 「君はひとりじゃない、僕がいる」 |
第 8話 | 「またあうために、さようなら」 |
第 9話 | 「最高の時をください」 |
第10話 | 「あなたに会えてよかった」 |
歩(語り) | 再び訪れたこの国は、まるで別の顔で僕を迎えた。・・・ この国で僕は何を探し、何を見つけるのだろうか。 |
・・・歩は、韓国へやってきていた。ここは韓国、レイカの家。レイカの部屋。二人の会話・・・。 |
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レイカ | 私、私、歌手なの。 |
歩 | 歌手? |
レイカ | 韓国ではもう、7年になる。 |
歩 | えっ?じゃ、日本に来たのも・・・ |
レイカ | 今度、日本でデビューするために。それでレコーディングに行ったの。 |
歩 | (CDを見せられる)・・・へぇ・・・どうして?。どうして言ってくれなかったの?今まで。 |
レイカ | うれしかったの。あなたが二人で行こうって行ってくれた時、あなただけは、私をただの一人の人間として、見てくれたから・・・。 |
歩 | 俺は、じゃ、君のこと何にも知らなかったんだ。 |
レイカ | だから、あなたと来たかった。あなたには、本当の私を知ってほしかったから。 ・・・今夜、ディナーショウがあるの。歩に見てほしい。あなたのために歌うから・・・。 |
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・・・そして、ディナーショー・・・。ショーが終わって、ホテルへ帰ってきた歩。・そこへショウを終えたレイカが入ってくる。歩のただならない様子。手にはパスポートを握り締めている歩を見て、思わずレイカがそのパスポートを奪い取る・・・。 |
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歩 | もうここにはいられないよ。 |
レイカ | 私が歌手だってこと、黙ってたから?私が歌手だったら、もう、いっしょにいられないってことなの? |
歩 | もっと早く・・・君のことちゃんと知りたかった。それだけじゃないけど・・・ |
レイカ | どうして?私は私よ?何も変わらない。あなたへの気持ちだって。 |
歩 | 俺だって!君のことすきだって気持ち、変わったわけじゃないよ、ただ、・・・今はよくわからないんだ。とても混乱してる・・・。もう少し一人で考えたい。 |
レイカ | 二人で!いっしょに考えれば・・・ |
歩 | わかってほしい! |
レイカ | わからない! |
歩 | わかってほしい! |
レイカ | わからない、歩! |
歩 | 君はヤン・ソアヤなんだ! |
・・・パスポートをレイカから取り戻し・・・ |
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レイカ | ・・・うそだったの?いっしょに行こうって。二人でいっしょに行こうって言ってくれたのは、うそだったの? |
歩 | 心から、そう思った。だけど・・・今の俺には、言えないから・・・。 |
日本へ帰ってきて、母のマンションへ。 |
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歩 | 好きな人とずっといっしょにいられるのが、一番幸せだよ。 |
母 | ・・・歩?・・・強くなりなさい。強くならなければ、人を愛することはできないわ。 |
歩 | 母さん。 |
ピアノを弾きなから・・・・ |
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歩(語り)
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もっと、もっと、君に近づきたいと思っていた。 けれど今、僕は、君から遠ざかろうとしている。 大きすぎる荷物を、胸の中に抱えて・・・。 |
歩が手がけたBGMの流れる画廊・・・・。 |
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歩(語り) | 僕が作った曲も、話した言葉も、好きだった人も、みんな過去に向って流れていく。・・・でも僕は、君を過去にしたくない。 |
歩の父と、レイカの会話。 |
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父 | 君にとって歌うことは、生きていくことと同じだ。君は何故生まれてきたと思う?歌うためだ。 |
レイカ | 歌を歌うため・・・ |
父 | 本当の君は何がやりたいんだ。 |
レイカ | 私は、自分の歌が歌いたい・・・ヤン・ソアヤの歌でなく、本物の自分の歌を。 |
父 | じゃ、自分の歌を歌いなさい。 |
レイカ | はい。 |
歩が韓国へ行っていた間に、李さんの送別会があった。 それをすっぽかしてしまったこともあって、歩は李さんのアパートへ。そして歩きながら・・・。 |
