松田の回復力−キリンカップホンジュラス戦観戦メモビデオ確認済み−
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前半
1分宮本からのフォワードへのピンポイントのフィード。

2分日本最初のピンチ。宮本はパスコースを消しに行く。その後ろを松田と波戸がマンマーク。

3分宮本がフォアチェック。ボールは取れるが次の2対1のプレーで取り返されてしまう。3分松田のディレイ。波戸の協力を得て成功しているが、相手に正対してしまっており、良いプレーではない。
3分ホンジュラスCK。日本のマークはずれていない。

5分ホンジュラスFK。マークミス無し。

6分松田のフィード、宮本に比べ精度が低い。その直後に稲本が蹴ったロングボールと比べるとチャンスにならない。この試合での松田のロングキックは、ほとんど通っていないが、そのかわり、跳ね返りのセカンドボールを奪ったFWのがんばりでチャンスになっている。
6分松田は宮本に向けて、ミスキック。ホンジュラス選手に取られるが、その後の宮本の1対1のプレーは半身の体の向きで相手選手をゴールから引き剥がし、ゴール左隅の外側に追い込むディレイのお手本といってもいいだろう。

9分ホンジュラスの大きく上に上げるロングキック。宮本、中田、日本左サイドの選手の3人がきれいにラインに並びオフサイドを取ろうとしているのに、松田が大きく後ろに下がってしまっている。

10分の松田のインターセプト成功。宮本と被ってしまっている。
10分TVのアナウンスでは、松田と宮本がトルシエに呼ばれて注意を受けたとのこと。松田は俊輔の2点目の得点直後を含め、私が気がついた限りでは前半で3回はトルシエに注意されていた。全く合っていなかったからである。
10分から11分松田FKでロングフィード通らない。

14分ホンジュラスCKから得点。得点したホンジュラス選手はゴール前に走り込んでくるのだが、このとき日本選手で飛ぶことができたのはまたしても超人的な反応を見せた宮本ただひとり。それすら、体をぶつけて止めようとしているだけだ。本来マークについていた稲本、ゴール前で余っていた中田浩二は全く動くことすらできていない。GK楢崎に至っては完全に逆を突かれている。ここに、読みに優れた伊東がいれば、この失点はなかったかもしれない。

16分松田ぼてぼてのロングシュート。

17分日本右サイドで松田、波戸2対1。

21分日本左下がりの斜めライン。直後に宮本がボランチ時代を思わせる激しいチェック。これは、ボランチのプレーだと思う。俊輔がマークをはずして飛び込んだために逆にパスが出て通ってしまう。さらに、そこからのセンタリングに対して松田が下がりすぎて、相手選手との距離を空けすぎたためにホンジュラス選手をゴール前で一瞬フリーにしてしまう。

23分松田フィード通らない。

24分波戸ダイブだと思う。ダイブの練習している。

26分俊輔FKで得点。

27分日本選手が後ろからユニフォームをつかまれ引き倒された。審判がファールを取らなかったが、このとき、両チームの選手ともファールだと思ったので、一瞬プレーが止まった。ところが、日本右サイドにいた松田はセルフジャッジの時間が長く完全に出遅れてしまう。このセルフジャッジ直後日本の中田、宮本とホンジュラス3選手の2対3の数的不利に陥った。中田がよくディレイで堪えて3対3まで回復させたのに、何を思ったのか松田が本来マークすべき右サイドの選手を通り越してニアサイドに走り込んでしまう。すくなくとも、ここ数試合は日本代表はゾーンでマークを受け渡しして守っていたので、宮本がマークしていたホンジュラスの選手が右側に流れたら松田がマークを引き継ぐべきだろう。宮本は何度も後ろを確認し、キーパーの前のスペースを埋めていた。おそらく、前に松田が出現した瞬間には宮本もたまげたのではないか。このような基本的事項は練習でそれこそ何百回も確認済みのことと思われる。この時点の松田はセルフジャッジの失敗を取り戻そうと完全な視野狭窄に陥っていた。松田のセルフジャッジとその直後に失敗を取り返そうとさらに傷口を広げるプレーは、今に始まったことではない。00年セカンドの万博でのガンバ戦でも小島宏美に満点のアシストをしてしまうという形で見せてもらったが、しばしば失点の原因になっている。

30分稲本のシュート。のけぞらなくなっている。

31分PA内にドリブルで切れ込んだ稲本のセンタリングを鈴木空振り。

38分日本のオフサイドラインをかいくぐられる。ホンジュラスのFWはプレーに関与せず、2列目からの飛び出しで突破されている。このとき、日本は波戸を含め4バックになっていたが、松田と波戸が宮本、中田より、約1m後方にずれている。もし、宮本の高さに並んでいれば、オフサイドが取れたのではないかと思う。

41分俊輔CKから2点目。あそこに決められれば、取ることはできない。このように得点してくれるのなら俊輔を代表で使えと私も思う。

43分宮本のフィード。西沢に合うが、西沢ファールで倒される。

ロスタイムゴール前で松田が相手選手をフリーにしてしまい失点。これはセンタリングの落下点を松田が読み間違えて、空振りしたためだが、偶然ではない。松田は緩く上から落ちてくるボールの落下点を読むことが苦手であり、おそらく修正不能な身体的能力の不足なのだろう。

