小説書庫 あ〜

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○ 「R.O.D」
○ 「AURA 〜魔竜院光牙 最後の闘い〜」
○ 「《あかずの扉》研究会」シリーズ
○ 「悪魔の辞典」
○ 「悪魔のミカタ 魔法カメラ」
○ 「アップフェルラント物語」
○ 「阿南」シリーズ
○ 「あの日々をもういちど」
○ 「アリソン」シリーズ
○ 「アルスラーン戦記」
○ 「アルスラーン戦記読本」
○ 「ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。」



「R.O.D」1〜5巻

(著) 倉田英之
(刊行) 集英社スーパーダッシュ文庫
(ジャンル) 大英図書館エージェントアクション
(ランク) Bクラス
(付記) アニメも良い出来なので、興味があればぜひ。それぞれストーリーは違う。イラストは羽音たらく。「どうせ絵のない漫画だろう」などと馬鹿にして読み始めたら、これが小説としてしっかりと楽しめる代物だった。アクション描写も洗練されていて巧みで、気が付けば引き込まれていた。読子のスタイルがどんどん良くなっているのは気のせいか。



「AURA 〜魔竜院光牙 最後の闘い〜」

(著) 田中ロミオ
(刊行) 小学館・ガガガ文庫
(ジャンル) 学園ラブコメ
(ランク) Bクラス
(付記) イラストはmebae。元は雑誌「PC Angel neo」に連載されていた掲載されていたコラム。
 美少女ゲームファンなら知らぬ者は少ない田中ロミオ(山田一)だけあり、ギャグや比喩の面白さははじめとした文章の面白さは保障する。次から次へと奇人変人が登場し、電波の嵐が巻き起こる。タイトルは後半になるまでは気にしないでいい。
 「オタクと世間」「イジメ」などをファクターに、学園=社会という中で生きる難しさを、コメディのオブラートに包んで説く。主人公とのシンクロ率が高いと途中で精神的にしんどくなるが、ラストは良い大団円を見せてくれる。キャラの役割分担に釈然としないものが少なからず残ったのがマイナス。前半と後半との落差があり過ぎ、ちぐはぐな印象が残った。主人公の姉は非常に良いキャラだった。



「《あかずの扉》研究会」シリーズ

(著) 霧舎巧
(刊行) 講談社
(ジャンル) 嵐の山荘ものミステリ
(ランク) Aクラス
(付記) 霧舎巧が世に放つ、粗製乱造され続けているミステリ小説への強烈なアンチテーゼを込められた入魂のシリーズ。伏線の張り方&回収の仕方が惚れ惚れするほどに見事。展開の二転三転具合も半端ではない。これを読まずしてミステリを語る事なかれ。ヒロインのユイが愛せないのが難点だが、主人公が素人なのは読みやすくて良い。



「悪魔の辞典」

(著) アムブロシアーズ・ビアス
(刊行) 角川文庫
(ジャンル) 悪魔の辞典
(ランク) Sクラス
(付記) 「エドガー・アラン・ポーの再来」と言われ、芥川龍之介にも大きな影響を与えた著者が、現代文明と人間性を鋭い風刺と痛烈な皮肉で描く辞典。あのパタリロの愛読書でもある。最初から最後まで、ニヤリとさせられっぱなしになる事うけあい。



「悪魔のミカタ 魔法カメラ」

(著) うえお久光
(刊行) メディアワークス・電撃文庫
(ジャンル) 学園超常ミステリー
(ランク) Bクラス
(付記) 著者自身も言及しているが、頓挫したミステリ作品。何においても中途半端。巻頭にイラストが多くあったりしていかにもキャラが立ってそうだが、実はそうでもなく表層的な印象を受けた。キャラの言動にしても端々のファクターを取ってみてもライトノベルにふさわしくない物に思えたが、今のご時世的にその方が良いのだろうか。気をてらう事と突出した作品を目指す事は違うと考えるのだが。ラストはなかなかに秀逸。



「アップフェルラント物語」

(著) 田中芳樹
(刊行) 徳間書店
(ジャンル) ハートフルアドベンチャー
(ランク) Aクラス
(付記) 舞台化もされた、絵本的物語。清く正しい少年少女の冒険。世界観も大変美しく、読むと同時にその一場面ごとが脳内に清々しく展開される感覚が楽しめる。こういう作品をこそ、スタジオジブリはアニメ化するべきだと思う。



