PC18禁 な〜

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○ 「Knight Carnival!」
○ 「ナギサの 〜Around The Seaside〜」
○ 「Natural 〜身も心も〜」
○ 「夏色小町」
○ 「夏色さじたりうす 〜浜井原学園弓道部〜」
○ 「夏色ストレート!」
○ 「夏に奏でる僕らの詩」
○ 「夏ノ雨」
○ 「波の間に間に 〜さざなみ診療所〜 ぷらす」



「Knight Carnival!」

(ブランド) Nomad
(ジャンル) 格好良く戦う女の子達と、戦闘とHを通じて心通わせるADV
(発売日) 2010年12月24日
(スタッフ) 原画=麻倉桜、SASAYUKi。シナリオ=大熊陣八、他。音楽=MASA。ムービー=KIZAWA studio。主題歌=Riryka&なかせひな。
(声優) 桃井いちご(大久保藍子)、倉田まりや(澄田まりや)、宮沢ゆあな、御苑生メイ(梅原千尋)、小倉結衣、澄白キヨカ(みる、壱智村小真)、一色ヒカル(田中涼子)、桜川未央(小林眞紀)、かわしまりの(瑞沢渓)、如月葵(吉田愛理)、飯田空(雨宮侑布)、東かりん、榊るな(小暮英麻)、葵時緒、緒田マリ(竹間千ノ美)。
(システム) 対応OS=Windows2000/XP/Vista/7。HDD容量=2.5GB以上。画面解像度=800×600。バックグラウンド動作可能。ディスクレスプレイ可能。マウスホイールテキスト読み進め可能。キャラ別音声カット可能(男性キャラ声なし)。バッググラウンドボイスあり。セーブコメント記入不可。アルファロムプロテクト採用。
(ランク) Bクラス
(付記) いわゆる「英雄王アーサーと円卓の騎士達」の女体化パロディ作品なのだが、史実との連動及び再現度には期待しない方がいい。あくまでもそれ風の味付けがなされたお手軽ファンタジースラップスティックラブコメ、ぐらいに捉えておくのが吉。
 主人公は一見劣化版「ランス」に見えるが、実は腕っぷしだけではなく、魔法も使える上に知識もあり、切れ者だったりする(脳より先に下半身が動く所は変わらないが)。きちんとオリジナリティを持った、思いやりもある好感の持てる男。貴重なナイス主人公。ただ、ヒロイン達にセクハラ言動を繰り返しては殴られて終わるオチが多過ぎるので、ここはライターの引き出しのなさを露呈してしまっている。
 ヒロイン達は魅力にあふれており、私はその中でもケイとランスロットが気に入った。特にランスロットは倉田まりやの新境地とも言える役柄なので、彼女のファンはぜひともプレイしておくべき。魅力的なヒロイン数が多く、Hイベントも各自に用意されてはいるが、その扱いにはやはり大きく差が付けられている。エンディングがないヒロインも多く、せっかく仲間になっても物語の本筋に絡まないのではもったいなさ過ぎる。ストーリーはほぼアーサー&ランスロット&ケイの3人で進み、その他のヒロインでエンディングを迎えても物語の大筋の後日談が語られないので消化不良感が残ってしまう。
 Hシーンではバックグラウンドボイスがあり、テキストを読んでいる間も飽きさせる事なくエロスに浸らせてくれるが、やや過剰な部分も多々あったので、その辺はお好みで調節するといい。ゲーム開始と同時にまずHイベントがあり、その後も主人公の性質上断続的にHイベントが続くので、終盤集中型のお茶濁しエロゲーではない。プレイ内容としては奉仕が多く、擬音表現が独特で面白いが、いわゆる「ひょっとこ顔」が時々あるので、それが合わない人は注意されたし。Hイベントの尺はちょうどいい具合ではないかと思われる。今回はこれまでのNomad作品からは大きく作風を変えたが、「抜きゲー」にギリギリでカテゴライズできるレベルではないだろうか。だが伏せ字&ピー音あり。
 ゲームシステムには疑問点が残る。Tactics系ではもうおなじみのMAP画面での行動回数制限(『恋姫無双』シリーズで言う所の宝玉システム)があるのだが、これは単に周回を重ねさせるだけなのではないだろうか。しかもこれだけのヒロイン数であるにもかかわらず行動は3回までで、それをフル活用しようとすると攻略できないヒロインが存在したりする(つまりは、他のヒロイン選択=浮気禁止)。せっかくゲーム自体のテンポはいいのに、こんな所でストレスを溜めさせてどうするのか。行動回数制限でゲーム性を出せると思うのは大間違いである、そもそも選択肢が存在しないというのに。既読スキップがシーン転換時に度々ストップするのと、エンディングのスタッフロールが飛ばせないもマイナス。
 エンディングの種類は、アーサー、ランスロット、ケイ、ガウェイン、聖杯探索3人娘の物+バッドエンドのみ。ハーレム(14P)エンドは全ルートクリア後のシーン回想から見られるおまけ程度の代物。欲を言えば全ヒロインにエンディングが欲しかったが、せめてマーリンぐらいには欲しかった。あとモルガンと結託する悪の道ルートがあれば面白かったのに……残念。Hシーンの内訳は、アーサーが8つ(内ケイとの3Pが2つ)、ランスロットが6つ、ケイが5つ、ガウェインが8つ(内姉妹3P&4Pあり)、ガリスが2つ、モルドレッドが2つ、ペリノア姉妹の3Pが3つ、トリスタンが5つ、ベイリンが3つ、聖杯探索3人娘が4つ、マーリンが4つ、モルガンが4つ(内マーリンとの3Pあり)+その他×2+ハーレム。
 発売前に同じくTactics系の「絶対★魔王」の悪夢の再現を危惧する声が多々あったが、それは全く心配しなくていい。萌え学園物や大作のプレイに疲れた時などに、箸休め的に気分転換も兼ねてプレイしてもらいたい佳作である。



