早いブレイクの利点
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早いブレイクも全く役に立たない訳じゃない。ゾーンからマンマークに移行しろ!しかも、出来るだけ早く!ってことは、一言でいえばPAではマンマークで守れって事になる。風間氏の話しを「サッカー批評09」で読むと、要はゾーンディフェンスは捨ててマンマークしろ!って言っているのがよくわかる。湯浅氏、柱谷氏あたりが風間氏と完全に同意見なのかは知らないが、尽きるところ、どの人の意見もマンマークって事にしかならないんじゃないだろうか。

そこで、発想の転換。今、日本でマンマークをするとどういうメリットがあるのか?宮本負傷後のガンバでいい事例研究が出来る。宮本とダンブリーのいないガンバは鈴木−柳本−木場−片野坂の4バック。当初不慣れなマンマーク風ゾーンディフェンスをしていたのだが、ジュビロ戦では途中マンマークの時間帯があった。湯浅氏はゾーンの受け渡しをやめて、守備が安定したと試合評を書いていたが、私の見る限り、むしろ、この時間帯が最も攻め込まれていた。ブレイク=マンマークは攻め込まれやすい。

ところで、ガンバの急造マンマーク風ゾーンディフェンスは意外に機能していたのだ。宮本−ダンブリーの守備陣では、弱点をさらけ出す鈴木、柳本が実に良い守備を見せるのだ。1対1にも強く、体の入れ方が逆〜!ということもない。おそらく、斉藤大輔がいたら大活躍したのでは?と思わせる。そう、ゾーンでは守れなくてもマンマークなら平均以上に出来るDFが日本には結構多いのだ。マンマークは選手層を一気に厚くする。そして、急造チームもそれなりに機能する。

そして、横国で天皇杯ガンバ−ジュビロ戦を生観戦して気がついたのだが、後半、都築やDF達が目のところに指をやって副審に「ちゃんとオフサイドを見ろ!」とやっているシーンが何回かあった。アントラーズの1点目のオフサイドが大きく取り上げられているが、実はジュビロ戦の副審もガンバ選手達にとってはいい加減だったらしく、このシーンの直後からゾーンを放棄してマンマークに移行する。マンマークは審判が信用できないと思われるとき、オフサイドを取ってもらえないと思われるときに威力を発揮する。

マンマークで守れ!早いブレイクをしろ!という主張にもそれなりの根拠はあるのだ。しかし、代表で、余っていることを得意とする松田を余らせる、それとも、1対1に弱い森岡をスイーパーに起用して、マンマークするとなると、守るときには常に1人多い状況を作らねばならない。それは、サイドの選手若しくはボランチの超人的な運動量を要求する。これぞ、オリンピックの最大の敗因。別名「俊輔殺し」というものだろう。「早いブレイク」とは超人的なサイドバック柳本、名良橋、相馬若しくは汗っかきと呼ばれる走り回るボランチを必要とするシステムだ。私には「時計の針の逆回し」にしか見えないのだが。そこに日本の未来はあるのだろうか?ないと思うよ。

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