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歩 | 話し、ちょっとできる?今。韓国に行ってきたんだよね。 |
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李 | 韓国に?こないだはなしていた女の人と関係あるんでしょ。 |
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歩 | 彼女が帰るときにいっしょに。 |
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李 | それで? |
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歩 | ヤン・ソアヤって歌手知ってる? |
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李 | もちろんしってるわよ。韓国では知らない人なんかいないわ。 ・・・もしかして歩むが韓国で出会った人って・・・ヤン・ソアヤなの? |
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歩 | しらなかったんだ。彼女が歌手だってことも・・・ヤン・ソアヤだってことも。 韓国に、一緒に行って、はじめて知ったんだよね。 |
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李 | それじゃ・・・彼女は日本にいる間中、あなたをだましてたってこと? |
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歩 | えっ?だましてた? |
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李 | だってそうじゃない。有名人の気まぐれで、身元を隠したままあなたと付合って、ふりまわして、傷つけたのよヤン・ソアヤは。 |
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歩 | ちがう。 ・・・彼女がそんなに有名な歌手だってわかったときは、もちろんショックだったけどね。なんで、先に言ってくれなかったんだろうって・・・裏切られたような気持ちがした。 でも、もうそんなことはどうでもよくて。そういうものは問題じゃなくて、・・・自分が、彼女の現実を受け止められなかったってこと。 |
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李 | 歩・・・ |
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歩 | 自分の中で整理がつかなくて、結局俺は、逃げ出すことしかできなかったから。 |
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李 | ちょっと待って。 もちろん、私は、あなたたち二人の間にどんなすばらしいひとときがあったのかはわからない。でもね、今は実力派の歌手を気取っているかもしれないけど、彼女は所詮周りに作り上げられたアイドル上がりの歌手よ。 自分がほしいものは何でも手に入れる。それがドレスだって、バックだって、宝石でも・・・そしてあなたでも。 同じ女として、私は彼女を許せない。 |
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歩 | いや、俺は、ヤン・ソアヤのこと、何にも知らないから。もしかしたら、君の言うとおりなのかもしれないけど。だけど、俺が、韓国であった彼女は、そうじゃなかったかな・・・・。 彼女は、自分のほしいものなんて、何一つ手に入れてなかったよ。・・・そういう人だった。 |
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李 | 歩・・・ |
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回想シーン | レイカ | 「何も聞かないで、私のこと。知らないほうがいい・・・」 | |
「自分のやりたいことや、夢に向って歩いてゆくの。どこに向かっているか・・・見えない。」 | |||
「いつかは終わるのかしら。どこかにおわりがあるんでしょ?」 | |||
「私、あなたと同じ月を見ていたい・・・」 |
歩(語り) | 俺は、君に何をしてあげられるの?・・・君は、誰なの?・・・・・・ |
ここは病院のロビー。昨日、別れた美和が、やりなおさないかといってきた。 でも、歩は・・・・。そして美和は、くるまで事故を起こしてしまい病院へ。 歩のアパートの住所が書いてある紙切れを持っていたことから、 歩に連絡が入ったのだ。歩の母もかけつけた。 |