「ナギサの 〜Around The Seaside〜」

(ブランド) コットンソフト
(ジャンル) 青春夏の海物語ADV
(発売日) 2007年12月14日
(スタッフ) 原画=司ゆうき、笹井さじ、ミヨルノユメギ、あんころもち、大月佑佑、有馬ケンジ、Hattu。シナリオ=秋津環、木緒なち、海富一、林ふみと。音楽=Elements Garden、SENTIVE、443、井出今日子、まにょ(Little Wing)、なるちょ。主題歌=NANA。ムービー=神月社。プロデューサー=片岡せいやん。CG彩色協力ブランド=ういんどみる、HOOK、AXL、みるくそふと。
(声優) 夏野こおり(田口宏子)、青山ゆかり、春海あくあ(水橋かおり)、松田理沙(力丸乃りこ)、芝原のぞみ(たかはし智秋)、楠鈴音(戸野綱麻世、鳴海エリカ、広森なずな)、紫陽花(三宅健太)、おおくぼけんたろう(福島潤)、事務台車、成崎彦太
(システム) 対応OS=Windows98/2000/Me/XP/Vista。ディスクレスプレイ不可。画面解像度=800×600。HDD容量=約2G。セーブ100箇所可能。セーブコメント記入不可。マウスホイール対応。演出カット不可。フォント変更可。
(ランク) Dクラス
(付記) 攻略可能ヒロインは4人で、その内3人が頭の可哀想な娘という斬新な構成(あと1人は痴女)。せめてさとみや委員長や冬美エンド(百歩譲ってHイベントだけでも)を用意してくれれば、少しはこの偏りを誤魔化せたかもしれない。男女キャラの絵のタッチが違い過ぎるのも気になった。全然エロゲーらしくない作品で、価格の割にとても合わない。CG差分と背景がやたらと多い点だけは評価できる。
 テキストの誤字脱字が多過ぎるとか「そして」を連発するセンスのなさ以前に、シナリオがもうどうしようもなくつまらない。終始小学生の絵日記を延々と読まされているような拷問感を与え続けられる。典型的な初キス→そのままの流れで初Hという、キャラ萌えゲーにありがちな、どこにでもある展開でガッカリさせられる。Hイベントは夏生=3つ、あおい=2つ、千佳=3つ、水守=4つ。
 コットンソフト作品は初めてプレイしたが、演出面(やや過剰だが)やテキストの改行は上手くなったが、基本的にはねこねこソフト時代から全然進化していなくて悪い意味で驚いた。作品自体が残念な出来な上に、今時起動時に毎回ディスクを要求してくるので、どんどんやる気を削がれていく。発売後かなり経ってパッチを出したが、何とも空気を読めていない内容だった。ユーザーライクな姿勢はどこに行ってしまったのか。



