問題 |
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このことについては、極力淡々と書きたいと志しました。 私はガンバの試合が遠方で開催される日は関西の他会場で試合を見ます。見る機会が多ければやはり自然と愛情が沸いてくるもので、関西のガンバ以外のチームにも些か愛情があります。だから、贔屓目があるのかもしれませんが、そこをできるだけ排除するようにして触れたい問題があるのです。 それが「西谷正也問題」です。 99年の西谷の活躍は素晴らしく、彼は目に見えて実績を残しました。フル出場、8得点11アシスト。左サイドでありながら五輪世代のJリーガーとしては柳沢、高原といったFWに次ぐ得点をしました。なのに、絶好調の西谷は五輪予選に召集されることはありませんでした。水曜日の日韓戦のあとで疲れているとはいえ、稲本相手に西谷は当たり前することなくボールを奪取し、攻撃でも貢献していました。 99年五輪代表に召集された左サイドのどの選手にも負けない実績を西谷は出していたと思います。西谷を五輪代表にという思いは彼のファンやセレッソサポーターだけで決してありませんでした。 私は西谷が99年五輪代表の試合に召集される可能性が一番高かったのは、国立での日韓戦だったと思います。しかしトルシエはその試合には「見たこともない選手を呼ぶ」とコメントを発するぐらい広く選手を召集していたにも関わらず、西谷は呼ばれませんでした。 ネガティブな事を言うのは良くありません。西谷のプレースタイルが、トルシエ戦術に向いていなかっただけなのかもしれません。 けれど、誰の目にも明らかなほどの結果を残した西谷が昨年一度も五輪代表に召集されなかったことの悪影響を放置するわけには決していきません。あれだけの実績を残しても召集されない選手がいるクラブ。こんな風評がたてば、クラブの誠実な努力と違うところで有望な新人の獲得が難しくなります。そして、協会に顔の利かないクラブに属する選手のモチベーションに関わります。代表選手選考に関してJの監督のコメントがスポーツ紙に載ることは、近畿地方ではあまりありません。けれど、W杯前の元セレッソ監督松木の森島キャンペーンはいろんな形で取り上げるマスコミがありました。早野監督のコメントも比較的よく掲載されます。これを、一体どう見るか?それと春先の早野監督の「吉原ではなく小島だろう!」は重要な発言ではないでしょうか?確かにあの時点では吉原よりも小島の方が調子が良かった。早野監督の指摘は、単に小島のことだけを言っているのではなく、関西4球団共通の懸案事項を匂わすものではないのかと。 五輪代表への門がほぼ閉ざされた今、西谷のプレーは好調時の見る影もありません。それでもセレッソの大人たちは必死で彼を励ましました。8月5日、私は長居でジュビロ戦を見ました。後半3点リード後、ケガ人がいるわけでもないのにユン・ジョンファンは持ってるボールをタッチラインに蹴り出しました。先輩、ノ・ジュンユンの指示だったのではないでしょうか?西谷がノジュンユンとの交代としてタッチラインに出てきたのです。西谷は少しも待たされることなくピッチに入りました。ノ・ジュンユンは少しでも早く西谷をピッチに出してやりたかったのだと思います。交代の時には西谷を激励して走って出ていきました。 そこからセレッソの選手はみんながみんな、ボールを持ったとたん西谷を見るのです。正也に良いボールを、パスを。明らかにセレッソの選手の集中力が増して、守備まで引き締まります。調子の悪い西谷が弱気なプレーをしたり、俯きがちになると森島や西澤が声をかけに行きます。 点差がつけば西谷が起用される、はじめからセレッソの選手にはそんな思いがあって、ジュビロ相手に3点をもぎ取ったのかもしれません。でもこれ以上は何もあの試合については言いますまい。 昨年、サカダイのリレーコラムにあったノ・ジュンユンの思いは決してノ・ジュンユン一人の思いではないのです。 |