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母 | 歩?あなたは大丈夫? |
歩 | 昼間さ、美和と会ったんだよね。あいつ、やりなおさない?っていってた。 |
母 | ねぇ、歩?あなた自分にも責任があるんじゃないかって思ってない? 考えすぎちゃだめ。生きているといろんなことがあるわ。幸せなことも、不幸なことも。でもそれは誰のせいでもない。人のせいでもないし、自分のせいでもない。・・なんか、避けられない大きな波みたいなものなのよ。・・・ あなたが今考えなくちゃならないのは、もう起こってしまったことじゃなくて、これからどうやって生きていくかってこと。 美和ちゃんにとって、あなたが支えてあげられる部分が、きっとあるんじゃないかと思うわ。(ポンと背中をたたく) |
実家へ、美和から頼まれたレコードをとりに行く。そこでの父との会話。 |
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歩 | 自分が何をしたいのかわからないんだけど。 |
父 | じゃ今の自分に何ができるんだ。 今の自分にできる最大限のことをやって生きてみろ。 全てのことは、そこからはじまるんだ。 |
歩(語り) | 今の俺に、できること・・・・。 |
バーで、ピアノを弾きながら・・・・ |
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歩(語り) | 僕の中に、確かなものなど何もなかった。・・・ ただ、君への思いだけが、 過去と未来をこえて、浮遊し始めていた。 |
歩 | (父に向って)きのう・・・って言うかさっきまでだけど、ピアノを弾いてて思ったんだ。 今は自分が出来ることを一つ一つやってみようって決めたい。 |
歩(語り) | 人並みの中で、気が付くと僕は、この国にいるはずのない君を探している。 けれど、今の僕には、自分の姿を見つけることさえできない。 |
母 | 女同士もいいけど、男にしか力になれないってこともあるから。 |
美和からの電話、歩は病院へ向った。「今から行くから」と・・・・ |
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美和 | ごめん、遅くに。包帯とれたの・・・。 |
歩 | よかった。 |
美和 | やめてよ!よかったなんて・・・。 こんな顔で外に出るなら、一生病院にいたほうがまし。 |
歩 | そんなことない。 |
美和 | どうして? |
歩 | そんなことない。 |
美和 | どうして?どうしてよ!・・・答えられないでしょ? 皆、こんな顔なら生きてたってしょうがないと思ってるのよ。 |
歩 | そんなことないって・・・。 |
人は誰でも、一生懸命生きてかなきゃいけない。 何があっても、どんなに辛いことがあっても、・・・生きていかなきゃいけない。 美和は今、世界中で一番不幸だと思っているかもしれないけど、 でも絶対、絶対、そんなことないから。 だって美和は、一人じゃないだろ? 世界中のどこかで、一人でも、自分のことを思ってくれる人がいれば、 人は生きていけるんだよ。 何が起こっても、乗り越えていけるんだよ。 美和は、本当にたくさんの人に愛されてるから。 だから・・・大丈夫なんだよ? それでももし、世界中で一人ぼっちだなんて思うと気があったら、 俺がいるから。 |
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美和 | 歩 |
歩 | いつでも、どこにいても、ずーっと美和の見方だから。・・・ |
そんな折、歩の家で、日韓有効プロジェクトの歓迎パーティーが開かれた。 そこであの、レイカを・・・・。 |
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歩(語り) | 目の前の美しく微笑む君が、 僕には、誰よりも遠くに見えた。 一番近くて、一番遠い・・・。 君の国のように。 |
歩(語り) あのころから僕たちは、いくらか前に進んだかもしれない。
僕は、確かに強くなったかもしれない。
けれどレイカ?
君への愛の前には、あまりに無力な、僕がたたずんでいた。
美和への病院見まい。・・・美和をライブへ誘う。
歩 俺、歌うのまた。
美和 なに?作曲に飽きて、また歌いたくなったの?
歩 いや、そういうわけじゃないんだけど。
俺も、前の自分とは違うからさ。あいつらと練習してて思ったんだよね。
みんな、前の自分になんてもどれないんだって。
もどりたくても、もどりたくなくても・・・・。
車から、歩の父とレイカが・・・・
父 (歩に向って)会わせたい人がいるんだ。今、ちょうどいっしょなんだ。
(レイカが車からおりで出てくる。)
彼女だ。
レイカ (歩・・・・)
父 紹介するよ、息子の歩だ。
レイカ 息子?
父 で、歌手のヤン・ソアヤさんだ。
歩 はじめまして。
レイカ ・・・・!