「Natural 〜身も心も〜」

(ブランド) フェアリーテール
(ジャンル) 学園調教ADV
(発売日) 1998年2月6日
(スタッフ) 原画=たもりただち。
(声優) 歌織(富山あかり)、美都いずみ(ならはしみき)、長崎みなみ、鳩野比奈(及川ひとみ)、夏野蛍(津野田なるみ)。
(システム) 対応OS=Windows95。CD-ROM1枚。
(ランク) Cクラス
(付記) 未だに熱狂的な千歳ちゃん信奉者も多い名作。個人的には、メインヒロインである千歳よりも河田穂鳥の方が断然好みだったのだが。ハッキリ言って、個人的にあそこまでのベッタリ&ヤキモチ焼きはウザイ。が、結局はやはり「千歳ゲー」であり、彼女をどれだけ愛せるかどうかでこの作品への評価は決定される事は間違いない。
 続編(?)もどんどん制作されており、それを考えるとやはり名作には違いないのだろう。方向性はだんだん変わってしまっている気がしないでもないが。OVA化もされたが、そちらの出来もなかなかに良かった。余談だが、やたらとウチのPCとの相性が悪かった。



「夏色小町」

(ブランド) パープルソフトウェア
(ジャンル) 学園恋愛ADV
(発売日) 2003年2月28日
(スタッフ) 原画=月杜尋、悠樹真琴。シナリオ=芹沢了、山田光一郎。音楽=ミリオンバンブー。
(声優) RURU(笹島かほる)、飯田空、氷城ありさ、しおみれい(ミルキーゆかり)、桜川美亜。
(システム) 対応OS=Windows98/2000/Me/XP。画面をビットマップで保存可能。画面解像度640×480。ディスクレスプレイ可能。主人公の名前変更可。
(ランク) Dクラス
(付記) 選択肢は少なく、攻略も非常に簡単。1プレイの時間が短く、フルプライスの割に合わない。選択肢前で自動クイックセーブしたり、システム面はかなり良い。既読スキップもかなり高速。OP&ED歌の評判高し。
 が、シナリオがあまりにもひど過ぎる。しかもメインヒロインがかなりのクソキャラで不愉快。主人公の名前を読んでくれない上に呼び換えもないので違和感があり過ぎ、物語に集中出来ない。各種ムービーの出来は素晴らしい。袴ヒロイン率高し(と言ってもこのキャラ数だが)。超絶劣化版「君が望む永遠」風味要素あり。