ロスタイムにはホンジュラスが、もう一度2列目からの飛び出しを見せるがFWがプレーに関与してオフサイドになっている。
2列目からの飛び出しは別にラインディフェンスのアキレス腱ではない。ましてやF3の弱点でもない。当たり前のことだが、あらゆるディフェンスシステムは最も最後尾にいるDFの後ろはオフサイドであり、その前はオンサイドだ。これはかわらない。つまり、どのようなシステムであっても2列目からは飛び出されることがありうる。

2列目からの飛び出しを防ぐ手だては、私は3つ考えることができる。一つは、DFが相手FWより常に低い位置にいることだ。これは有効なようだが、守備の戦術としては、実際にはほとんど効果がないだろう。なんとなれば、2列目からの飛び出しは極端に減るだろうが、1列目が飛び出すようになるだけだ。二つ目には、MFが二列目から飛び出そうとする選手の半歩後ろの内側を走って着いていけばよい。これだけでオフサイドトラップを阻害しないし、オフサイドラインをかいくぐられても、内側のコースを切ることができるからだ。三つ目には、これが最も単純で、最も効果があるだろうが、更にオフサイドラインを上げて、更に中盤をコンパクトにすることだ。これにより、相手一列目と相手二列目との距離を極端に少なくし、二列目の選手もオフサイドトラップでしとめればよいのだ。ホンジュラス戦はラインを上げることができず、宮本にしては低いライン設定となっており、中盤が間延びしていた。そのため、決してトップクラスの選手で構成されていない日本の中盤もよくパスが回ったのだが、反面、相手FWと相手中盤の選手の間に隙間を造ってしまい、ここから飛び出されてしまったのである。


後半
11分コスタリカ戦の失点シーンとほぼ同じ状況で、右サイドで松田が1対1ですり抜けられる。まず、松田のミスは右サイドをドリブルする選手に正対してしまっている。右足インサイドでボールをコントロールするホンジュラス選手が右足アウトサイドでボールをけり出すと、半身の姿勢になったものの相手を追い越してしまった松田はあっさりとかわされてしまう。この間、松田とホンジュラス選手はほとんど接触していない。1対1を決定するのは技術であることを示す好例なのだが、それよりも、PA外ではあったのだが、あろうことか松田がバックチャージでホンジュラス選手を倒してしまう。幸運にも笛は鳴らなかったのだが、松田はロシア相手にもこのようなプレーをするつもりなのだろうか。

13分松田ヘディングミス、そしてロングフィードは西沢に通らない。

16分松田のロングフィード西沢に通る。

17分市川のセンタリング通らない。センタリングの通らない市川ですら、波戸に比べれば上手く見える。しかしながら、橋本のピンポイントのセンタリングを見慣れているものからすれば、「なんて代表の右サイドは下手くそが多いんだ」というのが素直な感想だ。17分ややオフサイド臭いが、松田のロングフィードが鈴木に通る。

19分市川センタリング通らない。

19分松田左足でロングフィード、鈴木に通らない。

22分松田相手に正対してしまう。

23分宮本ロングフィード通らない。

25分松田ロングフィード通らない。

28分市川のセンタリングからPK獲得。

38分松田サイドチェンジ。三都主に通る。

39分松田ロングフィード市川に通らない。

42分宮本の低く速いヘディング。

後半になると、3点取ったホンジュラスがほとんど攻めてこなくなったことと、日本の両サイドに市川と三都主という攻撃的な選手を入れて前線でボールが回るようにしたこと、日本のディフェンスラインが絶不調の松田をあきらめ、更に低くなって中盤が広くなりボールが回しやすくなったことから守備機会自体が減ってしまう。

松田は前半途中からただ一人息が上がっていた。スタジアムで見た人は肩で大きく息をして、ほとんど動かない上下動をさぼる松田を見たことだろう。2失点目のセルフジャッジの出遅れは偶然ではない。松田は、苦しい動かない体を持て余し、プレーが止まると思って休んでしまったのだ。筋肉を付けすぎ、体が大きくなりすぎた松田には4月29日から5月2日という中2日での国際試合は過酷に過ぎたのだろうか。それとも、ワールドカップ直前の重圧に耐えきれず、寝れない夜を過ごしているのだろうか。松田の不調が短いインターバルでの試合に堪えきれないのであれば、ワールドカップグループリーグの中4日のインターバルなら問題がないのかもしれない。しかし、精神的な原因による不調ならば深刻だ。ワールドカップでも決定的なミスを繰り返すだろう。

この試合において、ワンタッチで素早くボールを回していたのは稲本、西沢、森島だ。特に稲本はパスを出してからスペースに走り込む動きが異常に速く、代表の遅さにとまどっているように見えた。

ホンジュラスはキーパーに若手を入れていたように、決してベストメンバーとも思えず、強いとも感じられなかった。にもかかわらず、DFのひとりが不調であれば、システムを変えていかざるを得ない。後半から松田を下げても良かったのではないか。ワールドカップの直前にもなって他に使えるDFがいないというのも不思議なことだ。決勝を除いて毎試合失点し、中国相手に2失点しており、試合からも遠ざかっている森岡が救世主に見える人はおめでたい。私には秋田や新井場のほうが十二分に代表DFは務まると思うのだが。さて。

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