第1回 シベリア超特急




写真は劇場公開完全版DVD

 記念すべき第1回でこの映画を扱っていいのかどうかは大きな疑問なんですが、ついにレンタルして見ることができたので第1回目についてはこの映画について書くことにします。
 シベリア超特急――それは金曜ロードショーの映画解説などで知られる映画評論家水野晴朗ことマイク水野(※1)が製作、監督、出演、脚色、編集、主題歌の1人6役をこなした伝説の映画です。世界で唯一「MIKE COLOR」、「スーパーシネマ方式」(※2)を採用し、この映画で語られるテーマは「反戦」。もう何がなんだか分かりません。
 この映画の評判を聞いてから、私はとにかく見たくなり、地元のレンタルビデオ屋を数軒回ったのですが置いてません。(一軒だけ、シベ超2が発見されましたが)どうやって見ようか悩みながら、毎週ビデオ屋に通っていると「新入荷」の棚でついに発見しました。
 どうやらシベ超4が入荷されるついでに一緒に入荷されたようです。「ダブルマーダー・ヴァージョン」「ハンガリー・ヴァージョン」「アメリカ・ヴァージョン」…なんかいろんなバージョンがあってどれを借りたらよいのか悩みましたが、「ダブルマーダー・ヴァージョン」をレンタルしました。(ちなみにハンガリー・ヴァージョンがレンタル中でした。私に似たような奴がいるようです)
 ちなみに、このバージョンですが調べたところ「完全版」(山下大将の秘蔵フィルム、2回のどんでん返し、主題歌の”戻らないロマンス”が収録)、「ダブルマーダー・ヴァージョン」(ボルシチのセリフが差し替え、どんでん返しは1回)、「ハンガリー・ヴァージョン」(青山書記官とカチュアの愛が云々、どんでん返しはなし、”戻らないロマンス”は収録)、「アメリカ・ヴァージョン」(どんでん返し2回、ボルシチのセリフは無し、ハンガリーのシーンはカット)、「マーダー・トレインバージョン」(字幕が赤い、李蘭に大きな矛盾)、「活弁バージョン」(シベ超を山田広野氏による活弁で)、、、などなど、すごくいっぱいバージョンがあるようです。私が今回借りてきたシベ超は氷山の一角に過ぎなかったのです。
 さて、その中身なんですが、それはまさに異世界でした。
 揺れない列車、殺人事件が起こっても何事もなかったかのように走る列車、山下閣下のすばらしいセリフ回し(棒読み)、強引な展開、そして閣下の数々の名言「あいがったぷるーふ(※3)」「騙したんじゃない。心に呼びかけたのだ」「戦争はこんな悲劇まで起こしてしまう。戦争は絶対にやめなければならない」……もう脱帽です。
 さらにこの映画、日本語には英語字幕がつけられています。マイク水野はいったい何を狙っていたのでしょうか?まさか世界上映を目論んでいたのでは?こんなもの世界で上映したら、日本がさらに勘違いされてしまうじゃないですか。(”007は2度死ぬ”みたいに)しかも英語字幕監修はあの戸田奈津子…うーむ。
 ちなみに、水野晴朗演じる山下奉文大将ですが、実在の人物です。「マレーの虎」と呼ばれ、シンガポール開城談判では敵のパーシバル中将に無条件降伏を要求し「イエスかノーか」とせまったのは有名なエピソード。本当はシベ超の時点では大将ではなく中将です。まぁマイク水野の演技を見てればそんな些細なことを気にする余裕はなくなりますが。
 とにかく、ある意味ではすばらしい映画です。そういえばみうらじゅん賞を受賞しているらしいですね。他にもいくつか賞を獲ってるとか。下手な映画より受賞数が多いかもしれません。見てない人はぜひ見ましょう、ただし心の広くない方はやめたほうがいいかもしれません。


※1 水野晴朗がアメリカで警察官をしていたころ、MIZUNOとかHARUOは発音しづらいらしくMIKEと呼ばれていた。MIKEの語源を探るとなんとミケランジェロ。悪くない名前なので採用。(本人談)
※2 画面サイズがビスタサイズからシネスコサイズになったりするらしい。
※3 I got proof.しかもエコー付。

 

戻る