「夏色さじたりうす 〜浜井原学園弓道部〜」

(ブランド) ブルームハンドル
(ジャンル) 熱血青春部活(?)ADV
(発売日) 2009年4月24日
(スタッフ) 原画=八重樫南。シナリオ=長谷川藍。音楽=ふぁそらし堂。主題歌=MAMI featuring Natsumi。ムービー=神月社。プロデューサー=身から出た鯖。
(声優) 桜川未央(小林眞紀)、和泉あやか、青葉りんご、草柳順子、大花どん(浅井清己)、榊るな(小暮英麻)、杏花、遠見はるか、木林伊蔵。
(システム) 対応OS=Windows2000/XP/Vista。画面解像度=800×600。HDD容量=1.1GB以上。ディスクレスプレイ可能。バックグラウンド動作可能。マウスホイールテキスト読み進め不可。セーブコメント記入不可。キャラ別音声カット可能。バックログ1行のみ。スキップは高性能。
(ランク) Cクラス
(付記) 攻略可能ヒロインは4人で少数精鋭……と言うほどの魅力はない。むしろサブヒロインの方がよほどキャラが立っていて面白い。特にレズカップルである母親とドMの女担任がナイス。親友キャラも色物だが珍しいタイプだった。しかし、紗夜先輩はよく等身で規制に引っかからなかったものだ。しかも初潮前という驚きの設定。これで台詞が面白ければオススメキャラになれたのだが、「この○○野郎」にはもうウンザリ。
 主人公は朴念仁と書いてあるが、それにしてもあまりにもひどい。ヒロインが大事な台詞を言ってもことごとく「え?何か言った?」と聞いていない。おまえ補聴器買えよ、と終始イライラさせられる。無個性で存在皆無のくせにモテまくるのは理解できない。そもそも主人公の名前が「桜次郎(おうじろう)」では大事なシーンに全然感情移入なんてできない。この程度のガキが簡単に「愛してる」を連発しても中身が全くなく、失笑の対象でしかない。
 無駄なテキストが多く、キーレスポンスが重く、会話のテンポは悪目。共通部分が長過ぎる事もあり、2ルートもやれば飽きる。文章力のなさをハートマークでごまかし過ぎなのは、かなり恥ずかしい。そこそこ名のあるライターらしいのだが、筆力はかなり低いと感じた。似たような台詞ばかりで、バックログを読まされているのかと時々疑ったほどだ。ストーリーとしては山も谷もなく、選択肢もつまらない。あとセーブタイトルでネタバレし過ぎ。
 最初の内こそきっちり弓道部の設定を活かしているが、案の定終盤にはすっかり忘れられ、「弓道着でのHやりたかっただけだろ」とツッコまざるをえないグダグダっぷり。その後に大会に出たのかとか、弓道部はどうなったのかとか、何から何まで全部放り出して終了。そもそも授業風景すらまともにないのだから、学園物である必要すらなかった気がする。
 Hイベントは6〜9つで、意外にもエロ関係は充実している。個別ルートに入ってからは怒涛のラッシュで、野外シチュエーションなどもあり。なぜか放尿→顔面受け止めにこだわりがある。Hイベントでのテキストは「しゅき」だの「らめぇ」だのを連発し、頭が悪過ぎて萎える。卑語のチョイスがかなり下品で絵と合わないが、そういうのがツボの人もいるかもしれない(私には合わなかった)。中/外選択肢はなく、主人公はとりあえず中で出すタイプ。が、汚い発射音は切る事を推奨する。CG差分は少な目。
 主題歌とOPムービーの出来の良さで購入したが、結局一番良かったのはそこだった。次に良かったのは立ち絵パターンの充実具合。シナリオには一切期待しない方がいい。キャラ萌え目当てでもきっと裏切られる。ドタバタコメディとしても二流。ワゴンになってから買ったので充分なレベルの作品である。