「阿南」シリーズ

(著) 太田忠司
(刊行) 講談社文庫他
(ジャンル) ハードボイルド長編ミステリ
(ランク) Bクラス
(付記) シリーズ3巻所有。やおい同人誌の世界を題材とした異色の作品である第2弾「Jの少女たち」が印象的。第1弾「刑事失格」はミステリの面白さ・素晴らしさを教えてくれた。やがて独り立ちする藤森涼子女史も登場し、阿南と行動をともにする。警察を辞め、自らに厳しい罰を与える阿南の生き方に魂を揺さぶられる。



「あの日々をもういちど」

(著) 健速
(刊行) ホビージャパン・HJ文庫
(ジャンル) 刻を超えた純愛
(ランク) Dクラス
(付記) 18禁PCゲーム「こなたよりかなたまで」「遙かに仰ぎ、麗しの」「キラークイーン」のシナリオライターのライトノベルデビュー作。イラストは双。
 ……どうしよう、これはどうしようもなくつまらない。ありがちな設定に、なんの裏切りもないストーリー。心に響くセンテンスも1つもない。いったいどこを褒めればいいんだろう。2組のカップルのストーリーが同時に進行するのだが、そのどっちつかず感がさらに煮え切らなさを促進している。そして、すさまじく低い文章力。効果音をそのまま表記する絵のない漫画っぷりにもう呆れ果てた。「もう大人しくエロゲーのシナリオ書いといてください」と言うのが最大の譲歩。



「アリソン」シリーズ

(著) 時雨沢恵一
(刊行) メディアワークス・電撃文庫
(ジャンル) 大空と大地のアドベンチャー
(ランク) Aクラス
(付記) 「キノの旅」のコンビが送る長編作品。レトロな戦闘機で大空を翔ける、爽快感あふれる冒険活劇。とにかく勝気でワガママで無謀で好奇心旺盛で無茶で無鉄砲で強引なヒロイン・アリソンが魅力的。中弛みが少なく、スイスイと気楽に楽しめる秀作。「全4巻では少ない」と思っていたら、何と娘が主役のシリーズが始まってしまった。



「アルスラーン戦記」1〜10巻

(著) 田中芳樹
(刊行) 講談社文庫
(ジャンル) ヒロイックスペクタクル
(ランク) Aクラス
(付記) 中世ペルシア風世界を舞台とした、壮大なスケールの一大叙事詩。魅力は何と言ってもキャラクターの魅力、特に「アルスラーンの十六翼将」だろう。よくもまあ、これだけ個性的&魅力的な人物が結集したものだ。女性ファンが多いのにも納得。アニメ化もされた。出版社・イラストレーターを変更して新書化→続刊している。



「アルスラーン戦記読本」

(著) 田中芳樹
(刊行) 講談社文庫
(ジャンル) ファンブック&短編
(ランク) Bクラス
(付記) 「アルスラーン戦記」人名辞典もあり、そこで「作者のつぶやき」も読める。悪夢の企画、あかほりさとるとの対談の他、上村幸子による漫画(田中芳樹も友情出演)や、ここだけの短編小説も収録されている。が、ファンアイテムの域は出ていない。



「ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。」

(著) 朱門優
(刊行) 一迅社
(ジャンル) 片田舎不思議物語
(ランク) Aクラス
(付記) イラストは鍋島テツヒロ。今まで数々のエロゲーライター出身者のラノベを読んできたが、過去最も自分のスタイルを崩さなかった作品ではないだろうか。「あの人のゲームは好きだけど小説はちょっと……」と二の足を踏んでいる人の背中を全力で押したい出来。
 ネット用語を乱発する一方、その豊富な知識を見せ付ける文体、相変わらず抜群のテキストセンスの他、狙いすましたギャグやレトリックにも外れがない。基本主人公のモノローグで進行するも、大事な部分では視点を変更するなど、アドベンチャーゲームを知り尽くした者ならではのテクニックが駆使されている。
 最初に強烈な設定を読者に与え、途中で「あれってどうなったの?」と思わせておいて、終盤に一気に伏線回収という手法にもファンならニヤリとさせられるだろう。振り回され、イライラさせられ、最後には収束の妙に快哉を叫ばされる。キャラ数を絞り込んだのは自信の表れと見た。唯一難点を挙げるとすれば、主人公の思い込みの激しさなのだが、それもこの作品の核であり、結局は著者の手の平の上で綺麗に踊らされたのかもしれない。



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