ホテルのラウンジで、父と歩とレイカが雑談をしているところに、父の携帯が鳴り席をはずす。
レイカ 会いたかったの、ずっと。でも、会えるなんて、思ってなかった。・・・
さっき、どうして言わなかったの?私を知ってるって。
歩 君の仕事の邪魔に鳴ると思ったから。
レイカ どうして?こんなステキな偶然なのに。
歩 ステキな偶然?
レイカ そうでしょ?
私が、本当にやりたいことや、夢をわかってくれる人に、はじめて出合った。
それが、あなたのお父さんだなんて。
歩 知ってたんだ、君が父と仕事をしてること。
パーティーで君を見たから。
レイカ じゃ、どうして?
歩 逃げたわけじゃない。
韓国で、俺は君から逃げることしかできなくて、そんな自分が許せなくて。
・・・だから誓ったんだ。
もう2度と君から逃げたりはしない、君のどんな状況も受け止められる自分になるって。
だから前に進まなくちゃいけない。今の自分に出来ること、ひとつひとつやって。
今作曲の仕事してるんだけど、もちろん思うようにいかなくて、少し進んでまた振り出しにもどる。
そんな時に、君の前に出ていくわけにいかなかったから。
レイカ お父さんと歩は、親子でしょ?
何でも話し合って、力を合わせていくのが当たり前でしょ?
歩 !韓国のことは、よくわからないけど、日本では、どんなに好きなことがしたくても、どんなに好きな人と一緒にいたくても、一人の社会人としてちゃんと見とめられない限り、許されない。
そういうことがあるんだよ。
それが正しいとか正しくないとか、そうくことじゃなくて、ただ、あるんだ。
・・・俺は、君と一緒にいる資格がない。
レイカ わからない、わからない。
歩 レイカ、わかってほしい。
今の俺は、君にナニもしてあげられない。
父が君にしてあげられることを、俺は何一つしてあげられない。
レイカ 歩・・・。
タクシーが通りすぎてゆく・・・。二人は歩きつづける。
レイカ 私は、あなたに悪いことをしてしまった。
ごめんなさい。ずっと、謝りたかった。私は、歌を選ぶしかなかった。
でも、あなたのことを思い出にすることなんて、できなかった。
歩 レイカ
レイカ 神様が、私達に、時間をくれたの。ステキな時間を。
今夜だけ。一晩だけの・・・。
歩 神様がくれた時間・・・・。
二人は、遊園地へ・・・・。一方そのころ、歩の父は、レイカを探していた。
手招きする歩・・・。
ガラス越しにみつめあう・・・・。そしてガラス越しに、手をあわせる。
歩の唇が語る・・・。
“きみのこと あいしてる”
“きみのこと・・・あいしてる”
ガラス越しの、・・・キス・・・。
そしてガラスの向こうのレイカが倒れる・・・。
歩 レイカ、・・・どうしたの・・・レイカ?!
レイカ ・・・ごめんなさい。
歩 病院行こう(慌てる)
レイカ このまま。もう少し、傍にいて。
歩 傍にいてって、でも。
レイカ 大丈夫・・・少し疲れただけ。
歩 レイカ!レイカ!
歩の部屋。
ベットで休むレイカ。物音で目がさめる。
歩 ごめん、起こした?もう少し眠って?ちゃんと朝になる前に送ってくから。
レイカ ・・・夢を見たの。これを(ブレスレット)届けてくれた時の、ゆめ。・・・
父が、よく言ってたの。大切なものには、きっと、また会えるって。
・・・私はうれしくって、あなたを追いかけるけど、あなたは、どこにもいないの。
きえて・・・しまうの・・・。
歩 大丈夫。俺はここにいるから。
朝、歩はホテルまで送る。そして、ホテルの前で、
レイカ ありがとう。
さよならをいわなきゃ。
歩 アウヴィーダーゼェン・・・・これはさよならじゃなくて、再開を待つって、二人のための言葉。
レイカ アンニョーハセヨ、さよなら、歩。・・・
歩 !
