朝日新聞8月22日文化欄
21世紀研究会シンポジウム「アソシエーション革命の構想」(7月28日大阪ドーンセンター)
についての報道記事


国家や市場経済超える思想
アソシエーションへの期待

 「アソシエーション」という言葉が、最近よく社会科学の分野で使われる。自立的で自発的な個人の「協同」、新しい自由な結社の意味で用いられる。ソ連の崩壊以後、旧来の社会主義的な思想が総崩れになった中で、次の社会を模索する人々にとって、一つのよりどころとなる思想である。

 大阪でこのほどシンポジウム「アソシエーション革命の構想」(21世紀研究会=代表世話人・田畑稔大阪経済大教授=主催)が開かれた。ここでの論議は、「人を抑圧する装置としての国家」(国民国家)と、「たけだけしい世界経済」(資本主義市場)を一市民としてどう乗り越えたらいいかという展開となった。

 パネリストは3人の政治学者。捧堅二(高野山大学)、形野清貴(大阪経済法科大)の両氏は、アメリカの政治学者レスター・サラモンの言葉を引用した。「グローバルなアソシエーション革命が進行中である」、と。

 代表的なアソシエーションであるNGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)は、地球規模のレベルで生まれている。これらが「国家や市場経済を乗り越えつつある」というのだ。また大藪龍介氏(元・富山大)は、アソシエーションを大切に考えたうえで、中央集権を解体した地域自治体連合型の国家という構想を出した。

 深刻になるいっぽうの環境問題や、世界大戦に至りかねない各地の紛争への懸念が、各種・各レベルでのアソシエーションへの期待感につながっている。一部のエリートや組織の「権力奪取」で社会変革を担う旧来型の運動は時代遅れとの共通認識も、うかがわれる。

 質疑では消費者と直結する無農薬農場の運営者から、「商品としての関係ではなく、人間同士のそれを築こうとするとき、現行法や役所の壁を実感せざるを得ない」という発言があった。

 アソシエーションを抑圧する国家があれば、対国家戦略は必要だが、「現在の論議は、国家やそれに根拠を与える代表制議会の問題を回避しているのではないか」という指摘だった。研究者と実践サイドとの間にある距離とともに、なお清算されていない理論的課題を浮かび上がらせた。

 司会の田畑氏は「自分だけがよければいいというミーイズムも、国家主義も社会主義も力を持たなくなったことは確か。活路は、自己に閉じこもらず論議していくこと」と、開かれた場を継続してもつことを確認した。 (勲)