「夏色ストレート!」

(ブランド) White Cyc
(ジャンル) マップ選択式学園恋愛ADV
(発売日) 2009年4月24日
(スタッフ) 原画=奈月ここ、成沢空、水沢深森、MAKOTO。シナリオ=セーヤ。音楽=Team-OZ。歌=ichigo、癒月、PRIKO、めらみぽっぷ、OZ。ムービー=彩色紙。企画&プロデューサー&ディレクター=ろーりー。
(声優) 成瀬未亜、佐本二厘(大小つづら、結本ミチル、椿丸子々々)、風音(未来羽、桜井浩美)、みる(青川ナガレ、壱智村小真)、民安ともえ(田宮トモエ)、海原エレナ(氷青、横手久美子)、みすみ(石松千恵美、なみだ)、咲良さく、西野みく、未空、月黒斗夜、夏田空、黒井鋼、土門熱、如月春男、岡山桃太郎。
(システム) 対応OS=Windows2000/XP/Vista。画面解像度=800×600。HDD容量=1.8GB以上。ディスクレスプレイ可能。マウスホイールテキスト読み進め可能。バックグラウンド動作可能。セーブコメント記入不可。キャラ別音声カット可能。
(ランク) Bクラス
(付記) 攻略対象ヒロインは4人で、少数精鋭と言えるキャラ作り。他ヒロインのルートでもきちんと役割を持たせているのは好印象。パッと見はどこにでもいるステレオタイプなエロゲーヒロイン達だが、ストーリーを進めると第一印象を裏切ってくれる(特にメインヒロインとお嬢様)。仕掛けとしては良いのだが、惜しむらくは公式サイトを含めた宣伝の下手さでそれが伝わらないまま数多くのユーザーにスルーされたであろう事だ。体験版をやっておく癖がある人はいいが、そうでない人はなかなかこれは予想できないだろう。
 ナイスキャラである妹と担任教師は残念ながら攻略不可能。妹はソフマップの予約特典ディスクをなんとかして入手してお楽しみください(お約束の夢オチだが、ちゃんとHイベントがある。正直こういう商法は嫌いだが)。担任役の海原エレナは相変わらず上手い。男性を含めたサブキャラ達が立っているのもこの作品の魅力の1つだろう。
 主人公は時々ヘタレで中途半端で他力本願だが、欲しい所で必要な台詞をちゃんと言い、最後にはきちんと帳尻を合わせてくれるので好感が持てる。最初の内は「果たしてこの野球好き設定は必要なのか」と疑問視していたが、野球ネタと物語の進行状況をシンクロさせるという小技を使ってきたのにはニヤリとさせられた。個人的にお気に入りの会長との関係だが、最後まで「会長」と呼ぶ関係でいて欲しかったのは少数派だろうか。
 全体的に進行テンポが良く、立ち絵の切り替わりもスムーズ。ゲームとしてはほぼお目当てのヒロインを選択するだけでまともな選択肢も存在しないので、物語を読む事に集中できる(と言うかするしかない)。ただ気になったのは、あまりにもシーン切り替え前にキャラが一言二言しゃべる演出を多様し過ぎていた事。独り言ならモノローグなどに上手く入れて欲しかったものだ。
 テキストはウィットに富んでおり、なかなか憎い言い回しもある。やたらと難読漢字を使いたがる傾向にあるが、フリガナを振っていないので大変不親切。声優もフリートークでその苦労を語っている通り、読み間違いが多く残っている(それとも収録後にテキスト変更でもしたのか?)。長台詞も多く、もっと洗練できる余地はかなりある。誤字脱字が多く、敬語もダメだが、それでもそんじょそこらのただの萌えゲーよりはテキストとしてはよっぽどマシなレベル。
 Hイベントは各ヒロインに3つで、尺も内容も必要な物は一通り押さえてある無難な構成になっている。エロさは特に感じないが、不満もない。マニアックなプレイもシチュエーションがないので、地味で印象に残らないのがもったいない。CG差分はなかなかの数が用意されているのが美点と言えば美点。Hテキストは凡庸で、やや「らめぇ」語が多い。
 作中にも度々「青臭い」とあるが、そこさえ我慢できれば学園青春ラブコメの佳作としてお勧めできる。ベタには違いないが、演出面では歌の流し所などもツボを心得ており、安心して楽しめる完成度。各ヒロインごとのルートに独自色があり、ボリュームもしっかりとある。さらにはクリア後に声優フリートークと5つのミニゲーム(トランプと麻雀牌を使った物)も楽しめ、満足感にお得感をプラスしてくれる。



