【原田公樹のヨーロッパ・サッカー通信】ボタンの掛け違い? 腑に落ちない宮本の移籍を一読して
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 いやはや、「日本人の原田ってジョークの通じないヤツだぜ」というイギリス人の馬鹿笑いが聞こえてきそうだ。宮本の移籍話は宮本と稲本の聞き違いという話だ。

 これは簡単に否定できる。ウエストハムからのオファーは当初ガンバ大阪には否定的に捉えられていた。人違いならば、この時点でウエストハムは自らの顔を潰すことなく簡単に引き下がれる。移籍話の発端は、オリンピック以前だと記憶しているが、ガンバは当初から首尾一貫して難色を示していた。宮本の意思を尊重して話を進めていたに過ぎない。これで、何故今頃まで話が継続するのか。

 『秋が深まるにつれて、「中盤で使いたい」「身体能力は高いがケガをしやすい」「ガンバ大阪が移籍金を要求したので交渉はストップ」』 全て宮本に当てはまる。トルシエ、アントネッティともに宮本のボランチ能力を高く評価しているし、周知のごとく宮本は日本人DFの中では、最も1対1に強いDFとして多くのJリーグ在籍外国人選手に認識されており、宮本の移籍金が2億4千万円で決着したのも一般に知られていることだ。

 『「ビザは取れる」「通訳を探している」』これも宮本に当てはまる。稲本のこととは言えないだろう。原田氏は稲本のことだと思っておられるようだが、どうも宮本がどういう選手かよくご存じないようだ。宮本のビザが取れると公言したのもウエストハムなら、1月19日というビザ取得期限情報もウエストハムから出たものだ。宮本がいくら英語が出来ると言っても、どの程度のものか原田氏はよくご存じなのか。通訳なしで、例えば、自己の法的な位置づけについて交渉出来る程度のものなのか?

 それどころか、この記事は極めて英国人をバカにした記事である。ウエストハムのスカウト担当者は、オリンピックのかなりの試合を観戦した由であるが、9月のこの時点で宮本と稲本を取り違えていたのであれば、英語圏のオーストラリアにいながら母国語も満足に扱えない単なる無能者である。さらに、人違いで危うく2億4千万円の契約を締結しかけ、あまつさえビザが取得できなければ、練習生という条件を出したウエストハムは、この記事では、まともな交渉もできない、およそ国際市場で選手を捜す能力の欠けたクラブであるといっているのだ。いいかえれば、ウエストハムはガンバ大阪に手玉に取られて、買いたくもない選手を2億4千万で売りつけられそうになった交渉能力の極めて低いクラブと言っているに他ならない、極めて英国人に対して侮蔑的な記事である。

 『日本人をなめるなよ!』とすごんでみせる態度が悪い態度とも言わないが、何も、英国人を侮蔑する必要もないのではないか。原田氏はウエストハムを半年間も「あの〜、あの〜」と別れ話を切り出せなかった、気の弱い恋人にたとえられるのか?

 英国在住であることを活かして記事を書かれることには反対はしないのだが、日本国内情報に疎く、特に宮本も稲本も殆ど見たこともないのではないかと首をひねらざるを得ない記事には、やや、疑問を感じるものである。

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