ホテルのバーで、レイカと父・努が、バラードにあわせてチークを踊っている。・・・
レイカ 私はチャーミング?
努(歩・父) ああ。
レイカ 歌手のヤン・ソアヤとして?
努 ああ、その部分もある。ただ、一人の人間として魅力を感じなければ、私は仕事をしようとは思わない。
どうしてそんなことを聞く?
レイカ 忘れることが、できない人がいる。
私が、日本に来た時、ささえになってくれた人。・・・
その人といると、私は、心から、安心できる。
努 今でも、その人のことが好きなのか。
レイカ 好き。・・・・思い出。
努 思い出。
レイカ 私にとって、1日だけの、東京の、休日・・・。
歩の部屋・・・。月を見上げながら・・・。
歩 大切なものには、きっと、また会える。
きっと、また会えるんだろ?
いつものバーでピアノを弾く歩。
歩(語り) 人は、愛のために、生きるのだろうか。
それとも、自らの生き方を貫くために、生きるのだろうか。
その答えを知るために、僕はこの、旋律の森に迷い込んでいく・・・。
第9章
「最高の時をください」
バーでピアノを弾きながら・・・・・・
歩(語り) 僕は、僕の中のぬかるみにとらわれていた。
白い鍵盤は冷たく、僕は、孤独だった。
孤独と、自由の間には、何があるのだろう・・・。
*********
歩 好きな人と、夢を一緒にかなえる。
*********
父(努) 先天性心臓弁膜症!!
*********
久しぶりに歩は、母の家でいっしょに食事をしている。
歩 彼女なんだ。俺が好きになった人って。
母 彼女って・・・ヤン・ソアヤさん?
歩 うん・・・
母 お父さんは知ってるの? そのこと。
歩 いや、知らないと思うよ。
けど、もう気づいてるかな。
母 そう。・・・あなたたちはもう親子を超えて、男同士なのね。なんだか、うらやましいような気がするわ〜。
話して?お父さんには秘密にするから。
歩 ん・・・。
生まれてはじめてだったんだよ。
あんなに誰かを大切だって思ったの。
彼女のためなら、どんなことでも出来るような気がした。
母 歩?・・・
ステキな恋をしてるのね。・・・
歩 でも、もう終わっちゃったかな。
母 お父さんのせい?
歩 (首を横に振る)
彼女は、今、お父さんのプロジェクトにかけてる。
でも、今の俺は、彼女になにもしてあげられない。
母 今の俺はって・・・
じゃ、いつの“俺”なら、彼女に何かしてあげられるの?
歩はいつだって 歩だわ。
今だって、いつだって。
時間て、永遠に続いているように見えて、
ほんとは、一瞬一瞬にしか見えないものの方がずっと多いわ。
彼女は私にいったの。
好きな人とは、永遠に一緒にいたいって。
人を愛しつづけていくって、すごく勇気が要ることよね。
その勇気を、彼女は持っている人なんじゃないかと思うわ。
レストランで、父(努)とレイカ・・・食事のシーン。
努 私は、君のために、何をすればいい。
レイカ 最高の時を 下さい。
努 私の全てをかけて
レイカ はい。
さっきの母の家での食事シーンの続き。
母 あなたの生き方には、いつもお父さんの存在があった。・・・早くお父さんの大きな陰から抜け出して、あなたが自由に生きられる時がくればいいと、そう思ってた。
歩 あなたにとっては、今がその時なのかもしれないわ。
あなたも本当に、お父さんと対等に向き合う勇気を持つこと。・・・
その時はじめて、彼女ともきちんと向き合える・・・。
そうじゃない?
