−サルコイドーシスとは−



サルコイドーシスは症状や胸部写真の陰影が結核と似ている病気で、例えば

胸部写真では、結核は肺に陰影ができるとともに、肺門リンパ節が腫れますが、

サルコイドーシスでも同様に腫れてきます。

ただ、結核では片方の肺門リンパ節の腫れが多いのに比べ、サルコイドーシス

では両方の肺門のリンパ節が腫れることが多いです。

また結核は その原因が結核菌の感染によるものですが、サルコイドーシスの

原因はいまだに明らかではありません。

昔はサルコイドーシスという病気は若い男性に多く発病し、胸部写真で両方の

肺門のリンパ節が腫れるだけで、症状もなく、何もしないでも、2年間ぐらいで

自然に良くなる病気であり、放置しても良い病気だと考えられていました。

しかし、最近では、この病気は若い人からお年よりまで発病し、特に眼に病変を

きたし、失明してまう可能性のある病気だということが分かってきました。

それだけでなく、心臓にこの病気ができると、不整脈や稀に突然死の原因となる

こともあり、注意が必要とされています。その他、神経にできると、精神異常や

耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺の原因となることもあります。

またこの病気の経過は数年から数十年に及び、急速に悪くなったり良くなったり

するものではない事が分かっています。

- この病気の診断は -

診断には、胸部写真と血液検査でのアンギオテンシン変換酵素の上昇、ツベルク

リン反応が陰性化(結核では陽性になる)などの検査所見と、気管支鏡を使って、

肺の中を洗浄して、細胞を調べたり、肺の一部を採ってきて、顕微鏡で調べる検査

などをします。

- 治療は -

結核は抗結核剤を服用すれば、耐性菌でない限り半年位で完治しますが、この病気

は原因不明であり、根本的なお薬はありません。

ただ「ステロイドホルモン」という薬があり、これにより、一時的には病状を軽く

できます。

しかしこのお薬は長く使うと副作用もあり、気軽に誰でも使うという訳にはいき

ません。へたに使うとかえって病状が悪化する場合もあります。

また結核の人に「ステロイドホルモン」を使うと、病気が急速に悪くなるので、この

病気と結核の区別はしっかりしなくてはいけません。

また、侵された臓器により治療方法も違いますので、いつ、どのように「ステロイ

ドホルモン」を使うか、まとめ役の主治医のもとで、いろんな科の先生たちと連携を

とりながら、経過を診ていく必要があります。

 


戻る      

サルコイドーシス学会