二〇世紀最後の奇跡
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 宮本選手に対する英国プレミアリーグからのオファーが明らかになって、衝撃が走っています。でも、私にとっては、なにをそんなにおどろいてるのって感じです。宮本ってそんなに安い選手だと思っていたのだろうか。

 オリンピック後の宮本の値段は、五〇億円新人割引があっても三〇億円ぐらいかな〜って思ってました。オリンピックで宮本のF3を見せられたら、世界中に衝撃が走るだろう。そのときにつく値段は、と考えるとこれくらいかな。

 これは全く思いつきで考えていることではありません。私は、F3導入後、外国のクラブでF3やF4をやってるところはいっぱいあるよ。ということだったので、衛星放送で注意して見るようにしていました。テレビではディフェンスのシステムは分かりにくいのですが、おおざっぱな印象として、ゾーンはきれいに保たれるのですが、なんか汚いな〜。美しくない!外国では本当にちゃんと機能しているんだろうか。と思ってしまうのです。(私は、宮本F3の最大の魅力はその機能美だと思っています。)そこで、世界中に日本と全く同じ用にこのシステムを運用している所はあるんだろうかと疑問に思うのです。そう、システムそのものではなく、システムの運用です。(世間ではこれがよく混同されていて、同じシステムなら漠然と同じ運用と思われているようです。だから、サッカーを語るときに選手の配置の議論になってしまうのはこのためだと思います。選手は将棋の駒じゃないのにな〜。)

 また、南米のWC予選を最近テレビで見ていても、DFがシュートシーンで結構フリーの相手選手を作っているし、セットプレイでマークに失敗していることシーンも散見されます。そこから、考えると、宮本のきわめて効率的、機能的なリスク回避型の守備は世界でも特別な地位を占めているのではないかと思ってしまうのです。

 ひるがえって、日本の宮本率いるF3をみると、研ぎ澄まされた効率性、機能性、安全性、なんか日本の電化製品のキャッチコピーのような気がするな〜。まさに、日本文化を正確に反映しているのではないでしょうか。

 私は、宮本がやっているF3はトルシエが教えたものではないと思います。正確に言うと、トルシエ教授の与えたテーマで研究した大学院生宮本君がものした修士論文。日本のF3運用のオリジナリティはほとんど宮本のものです。(これは、クレバー・リベロ氏も感じておられることで、私のオリジナルな意見とはいえなくなりましたが。)
 私には、オリンピックでトルシエが宮本の発見者の地位を手放すとは思えません。オリンピックで姿を現す、宮本が率いる日本代表は世界に衝撃を与えるでしょう。これを二〇世紀最後の奇跡とよばないで何を奇跡とよぶのでしょうか。

 加藤久−井原正巳−宮本恒靖の比較というよりも、クライフ−ベッケンバウアー−ミヤモトの比較を誰かやてっくれないかな〜。と思っています。

 それでも、私は、宮本は海外に行くべきではないと考えます。宮本のシステムは宮本のものであって、日本のものにはなっていないからです。宮本いないモードの日本が、フランスWC最終予選から大して強くなっていないのは、長居と国立で見たとおりです。

 これは、Jリーグの強化担当は結構分かっているらしく、今年、福岡と京都は日本にぼこぼこにされたはずの韓国オリンピック年代の選手を取りに行き、実際に京都はとっています。宮本以外の選手個々の実力は、Jリーグ関係者の間でも日本と韓国でさほど違わないと思われているふしがあります。J2落ちの危機にある京都に朴智星が入ったことは、私にはずっしりと重いものでした。このチームが実より名を取るとは考えられないですから。

 だから私は、日本選手が宮本がいなくてもあたかも宮本がいるように振る舞えるようになるまで、宮本には海外に行って欲しくないのです。 

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