Sorrow
2012, 435x607mm
このポーズの人物を1度描いてみたいと、ずっと思っていた。とは言え、最初は
「Sorrow(悲しみ)」ではなく、単純に性的な、「服従」のポーズのつもりだった。しか
し、それだけで描いてしまうとあまりに露骨で下世話な雰囲気になってしまい、上手
い背景が見付からないまま、数年間、手を付けられなかった。
そして3.11が起き、地が大きく揺れ、巨大な津波が起き、壊れた原発から大量
の放射能が放出されても、その後は、何も起きなかったように沈黙している自然の
中に人間が存在する、そんな絵にした。そうすると、このポーズも、嘆きの内にある
ようで、タイトルは必然的に「Soroow」となった。
海自体は日本ではなく、これはシチリアの海。人間のポーズに合う背景を探してい
たら、ピッタリの形で島が浮んでいる海があり、これに決めた。花は何にしようか、随
分迷った。和風の花で、脱原発にちなんで黄色い花にしたかったのだが、菜の花や
向日葵では、あまりに単純に脱原発のポスターめいてしまう。迷った末、これは、「絵
日傘」と言う品種の薔薇の花。脱原発を象徴する黄色と、人々の血のような赤が混
ざり合っている花びらと言う事で、これに決めた。
この絵は、非常に気に入っている。初めて展示した場所はLarotica 2012だった
が、当分手離さず、いろいろな所で展示してみたいと思う。