攻撃の勉強 第一回中間発表
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 スタジアムでは守備中心に見ているので、私は攻撃のことはあまりよく分かりません。でも春先から攻撃のことも考えることにしました。トルシエ就任以降の日本代表についてビデオを見直してスタジアムでのかすかな記憶を辿ったりした途中の産物をお披露目します。たいして目新しい視点はないです。

 今回のお題はトルシエ戦術における左サイドと中央のMF。
中村と本山は左で小野と小笠原と中田は中央。中村は中央で起用されたこともありますがトルシエにとっては基本的には左サイドの選手のように思います。そのことについて不満な方は多いようですが、「中央でもっぱら起用される小笠原や小野、中田と中村との違いは果たして何なんだろうか?」と問えば「フィジカル」と答える方が多いのではないかと思います。なるほど、中村、本山組と小笠原、小野、中田組のフィジカルの平均値を計算すれば後者の方がずいぶん高そうな気がします。そこから守備やフィジカルに難のある攻撃力のある選手が左サイドで逆に右サイドが守備力重視のボランチタイプであると、現在では一般に理解されているようです。
 私の見方もその一般的な見解と大差はありません。トルシエが左サイドで起用する選手はプレスがきつい中でのプレーに難のある選手だと思っています。でもそれはフィジカルの問題だけではなく、プレースタイルや技術の問題だと考えています。

・中央に起用される選手はボランチも含めて一対一の対峙に強いこと。動いてるボールを扱う技術が高いか、プレスがあっても戦略的なパスが出せるタイプ。

・左サイドは動いてるボールを扱う技術が中央に起用される選手に比べて劣るが、その他のスキルでとても優れたポイントを持つ選手。プレスがきついと苦しい選手。一対一での対峙には比較的弱い選手。

 という見方を私はしています。一般的な見方と少々違うのは「動いてるボールを扱う技術」この一点です。フィジカルの強弱が関係ないとは思わないのですが、フィジカルの強さが間接的に影響を及ぼす部分があるという解釈を私はしています。フィジカルそのものだけが、左サイドか中央かの分岐点にはなってないと思います。

 中田と小野はプレスがきつい中でもスペースがない中でも、中村に比べてプレーの選択肢が減りません。小笠原はそれほどでもないかもしれませんが、志を感じます。相手の股抜きを何度も狙ったり、中央でのボールキープを図ったり。昨年のソウルでの五輪親善試合にトップ下でスタメン起用されたのはこのあたりに理由があるのだと思います。トルシエの考える攻撃的MFの資質を小笠原は自分のプレースタイルの中に持っているのだと思います。

 中村はアジア大会の頃から左サイドを担っていました。私は日本の豪華な中盤事情が、中村の左サイド起用の主原因とは考えていません。中村、中田、小野、名波、稲本の全てを同時に起用するために、中村に左サイドを命じたというのであれば、昨年ソウルでの小笠原のトップ下起用が説明できません。小野が負傷、中田の召集には制限があるというのなら、なおのこと中村には中央の経験が必要だと思うからです。

 私はトルシエにとって中村は、本来サイドが適した選手なのではないかと見ています。中央に比べてプレッシャーが少ないサイドで使えば、活きる選手という分類をトルシエはしているのではないかと思います。だから中村が中央でプレーしたいのであれば、一対一での技術や読み、動いてるボールを扱う技術、意識を磨くことが必要だと思っています。フィジカルの向上は向上で必要な事でしょうが、それが全てではないと思っています。

 努力家であると仄聞される中村が、そういう技術や意識を磨いてトルシエに認められたときに日本はファンタジスタを手に入れたことになります。そして願わくばその牙城を脅かすであろう存在に二川が順調に成長していますように。

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