大丈夫よ、あなたなら。
友人の結婚式。
そこで美和は、今までの自分を振り返り、せつなくて泣いてしまう。
歩 美和は、つよいんだよ?すごく。・・・
(泣き崩れる美和・・・)
バーでピアノを弾く・・・
歩(語り) 涙を流せる分だけ、人は強く生きてゆくのだろうか。
君の中に流れる強さも、涙の川で出来ているのだろうか。
僕の思いは、一筋の旋律となって、とめどない涙のように溢れていく・・・・。
オーディション結果発表の日・・・。
最終選考にまで残る歩・・・
でも運命は時に冷たく・・・・歩は最終選考に落ちてしまう。
歩の、心がひきちぎれそうな、叫び・・・・・。
歩(語り) 君への道は、永遠に閉ざされた。
僕の中で、何かが終わった。
けれど、僕はまた、歩き出す。
大きすぎる喪失の果てに広がる、
新たな未来を見つめて・・・・。
第10話
「あなたに会えてよかった」
END
バーでピアノを弾く歩・・・・
歩(語り) 僕は、君を忘れようとしているのだろうか。
君を忘れられない僕を、受け入れようとしているのだろうか。
姿を変えても、輝きつづける月のように・・・。
僕の中の君は、永遠に消えない・・・。
レイカ、レコーディングスタジオ。
レイカ なぜか、何か心惹かれるのは・・・こちらの曲なんです。
どうしてなのか、自分でもわからないんです。
努(歩・父) 君がこの曲に惹かれるのは・・・分かるような気がする。
歩の部屋で・・・。
美和 あたし聞きたいな・・・歩が、好きな人のために作った曲・・・。
悲しい恋だったの?それとも、幸せな恋?
歩 多分、両方じゃないかな・・・。
母とレイカが、仲良く食事をしている。
母 私思うの。
人が生きていくために大切なことは、たくさんあるけれど、一番大切なのは、人を愛する心。愛は、何よりも強いわ。
レイカ 私も愛する気持ちを、大切にして、生きてみたかった。
でも、私は・・・。
母 生きてみたかった・・・なんて・・・。
これから、生きればいいじゃないの。
美和が企画したバーでのコンサート。「君のために」をラストに弾く歩・・・。
そこへ、歩の母に連れられレイカがそっと入ってくる。
レイカ !これは・・・。
・・・これが、歩の曲・・・。
母 歩のところへ行ってあげて?
レイカ 歩は、こんなすばらしい曲を作ってくれた・・・。
私のために・・・。私も、歩のために歌いたい。
今、自分のやるべきことを、やらなければ・・・。
歩には・・・・会えない・・・・会えない・・・。
コンサートを抜け出してしまうレイカ、それを歩の母が追った。
レイカが、倒れてしまう。
救命救急センターへ・・・。歩の父・努がかけつける。
医師:このまま歌いつづけるなら、医者として、命の保証はできません。
父:君を死なせるわけにはいかない・・・死なせるわけには・・・。
病院で、努は、レイカにプロジェクトの中止を告げる。
努 命を犠牲にしていいものなど何もない。
大切なのは生きることだ。
命をかけて歌って、全ての愛を無にしてもいいのか。
レイカ 全ての愛・・・。
努 これが、私の、愛だ・・・。
プロジェクトの最終選考にまで残ったことをたたえてくれる、
作曲の仕事をいつも依頼してくれている人に・・・。
歩 ん、あの仕事をしていて、わかったんですよね。俺、今まで、自分のために作曲してました。でも、プロの仕事として作曲するっていうことは、自分以外の誰かのために曲を書くっていう、ことで、そうでなければ、本当に、人の心を打つような曲は、かけないから。
これからは、プロとして仕事をさせてください。
本物の作曲家として。
そんな折、韓国へ行っている李から電話が入る。レイカが韓国へ帰ってきているという知らせ。・・・ことの詳細を知るため、歩は実家の父のところへ・・・・。
歩 ヤン・ソアヤが帰国したって本当なの!?
父(努) ああ。
歩 だってまだプロジェクト終わってないでしょ!?
