宮本は踊り続ける
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 国立のモロッコ戦で初めて宮本は左ストッパーとして出場した。相変わらずのステップの軽やかさ、体を反転させるときの素早さ。宮本はこの日もフラットスリーというダンスを踊っていた。
 森岡はラインをきれいにそろえることはできるのだが、軽やかなダンスは踊れない。宮本と同じステップを踏むことはできないのだ。体の向きも同じ、あいまいなまま角度が決まらない。
 フラットスリーのダンスを踊ると言うことは、ボールに対する体の向き、角度、重心の位置、足首を曲げる角度、膝の屈伸、腕の振り、走る方向、走る速度、体の入れ方、パートナーとの連携、位置感、距離感、。自分のあらゆる動きを意識すると言うことだ。自分の身体感覚と実際の身体の動きのズレをなくすと言い換えてもいいだろう。
 人間は、訓練しなければ、自分のイメージ通りに体を動かすことはできない。イメージ通りに体を動かす為には、まず、自分の動きを常に意識して、矯正していかなければならないのだ。
 自分の体を思い通りに動かすこと、そして、しなければならないプレーを確実にこなすこと。誰に指示されなくても、最適のポジションをとることができるようになること。これが、今の日本の課題なのだ。
 宮本がいなくても、あたかも宮本がいるようにプレーすること。今の日本代表では、これはできない相談だ。彼らには、まだ宮本が必要なのだ。
それゆえに、宮本はフラットスリーの基本を示す為に、黙々とダンスを続けるのだ。

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