パサーとしての宮本か試合の演出家としての宮本か(暫定版)
「ただ有明の」トップに戻る
鹿島戦の後座試合で、今年トップ昇格するDF井川君がボランチとしてプレーしていました。相手のパスコースへの体の入れ方、パスの配球など、ボランチ時代の宮本に非常によく似たプレーぶりでした。

ボランチ時代の宮本をアントネッティやエムボマが非常に高く評価し、H-ICHIJYOはほとんど評価しません。これは、もっとも主要な原因はH-ICHIJYOが理想とするボランチは危険なスペースをのこのこ歩いて消しに行き、時折激しくボール奪取をはかり、チャンスと見れば、前線に進出してシュートまで行く稲本を理想のボランチと考えているからです。中盤の底で、ひたすら細かく動いて相手の攻撃をくい止めるタイプや2.5列目の司令塔=パサータイプはあまり好きではありません。これは、選手のプレーの善し悪しの問題ではなく、H-ICHIJYOの好き嫌いの問題だと思います。だから名波は、代表でボランチでなくてサイドで起用してもらいたいと考えています。

ボランチ時代の宮本は、まさしくパサー、より正確に言うと中盤の底の配球者で攻撃と守備の組立役でした。ただ、井川君が宮本に似ていることが物語るように、パサーとしての宮本はガンバユースの育成方針に沿ったボランチでありました。しかし、宮本は技術的にパスの出し手として突出した選手には見えなかったのです。

ただ、振り返ってみれば、宮本は技術的に高度なパスを出すと言うよりは、戦術的に優れたパスを出す選手であって、その意味では優れたパサーであったと思います。アントネッティもその点を評価してボランチに宮本をおいたのでしょう。ただ、H-ICHIJYOの好みのタイプではないので、現在の宮本がボランチに戻ってもそんなに評価しないかもしれません。(ただし、ガンバユースはこのタイプのボランチを意識的に育てているようです。)

パサーとしての宮本が全く評価されない、若しくは、パサーとしての宮本を論じるという切り口がないことは、99年1stまで、ボランチでプレーしていたことを考えれば奇妙なことで、この点、ボランチ井川君に注目したクレバー・リベロ氏は慧眼の持ち主と思います。

パサーとしての宮本を私なりに考えてみるとき、宮本はボランチであるべきなのかCBであるべきなのかと言う問題に突き当たります。私は、宮本のパスセンスやライン統率よりも人を使う能力に注目したいと思います。ピッチ上のゲームの演出家として守備から攻撃まで全てを支配する者が位置すべきポジションはやはり、CBであるべきだと思うのです。
優れたパサーであることや優れたライン統率者であることはピッチ上のゲームの演出家にとって才能の一部に過ぎないと思うのです。(この稿は99年までのビデオをみてまた書き直します。全然内容が変わってるかもしれない。)

ロゴ「トップページへ戻る」