「夏に奏でる僕らの詩」

(ブランド) Purple software
(ジャンル) 恋愛ADV
(発売日) 2010年3月26日
(スタッフ) 原画=月杜尋、takinan(SD原画)。シナリオ=冬雀、森崎亮人。企画&原案=冬雀。音楽=アブカワオサム、マッツミュージックスタジオ。OP&ED歌=橋本みゆき。挿入歌=木村あやか。OPムービー=スタジオ雲雀。EDムービー=猫ミ沢。ディレクター=湯。プロデューサー=石川泰。
(声優) 木村あやか(いのくちゆか)、風音(櫻井浩美、真中海)、桜川未央(小林眞紀)、まきいづみ(やなせなつみ)、倉田まりや(澄田まりや)、野神奈々(本井えみ)、小池竹蔵(荻原秀樹)、都夢繰豆。
(システム) 対応OS=Windows/XP/Vista/7。HDD容量=2.5GB以上。画面解像度=640×480、800×600、1024×768、1280×960、1400×1050、1440×1080、1600×1200より選択可能。バックグラウンド動作可能。ディスクレスプレイ可能。マウスホイールテキスト読み進め可能。キャラ別音声カット&テキスト色変更可能。フォント変更可能。セーブコメント記入可能。セーブデータの削除&移動可能。マウスカーソル自動消去機能あり。修正ファイルあり。
(ランク) Cクラス
(付記) 海辺の田舎を舞台にした、まったり学園恋愛ADV……のはずが、学園でのイベントはほとんどなく、メインヒロイン4人の中にトップアイドルとトップモデルと幽霊が存在するという、節操のない設定。素朴な世界観を期待していると肩透かしにあう。幼なじみ補正で全てが解決する連中で、幽霊だろうがすぐに受け入れ、ご都合主義で全員ひとつ屋根の下、主人公はモテまくり、と便利な設定この上ない。この作品を楽しもうとするならば、こちらも割り切って全てを受け入れるしかない。それが出来なければ、2〜3時間で投げ出すレベルの内容。こんなに自由に休みまくって干されないなんて、芸能界ってチョロいですね。マスコミさん達も実に大人しいもんだ。
 ストーリーは10話構成+個別ルートであるが、「第○話」と区切った意味は全くなかった。あらすじを一言で言ってしまうと、「大人への反抗ごっこ」。大事な事そっちのけで思い付いたアイデアに飛び付き、徹底して自分達の我を通すコドモ達の物語。困った時にはチートアイテムが発動して助けてくれます。シナリオの約85%は共通ルートであり、効率のいい攻略と速い既読スキップを駆使すれば、2キャラ目以降はあっという間に終わる。全体のボリュームは至極あっさりとした物で、正直フルプライスには見合わない。テキストは誤変換を恐れてか平仮名だらけで頭が悪い感じで読み辛いが、読点の打ち方だけは上手い。
 登場キャラ数は少なく、ヒロイン5人を中心として進行するが、キャラ作りの差別化はしっかりできている。とは言え、どのヒロインもテンプレートで、印象に残るほどの存在はいない。明らかにメインメンバーである優佳は攻略不可。はいはい、どうせ人気投票結果上位→メインでファンディスク発売、のいつもの流れですね。信者の方々、毎度お付き合いご苦労様です。この優佳というヒロインの獅子奮迅の活躍により、辛うじてこのゲームはエロゲーとしての体裁を保てている。懸念材料であろう佐竹君は最後までヘタレの超小者なのでご安心を。寝取られ?ないない。
 主人公はクソ主人公のカテゴリ入りです、おめでとうございます。鈍感なんてレベルではない、わざとやっているとしか思えないズレた言動に終始イライラさせられっぱなし。そのくせ案の定Hイベントでは強気になってやりたい放題。勘違いが激しく、勝手に嫉妬して自暴自棄になったりする、幼なじみ属性のみでモテているだけのガキ。作中でやたら「ぼんくら」扱いされているが、そんな言葉では生ぬるい。「考古学を志している」なんて設定はお飾りに過ぎない。行き当たりばったりの根拠のない推理が主人公補正でことごとく上手く行くし、最初からベタ惚れされているので、取ってつけたような告白でも効果絶大。「世の中努力よりも環境だよね」と痛感させられる。
 Hイベントは最後の最後に集中しており、歌音が4つで、あとの3人は3つずつ。優佳とは何もなし。中/外発射選択肢なし。伏せ字・ピー音なしだが、そもそも卑語が少ない。エロさは皆無で、エロゲーとしてはダメダメな代物。Hのプレイ内容には偏りがあり、「ほのかにご奉仕ないのかよ!」などなど、不満が続出するであろう。主人公はとりあえずムラムラきたらホテルに連れ込むタイプ。
 この作品の美点はほぼCG演出のみである。波の寄せては返す表現などが美麗だった。特に水族館での魚の群れの遊泳する様は素晴らしく、このゲーム最大の見所と言い切ってしまっても過言ではない(裏を返せば、他に褒めるべき点が見当たらない)。パターンは少ないが、フェイスウインドウをはじめ効果的に使われていた大きな立ち絵は評価する(夜になればキャラもちゃんと暗くなったし)が、欲を言えば動きがなく、台詞の途中で切り替わって欲しかった。ゆずソフトの「天神乱漫」辺りと比べると、日常パートでの視覚効果はかなり見劣りする。SD絵演出は見ていて楽しかったが。
 プレイを終えての全体の印象としては、「手抜き」と斬って捨てざるを得ない。「ここは見せ場!」というシーンでの演出が弱いどころか絶無。夏祭りの花火は見せないし、みんなでステージで歌うイベントではCGどころか歌すら聴かせてくれない。これでこの作品タイトルはないでしょうよ。結局どこが「詩」だったのか。笑えない・泣けない・萌えられない、とダメ要素が三拍子そろった退屈極まりない作品。出演声優のファンであるなら、ワゴンで新品2980円ぐらいになっていたら買ってもいいかもしれない。



