一対一に強いDFって
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 私は、フィジカル&身体能力の定義の曖昧さは以前から指摘していますが、「一対一に強いDF」という言葉は割と定義しやすいと思っています。

 私の使う「一対一に強いDF」とは、私がスタジアム、TVで見て、実際に一対一でほとんど抜かれない選手のことを指しています。抜かれない理由が、フィジカルでも、身体能力でも、技術でも、読みでも、マリーシアでも何でもかまわない。とにかく抜かれないこと。ただし、ファールで止めることの多いDFは一対一に弱いと定義します。

 この視点で見ると、必ずしも大男のマッチョマンが一対一に強い訳じゃない。

 松田と森岡は一対一に弱い。この二人に比べたら中田浩二はずっとマシ。一対一に強いなぁと思うのは宮本と服部と海本。以上は、スタジアムやTVで見た経験則からの意見です。かなり、ネット上の意見とは異なっています。けれど、一対一の場面(特にシドニーオリンピック)をみたら森岡は相手のフェイントに引っかかり、横をしばしば抜かれています。松田も一緒。でも、松田はアリキックや手を使ってファウルの危険性をはらみつつ敵の侵攻を阻止しようとします。松田にファウルが多いのは、クレバー・リベロ氏のご指摘通り技術不足に由来するもので、エリア付近でファウルを取られて敵にチャンスを与えてしまうので、結果において一対一に弱いのと同じです。また、松田は素早いフォアチェック、スライディングタックルによるボール奪取ではよいプレーが多いと最近感じていますが、これは、他の味方DFが敵ボールホルダーの意識を引きつけているときに、ボールホルダーの意識から消えている松田がボールをかっさらうもの。つまり、もう一人の味方DFがいないと成り立たないプレーで、二対一のプレーに分類できるでしょう。実際、松田は余っていること、消えていることを得意とするDFで、一般に抱かれているイメージとは違い、二対一で守ることを得意とする組織に頼るDFだと思います。私は、彼のプレースタイルを密かに「シャドウ・ディフェンダー」と呼んでいます。

 中田浩二も一対一に強いとは思いませんが、松田や森岡に比べるとかなりマシです。敵に抜かれた後の、敵の選択肢の数、敵の追い込まれた場所、そして中田浩二を抜くために敵が消費した時間を考えれば、中田浩二が抜かれた後の日本のピンチの確率は、たいがい下がっています。

 前述5人に比べて、身長の劣る宮本と服部なのに一対一にはとても強い。なんせ、まず簡単に抜かれる事などありません。海本(兄)も同じくで、この3人は共通してヘディングが上手い。ボールを正しい落下点で捉えるのが上手なようで、きちんと首振りができています。そして、安易に飛び込んでのボール奪取を計りません。相手の動きをとても冷徹に見ています。

 このうち服部は身体能力が高いとされているようですが、身体能力が低いとされている宮本と身長で2センチ、体重で3キロの差しか有りません。はじめに「服部は身体能力が高い」というイメージありきで、服部の技術の高さや試合の流れを読むセンスなどが不当に低く評価されている可能性が高いと思います。

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