前半11分宮本のフォアチェック(誤用であるがわかりやすいので使用する)クリアがタイ選手に渡ってしまい、ヘディングで返され、宮本がフォアチェックしたスティーの前方のフリースペースにぽとりと落ち、ドリブルされる。宮本は勢いで前方に進んでしまっているので、離れてしまっており、宮本の後方にいた中澤も追走する形になる。その更に後ろにいた田中が、ドリブルコースに走り込む。スティーはゴールへ一直線に走り込み、田中が補足するのだが、追走しながら中澤は田中に対し、右手を大きく右方向(日本左サイド)に振って指示している。腕の振りから推測するに、中澤の田中への指示はサイドに追い込めであったと思われる。これに対し、田中はスティーのサイドへの追い込みに失敗し、PAに入られてしまう。これが第1のミスである。私は、捕捉ポイントは、もうすこし手前で、そこから、サイドにドリブルさせるべきだったのではと思う。ドリブルを見ると、スティーは左利きのようで、これに、田中のボディシェイプが適合していないのが技術的な原因と思われる。もう少し体を開くべきではないか。
おそらく、正解は前半40分の日本選手がPA左ライン上でディレイしているプレイだと思われる。
次に、PA内で中澤が追いつき中澤がマーク。田中が後方でカバーとなる。中澤はスティー後ろに向かせることに成功するが、中澤の重心が左に傾いたところで、スティーに中澤の右側に持ち出され易々と突破される。これが第2のミス。後方には田中がおり、また、宮本も中澤がサイドに追いつめると見越して、中澤の後ろから左側に回り込もうとしていたのだから、中澤は自身の右側をケアすべきだったのだ。
さらに、宮本が中澤の後ろに回り込んでいるため、出足が遅れたのと、福西の立ち位置が川口と連動していないため、シュートコースを限定出来ていない。これが、第3のミスである。後方からのTV画面では、スティーの選択肢はファーに横ドリブルする可能性を残したまま、ニアにシュートコースが開いている。川口の姿勢を見ていると、直前までファーに打たれると読んでいたのではなかろうか。
この試合では、後半35分にも読み間違いがある。宮本がゴール左前からシュートと読んだタイミングでタイ選手はシュートしないで、前にボールをけり出して、ゴールライン前までドリブルしてしまう。自分でシュートするには角度がなくなり、このとき中央でフォローするタイ選手はおらず、折り返しのパスも通らないはずだ。このタイ選手の選択は得点の確率を上げるものとはなっていないにもかかわらずである。
日本の読みの設定とタイの技量が一致していないのではないかと思う。タイの技量を高く見過ぎているのではないか。
そして、第4の失敗は田中が完全に余ってしまい、役割を有していないことだ。スティーが内に切れ込むことが出来たため、田中はゴール左側で余ってしまい、無力化されてしまったのだ。
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