「夏ノ雨」

(ブランド) CUBE
(ジャンル) 学園恋愛ADV
(発売日) 2009年9月25日
(スタッフ) 原画=兼清みわ、カントク。シナリオ=紺野アスタ、皆本あいる。音楽=ANZE HIJIRI。歌=Duca。ムービー=ALICE FROM JAPAN、KIZAWA studio。企画=紺野アスタ。ディレクター=佐倉直人。プロデューサー=大隅建一。
(声優) さくらはづき(生天目仁美)、二葉みんと(後藤麻衣、安玖深音)、佐本二厘(結本ミチル)、澤田なつ(福圓美里)、杏子御津(門脇舞以)、朝比奈舞、木口亜美(こやまきみこ)、いちごみるく(白石稔)、柏木誉、響玲二、西野みく、山咲杏、ミスター・デリンジャー、山多悠、佐藤利奈、大原さやか。
(システム) 対応OS=Windows2000/XP/Vista。HDD容量=2.5GB以上。画面解像度=800×600。バックグラウンド動作可能。ディスクレスプレイ可能。マウスホイールテキスト読み進め可能。キャラ別音声カット可能。選択肢後もスキップ継続。セーブコメント記入不可。立ち絵鑑賞モードあり。スキップはかなり速い。修正ファイルあり。
(ランク) Aクラス
(付記) メインヒロインである理香子は主人公の腹違いの姉であり、姉妹ブランドであるSphereの「ヨスガノソラ」のように血縁にこだわった作品。田舎っぽい雰囲気も似ており、CUFFS系列の作風が好きな人ならば入り込みやすいだろう。ただし、出来としてはこちらのはるかに上。心地良い音楽に描き込まれた背景など、いい雰囲気の世界観が構築されている。攻略可能ヒロインは4人と少な目だが、それを感じさせない綺麗なまとまり方をしている。風呂場などでのエコーや遠くからの呼び声の強弱、モノローグはもちろん本文中の台詞に音声が付いているなどなど、細かい音声演出の配慮が行き届いているのも、この作品の快適さや作りの隙のなさにつながっているだろう。今ではすっかり2択が主流の選択肢が3択であったりする点も懐かしさとともに楽しめた。心地良い余韻を残す、満足感が得られる作品である。
 テキストの文字が大きく、文体もすっきりしているので、読み進めて行く事が苦痛にならない。台詞は読みやすく改行してくれているのだが、どうせならそれ以外の本文でもそうして欲しかったが。意外にもキャラの心理を細かく描写していたり、バッドエンドが用意されているなど、実際にプレイしてみるとただの萌えゲーではない事が分かる。「家族」をテーマとし、それをおざなりにせず描いているのが好印象。綺麗事では済ませていない所が評価できる。エピローグのボリュームをたっぷりと用意してあったのも嬉しかった。
 共通ルートがやや長めに感じられたが、全体の尺はちょうどよく、個別ルートのシナリオもしっかりと差別化がなされている。それでもあえて苦言を呈するならば、ひなこルートが「ヨスガノソラ」の奈緒シナリオとやや似通っていた事と、美沙が他ヒロインのルートではほとんど出番がない事か。が、生徒ヒロイン3人+教師1人と考えた場合、それも差別化の一環と言えなくはない。美沙ルートはベタではあったがドラマチックで、ねねのがんばりは胸を打ち、恐らくエロゲー初出演であろう澤田なつ(福圓美里)の慣れていなさ具合が非常に初々しく微笑ましかった。
 原画家が2人なのだが、塗りを近付けてくれているせいか、それほど違和感なくこの世界観に共存できている。立ち絵パターンは微妙な違いの物が多いが、コスチュームはなかなかに豊富(私服が1種類だけではなかったり)で視覚的にも飽きさせない。が、やはりと言うか、主人公の顔をイベントCGで見せ過ぎ。結局、男は顔ですか。美形なのは分かりましたから、感情移入を妨げるので極力隠す構図にしていただきたい。男のイき顔なんて見たくもなかった。そしてH中に主人公の名前をあまりにも呼び過ぎ。激しく嫉妬。その他にごく個人的に好みではなかったのは、女性キャラより男の方が色白な事。
 HイベントCGはヒロインの顔が隠れてしまうアングルがいくつかあったのがもったいない。CG差分はかなり少なく、ズームアップや視点移動でそれをごまかす手法。Hテキストはなかなかに状況描写が細かく、前戯の部分もしっかり読ませてくれるのだが、「らめぇ」を多用しているのはマイナス。伏せ字はあるが、ピー音はない(とは言え、そもそも卑語そのものがほとんどない)。主人公はややSで、拘束プレイや目隠し、ストッキング破りなど意外な攻めを見せてくれる。各ヒロインにご奉仕イベント完備。Hイベント数はメインヒロインである理香子が4つ、その他3人が3つずつとなっている。中/外発射選択はなし。
 この作品の大いなる売りの1つに、出演声優の豪華さが挙げられるだろう。前述の福圓美里に加え、出演者クレジットには出ていない大物、PS2「アマガミ」の棚町薫役を髣髴とさせる佐藤利奈、やたらと活き活きとしているダメ母親役の大原さやか、この2人はサプライズだった。Hイベントこそないが、かなりのインパクトを残してくれた。その演技力はお見事。
 正直プレイ前はただのキャラ萌えゲー、いい所雰囲気ゲーであろうと思い、まるで期待していなかった。が、ふたを開けてみると素晴らしい出来であった。加点方式でも減点方式でも高評価に値する良作である。私と同じような予想をして二の足を踏んでいるのであれば、騙されたと思ってぜひプレイしていただきたい。もちろん、キャラゲーとしての魅力も相当な物。特に私は翠が非常にお気に入りのヒロインとなった。もしかすると歴代ベスト10に入るかも。こういう大当たりがたまにあるから、この手のジャンルはやめられない。