父 私が、プロジェクトからはおろした。
歩 なんでだよ。あのプロジェクト、彼女の夢だったんだろ。
何で今更、そんなことすんだよ!
父 お前は何もわかっちゃいない。
あのプロジェクトは、彼女だけの夢じゃない。
わたしの夢でもあったんだ。
***********
歩 解散て、どういうこと。
父 私はプロジェクトから手を引いた。
歩 どうして!
父 彼女が夢を失う時、私も夢を失う。・・・そういうことだ・・・。
努(父)が診断書を指差す。
歩 “先天性心臓弁膜症”
父 歩、お前ならどうする。自分の愛するものが、夢をかなえるために、・・・
1歩づつ死に近づくとしたら・・・それでも、歌いつづけるということができるか!?
私にはできなかった。
これが、・・・私のしてやれる、最後の決断だった。
お前に何ができる。今のお前が、彼女に何をしてやれるというんだ。
歩 確かに・・・何もしてあげられないかもしれない。
でもいつか、将来、俺に出来ることと・・・
俺にしかできないことを、彼女にしてあげたいんだ。
でも、・・・俺は彼女が好きだから。
彼女は俺の生きがいだから。・・・
父 歩・・・
生半可な愛情で、全てのことを乗り切れると思うな。
彼女に必要なのは、確かなささえだ!!
歩 愛情に、逃げ込んだりなんかしてないよ。
ただ・・・俺は・・・俺にしかできないこと、信じたいんだ。
父さんを超えられないのはわかってる。
でも、戦っていきたいんだよ。
母がドアの所で聞いていた。そしてドアを閉める音をさせる。
歩 母さん。
母 まだ、私に役目が残ってるかと思って飛んできたんだけど、・・・でるまくがなかったみたいね。
歩 俺、今までずっと、父さんと、母さんに守られて、ゆっくり歩いてきたよね。
でもこれからは、・・・自分の足で、しっかり歩いていくから。
母 そうよ。どんな道にたどり着いても、歩?それがあなたの人生なんだから。
歩 父さん・・・ありがとう・・・。
ここは韓国・・・。
ヤン・ソアヤのラストコンサート会場。
会場へ走る、李と、歩・・・。
李 こっちよ!急いで!(二人は走りながら)
また、韓国で会えたわね。
歩 ああ。
李 日本にいても、韓国にいても、あなたは私の、最高の友達よ。
歩 君に会えて よかった。
会場内・・・ヤン・ソアヤ舞台中央で・・・
レイカ
(ヤン)今夜、この舞台にマイクを置いて、
私は新しい道を歩き始めます。
その勇気をくれたのは
私の中に芽生えた、
かけがえのない愛でした。
この曲が、
私の心、
私の愛の証です。
この愛を信じて私は 歩いていきます。
ラストソング、
君のために・・・。
※音楽著作権を考慮し、歌詞を載せられず、本当にごめんなさい。
ピアノ伴奏を・・・歩が変わって弾く・・・。
回想 “レイカ!”
“君は ヤン・ソアヤなんだ!”
・・・歌い終えるレイカ。
あたりはシーンと静まりかえり、歩が、舞台中央へ歩き出す。
そして二人・・・抱きしめあって・・・。
歩 もう・・・
はなさないから。
永遠に・・・。
レイカ 永遠に・・・
歩 生きるんだよ?
ずっと二人で。
司会者に、歩のことが紹介される。・・・会場ないの大きな拍手喝さい。
二人で手をつなぐ。
そして・・・レイカは・・・マイクを静かにおく。
歩(語り) 僕の道は、
君の道になる。
君の道は、
僕の道になる。
僕たちは、永遠に、
手をつないで歩いていく、
生きていく。・・・・・
そして・・・・二人のキス。
あの感動の余韻が、
きっと見るものの心に残りつづけることでしょう。
この空のした、
きっと二人は、
今も強く、
永遠の愛を誓って、
生きている。・・・
そう思いませんか・・・。
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