「波の間に間に 〜さざなみ診療所〜 ぷらす」

(ブランド) ブルームハンドル
(ジャンル) 離島医療恋愛ADV
(発売日) 2007年8月24日
(スタッフ) 原画=ぺこ。シナリオ=北側寒囲。音楽=沢村竣。ムービー=風守良。プロデューサー=身から出た鯖。
(声優) 春奈有美、美咲ゆうか、羽里さつき、大花どん(浅井清己)、一宮桜、秋月まい(谷井あすか)、和泉あやか、チャンピオン☆鷹、鷹宮涼、霧雨一海、デックランボー、五行なずな(小野涼子)。
(システム) 対応OS=Windows98/2000/Me/XP。マウスホイールテキスト読み非対応。セーブコメント記入不可。バックグラウンド動作不可。同梱特典=特製画集。
(ランク) Bクラス
(付記) 無印に「波の間に間に 外伝 裕美子さんの新婚日記」が同梱された物で、これで6090円は安いと断言できる内容。小粒ではあるがよくまとまった良作であり、まず買って失敗した感は受けないだろう。溢れかえっている萌え学園物に飽きたら、気分転換を兼ねてプレイしてみてはいかがだろうか。これは最初に言っておきますが、メインヒロインは未亡人です
 テキストに力はあるのだが、いかんせん誤変換が多過ぎる(あえて国語力がないとは言わないでおくが)。台詞がなぜかヒロインごとに色分けされており、それがにじんで見えて非常に読みにくい。演出なのは分かるが、大文字化を使い過ぎており、純粋に文章で勝負して欲しかったところだ。あと好みがハッキリ分かれるとすれば、主人公のキャラクターだろう。バカでスケベでお調子者であり、なぜこんな奴がモテまくるのか不思議でならない。「やる時はやる」の描写がもっとあれば、そこも納得できたのだろうが、終始イライラさせられる。
 演出面はお風呂でのエコーをはじめツボを押さえているが、男性キャラの声をオフに出来ないのとHシーンでの音楽が合っていない点がマイナス。デフォルメ絵演出はもっと多用しても良かったと思う。シナリオの共通部分がやや長いが、既読スキップが速いのでそんなには気にはならない。
 エロゲーとしては、そもそも立ち絵からしてムチムチしていてエロいのが高評価に値する。イベントCGと差分の少なさすらもそれで補えている印象だ。Hシーンでは伏せ字もピー音もなく、かわいい絵柄とのギャップを楽しめるが、単語のチョイスが下品なので評価が分かれるのではないだろうか。イベント数はボリュームに対しては正当であると思われるが、親子丼が夢オチだったのが残念でならない。

 「波の間に間に 外伝 裕美子さんの新婚日記」は、声優が五行なずなに変更されたが、私には違和感はさほどなく楽しめた。元々2000円で販売されていたファンディスクなので、ボリュームには期待しない方が良い。裕美子以外のヒロインは一切登場せず、親友2人の声も入っていない。ひたすらコスプレHに明け暮れる内容だが、無印からのCGの使い回しが多く、全体的に手抜きの印象が残った。ちなみに、選択肢は4つある。



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